企業の感染対策コラム

No.17 最も有効な新型コロナウイルス感染対策とは?
熱中症に注意!

新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が解除されましたが、ここからが私たち個人の感染対策の知識や行動が発揮されるところです。今回は、最も有効で、実施していただき たい「手洗い」による感染対策をご紹介するとともに、さらに猛暑が予想されている今年の夏に備え、熱中症対策についてもご紹介いたします。正しい知識を身に付け、対策を習慣化して日頃の生活の中で実施していきましょう。

株式会社 健康予防政策機構 代表・医師 岩﨑 惠美子

最も有効な新型コロナウイルス感染対策とは?

●新型コロナウイルス感染症はどうやって拡がるの?

新型コロナウイルスに感染すると、のどと鼻の間の上咽頭でウイルスが増殖し、咳やくしゃみ鼻水にウイルスが排出されます。これを他の人が手で触れ、口や鼻などを触ると粘膜からウイルスが取り込まれて感染します。さらに、ウイルスは消化器にも症状が出るため、下痢などを起こすことも少なくないので、便を介しての感染拡大も考える必要があります。新型コロナウイルス感染症の感染経路は飛沫感染がよく知られていますが、さまざまなところに触れる人の手を介して感染拡大したこと(接触感染)が大きいと想定されています。

手がウイルスを運ぶ 手がウイルスを運ぶ

●最も有効な感染対策とは?

新型コロナウイルスに感染しないためには、ウイルスを体に取り込まないことが大切であり、手についたウイルスを石けんによる手洗いで洗い流したり、アルコール消毒剤で不活化することが最も有効な感染対策になります。アルコール消毒剤が入手しづらい場合は、石けんをよく泡立てて手洗いをしっかり実施してください。

マスクは、感染している場合にせきやくしゃみ、つば等の飛沫による汚染を他者に拡げないことや、手で自分の口や鼻を触れないことは防げますが、マスクの着用により自らの感染を完全に防ぐことはできません。多くは手を介して感染が拡がるため、なにより手洗いや手指消毒が重要です。

手洗いのタイミング

  • トイレを使用した後
  • マスクを外したり、鼻をかんだり、咳を手で押さえた後
  • 外出から戻った後
  • 食事や調理の前
  • 多くの人が触れるところに触った後
  • 症状のある人のお世話等をした後 など

手洗いができない場合は、アルコール消毒をしましょう

手洗いや手指消毒が最も有効な感染対策

熱中症に注意!

●熱中症が疑われた時はどのように対処すればよいの?

高い気温や湿度の中で、体内の水分や塩分のバランスの崩れや、体内の調節機能が正常に働かなくなるため、体温調節がうまくできず、体内に熱がこもり(うつ熱)熱中症になります。
熱中症の症状は、めまいや手足がつるといった軽い症状から、激しい頭痛、重篤になると意識がなくなったり、けいれん、体温上昇が見られ、死亡する場合もあります。わずかな体の変化に気づき、いつもと違う状態の時には、熱中症を疑ってください。
熱中症が疑われた時は、まずは意識があるかを確認することが大切です。軽症のような症状であっても、意識がしっかりしておらず、おかしいと思う場合は、直ちに救急隊を要請し、病院への搬送が必要です。
そして、涼しいところに避難し、衣服を緩め、体を冷やしてください。特に太い血管のあるところを集中的に冷やすことが大切で、首、わきの下、太ももの付け根を冷やします。
意識のある時は、水分と塩分を補ってください。汗をかくと水分のみならず、一緒にミネラルも体内から失われていくため、塩分の補給が必要です。自分で水分摂取ができない、意識のない時は、誤飲の可能性があるため、水分は与えないでください。
熱中症は夏場にだけ起こるのではなく、体が暑さに慣れていないときや、温度がそれほど高くなくても湿度が高い時にも注意が必要なので、今の時期から気をつけましょう。

こんな症状があれば熱中症

●健康診断の結果等から熱中症にかかりやすい傾向が分かりますか?

健康診断の血液検査の結果で、赤血球の数、ヘモグロビン、ヘマトクリットの値が高い場合は、血液が濃くなっているため注意が必要です。日常から水分を十分にとっていないということを意識して、水分補給を心がけてください。水分と言っても、コーヒーやお茶、アルコールには、利尿作用があるため、体が脱水状態になります。
夏場にマスクを着用すると、熱がこもり熱中症のリスクが高まると言われていますので、マスク着用時は特に気をつけて、こまめに水分補給をしてください。

コーヒーやお茶、アルコール

血液検査の結果をチェックしましょう

赤血球数 / RBC
血液中に含まれる赤血球の数
基準値:男性 435万~555万個/μL、女性 386万~492万個/μL
ヘモグロビン(血色素量)/ Hb、HGB
血液中に含まれるヘモグロビン(赤血球に含まれる赤色素たんぱく質)の量
基準値:男性 13.7 ~ 16.8g/dL、女性 11.6 ~ 14.8g/dL
ヘマトクリット値 / Ht、HCT
血液に占める赤血球の割合
基準値:男性 40.7 ~ 5 0.1%、女性 35.1 ~ 4 4.4%
注射

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PROFILE

株式会社健康予防政策機構

代表 岩﨑 惠美子

岩﨑先生新潟大学医学部卒業後、耳鼻咽喉科医師を経て、インド、タイ、パラグアイで医療活動を行う。1998年より、厚生労働省、成田空港検疫所、企画調整官仙台検疫所長を歴任。その後、WHOの要請でウガンダ現地にてエボラ出血熱の診療・調査に従事。またSARS発生時には日本代表として世界会議に出席。2007年からは仙台市副市長に就任。インフルエンザ対策として「仙台方式」を提唱し、日本の新型インフルエンザ対策の基盤を構築する。現在は、感染症対策のプロとして、新型インフルエンザをはじめとする感染症対策の啓発活動を行っている。


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