企業の感染対策コラム

No.12 熱中症対策

今まで感染症を中心にお伝えしてきましたが、今回は「熱中症対策」についてお伝えします。熱中症というと、夏のイメージが強いと思いますが、4月に熱中症による救急搬送が見られたり、また、ゴールデンウィーク頃にはテレビや新聞で熱中症の報道が多くされるなど、暑くなり始める春は注意が必要です。近年、春でも急に真夏日が続くこともあり、夏の暑くなってからの準備ではなく、今のうちから知識を身につけ、予防対策に備えましょう。

株式会社 健康予防政策機構 代表・医師 岩﨑 惠美子

Q&A

Q1

熱中症とは?

高い気温や湿度の中で、人の体は汗をかくことによって、気化熱で体温を下げ、体温調節をしています。ところが、暑さに慣れないうちに急に暑くなったり、過剰に暑くなったり、体調が悪かったりすると、体内の水分や塩分のバランスの崩れや、体内の調節機能が正常に働かなくなるため、体温調節がうまくできず、体内に熱がこもり(うつ熱)、熱中症になります。

体のバランスの破綻で体に熱がたまる

Q2

熱中症は、どのような症状なの?

暑熱環境での体調不良はすべて熱中症の可能性があります。少しくらくらするとか、気分が悪いといった軽い症状から、重篤になると意識がなくなったり、けいれん、体温上昇が見られ、死亡する場合もあります。頭痛がし始めたら、要注意で、涼しい場所への避難や体の冷却、水分摂取等で症状が改善しない場合、医療機関への搬送が必要になります。かんかん照りの太陽の下で活動している子ども達が、倒れるということがありますが、これが熱失神です。熱けいれんは、体内から水分とミネラルが不足することで起き、軽症では足や手がつり、また、口元がつることで、しゃべれなくなる場合もあります。そして、発汗がうまくできなくなり、うつ熱し、熱疲労となり、意識がなくなる熱射病が起こります。

症状
参考:環境省「熱中症環境保健マニュアル2018」より

Q3

熱中症の症状が疑われたら、どのように対処すればよいの?

まずは意識があるかを確認することが大切です。軽症のような症状であっても、意識がしっかりしておらず、おかしいと思う場合は、直ちに救急隊を要請し、病院への搬送が必要です。意識がない場合は、重症と判断し、絶対に見逃さないことが重要です。熱中症の症状が疑われたら、涼しいところに避難し、衣服を緩めます。そして、体を冷やしてください。とっさに氷等の冷やすものがない場合は、自動販売機の冷たいペットボトルを利用しましょう。特に太い血管のあるところを集中的に冷やすことが大切で、首、わきの下、太ももの付け根を冷やします。意識のある時は、水分と塩分を補ってください。汗をかくと水分のみならず、一緒にミネラルも体内から失われていくため、塩分の補給が必要です。冷たい経口補水液やスポーツドリンクが最適です。冷たい飲み物は胃の表面から体の熱を奪います。自分で水分摂取ができない、意識のない時は、誤飲の可能性があるため、決して水分は与えないでください。暑い時期の屋外や、室内でも熱や湿度のこもった場所等での作業や活動を行う場合は、水分と塩分、冷却できる物をあらかじめ準備しておく必要があります。

熱中症が疑われる場合の対処

Q4

熱中症にかからないためには、どうすればよいの?

暑さに強い体づくりと体調管理

まずは暑さを避ける涼しい環境や衣服の工夫も大切ですが、日頃から、運動等で汗をかいて、体温調節を行う習慣は、熱中症対策に有効です。また、体調不良や二日酔いの時には、脱水症状の可能性があり、熱中症になるリスクが高まります。きちんと食事や睡眠をとり、適度な運動をするような日常生活をおくり、体調管理に努めましょう。

こまめに水分・塩分を補給しましょう

のどが渇いていなくても、作業の前後、作業中は計画的に水分と塩分を補給しましょう。水分と言っても、缶コーヒーやウーロン茶、アルコールには、利尿作用があり、体が脱水状態になります。計画的に休憩をとり、休憩場所は、日陰や、冷たいおしぼりの用意、体を適度に冷やすことのできる設備を設置する等、涼しい環境を確保し、水分と塩分が補給できるようにしてください。

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PROFILE

株式会社健康予防政策機構

代表 岩﨑 惠美子

岩﨑先生新潟大学医学部卒業後、耳鼻咽喉科医師を経て、インド、タイ、パラグアイで医療活動を行う。1998年より、厚生労働省、成田空港検疫所、企画調整官仙台検疫所長を歴任。その後、WHOの要請でウガンダ現地にてエボラ出血熱の診療・調査に従事。またSARS発生時には日本代表として世界会議に出席。2007年からは仙台市副市長に就任。インフルエンザ対策として「仙台方式」を提唱し、日本の新型インフルエンザ対策の基盤を構築する。現在は、感染症対策のプロとして、新型インフルエンザをはじめとする感染症対策の啓発活動を行っている。