子供の感染対策コラム

No.17 今年の冬の感染症対策について

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に翻弄され続けた2020年でしたが、年の瀬まで数か月となりました。間もなく訪れる冬は、インフルエンザをはじめとする発熱性呼吸器感染症の好発時季でもあります。今回は、来たるべき冬に備えるための感染症対策を考えます。

川崎医科大学 総合医療センター 小児科 部長(教授)中野 貴司

南半球のインフルエンザ

 赤道を挟んだ北半球と南半球で、四季は逆転します。すなわち南半球では現在、冬が終わって春を迎えました。しかし今シーズンは、例年のような冬季のインフルエンザ流行が認められなかったと世界保健機関(WHO)は報告しています。

世界保健機関(WHO)「Influenza updates

 この理由について、COVID -19に対する手指衛生や咳エチケットなどの対策が、インフルエンザの流行拡大防止に功を奏した可能性、人の移動が減りインフルエンザウイルスが伝播しなかった可能性などが考えられます。一方で、感染を恐れて患者の受診控えが起こったこと、保健医療機関がCOVID-19対応に忙殺され、流行状況を把握するサーベイランスがこれまでと同様のレベルで機能しなかった可能性も指摘されます。

日本におけるインフルエンザの流行状況

  日本でも、昨シーズンすなわち2019年末から2020年にかけてのインフルエンザ流行は、近年で最も小規模なものでした。年明け早々には流行が終息し、累積推計受診者数は728.5万人で、前年度の60%程度でした。

厚生労働省「インフルエンザの発生状況について(2020年4月10日)」

日本においても、COVID-19対策として励行された予防行動が、インフルエンザ流行を小規模に留めた可能性はありますが、年明け早々といえば、COVID-19の脅威が社会的に大きく取り上げられる以前です。すなわち、国内でCOVID-19対策が広く浸透するより前に、インフルエンザは終息しつつあったということになります。これに関して、COVID-19の病原体であるSARS-CoV-2の出現が、生態系において、インフルエンザウイルスの流行に何らかの影響をおよぼしたのではないかという研究者の意見もあります。

今年の冬の感染症対策は?

私たちはこれから、COVID-19と共存してゆかなければならないことが、昨今の流行状況からも明らかです。インフルエンザなど他の病原体がひとつでも消滅してくれれば、私たちを脅かす敵が減りありがたいですが、楽観視はまったくできません。したがって、各種感染症が流行する冬季においては、発熱や咳などの症状をきたす患者さんが増えることは間違いがないと考えられます。

では、どのようなことを心がけるのが大切でしょうか。感染症に対しては総合的な対策 が必要ですが、誰にでもできる身近なことから始めましょう。

予防は感染症対策の基本です

発熱や咳などの症状がある場合、COVID-19なのか、インフルエンザなのか、その他の病気なのか、すぐには鑑別できません。各種検査診断法は進化しつつありますが、万能ではありません。

発熱して、どんな病気なんだろうと不安にならないためにも、予防できる手段があれば、それを心がけるべきというのは多くの専門家の一致した意見です。

 そのような観点から、今シーズンはインフルエンザワクチン接種の希望者が増えることも予想されます。①定期接種対象者(6 5 歳以上の高齢者など)、②医療従事者・持病のある者・妊婦・生後6か月から小学校低学年の小児は、接種希望があれば、その機会をのがさないように呼びかける対象者に挙げられています。

厚生科学審議会 第46回感染症部会・第40回基本方針部会 合同開催(2020年9月10日) 資料1, 2
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13511.htmlhttps://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000203023_00008.html

 密閉空間・密集場所・密接場面という「3 つの密」を避けることは、COVID-19対策だけでなく、インフルエンザを含む他の感染症予防 にも有効です。手洗いや手指衛生、咳エチケットという基本的な予防行動ももちろん心がけて、この冬を乗り越えましょう!

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PROFILE

川崎医科大学 総合医療センター 小児科

部長(教授) 中野 貴司

中野先生1983年信州大学医学部卒業、1983年三重大学医学部付属病院小児科研修医、1984年尾鷲総合市民病院小児科、1985年国立療養所三重病院小児科、1987年ガーナ共和国野口記念医学研究所派遣(2年間)、1989年三重大学医学部小児科、1995年国立療養所三重病院小児科(この間、中国ポリオ対策プロジェクトへ1年間派遣)、2004年4月 独立行政法人化により"国立病院機構 三重病院"と改称、2010年7月 川崎医科大学小児科教授、現在に至る。

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