子供の感染対策コラム

No.14 子どもの感染症Q&A②

前回に続いて、子どもの感染症についての疑問や、日頃気になることをQ&A形式で解説します。今回のテーマは、現在流行中のインフルエンザです。

川崎医科大学 総合医療センター 小児科 部長(教授) 中野 貴司

Q&A

Q1

「インフルエンザかも!?」と思ったら、いつ医療機関を受診すればよいですか?

インフルエンザ

 まずは、インフルエンザの時も、他の病気でも、医療機関への受診が勧められる原則的事項を忘れてはいけません。いつもと比べて明らかに体調が悪そうなときは、すぐに受診するべきです。意識がもうろうとしている、会話のつじつまが合わないなどの場合は、大切な臓器である脳に合併症を起こしかけている場合があります。インフルエンザ脳症はよく知られていますが、特に小児では中枢神経系に合併症が起こりやすいインフルエンザですから、注意したい症状です。

 また、食事や水分が全く摂取できない、口に入れても毎回嘔吐してしまうような場合は、脱水になるリスクが高く、受診が勧められます。発熱が長く続く場合(目安として3日以上)は、肺炎や中耳炎を合併していることがありますので医療機関に相談しましょう。

嘔吐

 インフルエンザについては、受診したその場で短時間に判定できる迅速診断キットがあり、特にわが国では国民皆保険のお陰もあって広く使われています。抗インフルエンザ薬という病原体特異的な治療薬が使用できるので、患者も医療者も迅速診断キットによる確定診断を求めます。ただし、症状が出たばかりの初期は、インフルエンザの場合でも迅速診断キットで陰性となることがあります。これは、病初期は鼻の奥のインフルエンザウイルスの量がまだ少なく、キットで陽性と判定される量に達していないためと考えられます。

 図1は、医学雑誌に掲載された論文から引用したものですが、インフルエンザの患者が発熱して何時間経過すれば、キットで陽性と判定されるかを示したものです。インフルエンザA型では発熱して15時間すなわち半日少しですべての患者がキットによる検査で陽性となり、B型では発熱して27時間すなわち1日以上経過してすべての患者が陽性となりました。

発熱

 以上のことを考慮すると、夜間に急に高熱が出た場合でも、様子が明らかに通常とは異なるようなことがなければ、寒い夜間に慌てて受診しなくても、翌日の受診の方が正確な診断ができるかもしれません。

迅速診断検査は発熱後何時間で陽性になるか

(Watanabe M, et al: Sensitivity of rapid immunoassay for influenza A and B in the early phase of the disease. Pediatr Int 51, 211-215, 2009. より作成)

Q2

出席停止期間について教えてください。

学校

 インフルエンザにかかった時は、学校保健安全法施行規則で「出席停止期間」が定められています。学校を休む期間は、「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで」です。園児では、「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後3日を経過するまで」です。そして、「発症」とは、通常は発熱した日のことを指します。

 園児では解熱後の日数が、学校に通う子どもたちより1日長くなっています。その理由は、年少児ではインフルエンザウイルスの排出が長期に続くという医学的な知見によるものです。出席停止期間を定めた目的は、集団生活での感染伝播を防止することなので、年少児の方が長いことは理に適っています。また、年長児よりも年少児の方が、体調や体力の十分な回復には長い日数が必要と考えられ、子どもの健康を守るという観点からも適切です。

 学校保健安全法で「○○した後△日を経過するまで」という場合、「○○」という現象が見られた日の翌日を第1日として計算します。たとえば、木曜日に発症した場合、「発症した後5日を経過するまで」の計算の仕方は、金曜日で1日、土曜日で2日、日曜日で3日、月曜日で4日、火曜日で5日経過と考え、水曜日が登校開始可能な日です。
 「解熱した後2日を経過するまで」の日数の数え方も同様です。月曜日に平常時の体温(平熱、一般的には37.5℃未満)に回復した場合、火曜日で1日経過、水曜日で2日経過と考え、学校は木曜日から登校可です(図2)。園児では、木曜日で3日経過となり、金曜日から登園可能となります(図2)。

月曜日に解熱したら、いつから登校・登園可能?

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PROFILE

川崎医科大学 総合医療センター 小児科

部長(教授) 中野 貴司

中野先生1983年信州大学医学部卒業、1983年三重大学医学部付属病院小児科研修医、1984年尾鷲総合市民病院小児科、1985年国立療養所三重病院小児科、1987年ガーナ共和国野口記念医学研究所派遣(2年間)、1989年三重大学医学部小児科、1995年国立療養所三重病院小児科(この間、中国ポリオ対策プロジェクトへ1年間派遣)、2004年4月 独立行政法人化により"国立病院機構 三重病院"と改称、2010年7月 川崎医科大学小児科教授、現在に至る。