山口市湯田温泉に佇む、ピッツェリア ヴォルペ ビアンカ。
本場イタリア製の薪窯で焼くこだわりの本格ナポリピッツァは地元でファンを増やし続けています。

湯田温泉の地で、2020年に本格ピザ窯を使用したナポリピッツァのお店をオープンしました。以前島根のスキー場のレストランでハンバーガーのパンやピザを薪窯で焼くお店で働いていました。薪窯は、電気オーブンとは異なり、火の温度や焼き上げ時間のコントロールが難しかったのですが、薪窯で焼き上げることで、パンの水分を逃がさず、しっとりともちもちとした食感に焼き上げることができます。地元でお店を開業することになった時に、これまでの経験を活かした薪窯で焼くピザ屋をオープンすることにしました。自家製ピザとして小麦粉やチーズなどの素材や、焼き方にもこだわって作っています。

2020年に新型コロナが拡大する中で、お店をオープンしましたが、度重なる緊急事態宣言により、お客様の安定した来店が難しくなり、その対策としてピザのテイクアウトなど新たなサービスを始めました。同時に、情勢に影響されることがない事業を模索していた中で、メディアで液体急速凍結機の存在を知り、地元の厨房機器代理店に相談したところ、シュットマンとラピッドフリーザーを紹介されました。焼き立ての風味を閉じ込めて冷凍できることがとても魅力的だと感じ、将来の事業展開を考えた際、急速凍結での可能性を感じ、売上が伸び悩んでいたパンの製造を中止し、パン製造用のミキサーやオーブンを撤去したスペースにシュットマンとラピッドフリーザーを導入して新たに冷凍事業をスタートさせることを決断しました。

現在は約10種類の冷凍ピザを通販で販売しています。焼き立ての美味しさをお届けするため、薪窯で焼き上げた後すぐに包装し、風味を閉じ込めて急速凍結しています。シュットマンを導入して良かった点は、やはり焼き上げ後すぐに包装（ホットパック）できるため、美味しさはもちろん、冷ます工程での細菌汚染を避けることができ衛生的な点です。また、ピザなど固体物とカレーなど液体物を同じ機械で対応できることも魅力のひとつです。それに加え、これまで使用したことのある機器ではシール不良が起こりやすかったのですが、シュットマンではシール不良が少なく、使用後の掃除も簡単にできるので運用がしやすいです。ただ、そのまま包装すると盛付けが潰れてしまうなどうまくいかないところが課題で、毎回真空度合いを調整し、工夫しています。また、ラピッドフリーザーに関しては、いわゆる緩慢凍結と比較すると、解凍後の仕上がりに格段の違いを体感しています。当初は解凍後の生地のふわもち感を維持することが難しかったので、通常の生地よりも水分量を少なくし、標準のナポリピッツァに近い配合にし、凍結前も予冷をしてから凍結したところクオリティを高めることができました。しかし、焼き立ての味を完全再現するという理想まではまだ到達できていないというのが現状なので、包装資材や解凍方法も見直し、より理想に近づけられるよう試行錯誤を重ねていきます。

冷凍運用は現在、　通販用ピザ製造にしか取り入れていませんが、今後は運用効率向上のために冷凍を取り入れていきたいです。事前調理品としてソースを小分けし、凍結保存したり、仕入れコストを抑えるため、食材を旬の時期に仕入れて凍結保存するなど、必要な時に必要な分だけ使用できるようにしたいと思っています。また､新商品開発にも急速凍結技術を取り入れることで可能性が広がると考えています。例えば､グリーンカレーは、製造に手間がかかり提供を停止していましたが、一括調理して冷凍保存することで省力化できるだけでなく、冷凍することでよりまろやかさと旨味が増すため、冷凍との相性がよいため提供を再開したいと思っています。将来的には、山口県産の小麦を使用したり、山口県オリジナル野菜の「はなっこりー」や「長州鶏」等を活用したメニュー開発にも取組み、地域活性化できるような事業や冷凍を活用した新たな事業展開にチャレンジしていきたいと考えています。