衛生管理ガイド
見てみて読んでみて知っておく情報
カビ対策
シンク下の壁や、冷蔵室内天井など、調理環境のあちらこちらでカビに悩まされることがあります。発生してしまったカビの除去とともに、発生しにくい環境づくりにも取り組みましょう。
カビは、どこにいる?
カビは土壌や空気中、水中、人および動物の体表など自然界のあらゆるところに存在しており「どこにでもいる」と考えられます。
そのため、食品を取り扱う施設内でのカビ対策としては「カビを減らす工夫」が必要になります。できる限り施設内にカビを持ち込まない・侵入させない工夫や、カビの好む環境条件を知ったうえで、カビを発生させない・拡散させない対策を行いましょう。
カビの好む環境条件
カビは目に見えない小さい胞子の状態で空気中に浮遊しており、その胞子が食品や施設設備など物の表面に落ちて、周囲の環境が発育に適した条件(栄養分、水分、湿度、酸素、pHなど)であれば、発芽して、内部に菌糸を伸ばし、大量の胞子をつくるまでに発育します。
食品を取り扱う施設では、特に水を利用したり蒸気が出る場所、食品残渣が溜まる場所等にカビが発生しやすく、注意が必要です。カビの発育に適さない環境にするため、結露対策や蒸気のコントロール、洗浄後の乾燥、栄養源となる食品残渣・ホコリ・汚れを清掃により除去 、防かび剤の塗布等が有効です。
多くのカビの発育条件
温度 | 至適温度 20~30℃ |
---|---|
湿度 | 相対湿度 80%以上 |
栄養分 | 特に糖質系を好み、汚れやホコリにも栄養分が含まれる |
pH | 至適pH 4~6 |
酵素 | 酸素濃度0.1%が発育限界 |
発生を抑えるためのカビの特徴
(多くのカビについての特徴を示します)
- 冷凍下では発育しないが、死滅はしない
- 冷蔵温度は低いほど発育速度が遅い
- 60℃、30分程度の加熱処理(湿熱)で死滅する
- 乾燥により発育は抑制される
- 紫外線は直接照射している部分のみ有効で、細菌より抵抗性がある
- アルコール製剤や塩素系の薬剤などが有効
拡散させない
施設内にカビが侵入・発生してしまうと、空気や人の流れによってあらゆる場所に広がっていきます。カビを拡散させないためには空気の流れや人の動線を適切に管理することが必要です。
除去する
発生してしまったカビの除去方法の一例を示します。カビが目視で確認できる状態になると、その表面には無数の胞子が形成されているので、むやみにその部分を拭いたりすると、胞子が空気中に飛散して施設全体に広がる恐れがあります。カビをやっつけるには、まず表面の胞子を先に死滅させてから除去することが重要です!
ステップ1
カビが発生している部分に、そっとアルコール製剤を噴霧し、10分ほど放置し、表面の胞子を死滅させます。
ステップ2
次に、ふきんやペーパータオルに次亜塩素酸ナトリウムを浸したものを壁面に当てて見えるカビを除去します。この時、壁面等の対象物に次亜塩素酸ナトリウムを長く定着させることがポイントです。
ステップ3
次亜塩素酸ナトリウムを十分にすすぎます。