企業レポート

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vol.7 世田谷区立梅丘中学校

コロナ禍で学ぶ「世田谷区立梅丘中学校」の感染対策と新たな日常


御校の概要についてお聞かせください。

梅丘中学校は、昭和22年に創立され、平成29年に創立70周年を迎えました。これからの時代を自立した人間として、他者と協議しながら、創造的に生き抜くための資質・能力の育成を目指し、「心豊かな人」「真剣に考える人」「実行力のある人」を教育目標に掲げています。現在生徒数は、男子206人、女子162人の合計368人で11学級あります。地域では部活動が盛んなイメージの強い本校ですが、部活動だけにとどまらず、俳句や標語、中学生の「税についての作文」、英語のスピーチコンテスト、ビブリオバトルなどにも積極的に参加しています。生徒それぞれが興味を持った分野において、活躍の場を広げられるよう、教員たちは日々指導しています。


新型コロナ対策について、具体的な取り組みをお聞かせください。

新型コロナの流行初期は、定期的な換気に加えて、消毒の徹底に注力していました。物を介した接触感染のリスクがどの程度のものか分からなかったこともあり、生徒たちが共通して使用する手すりや照明のスイッチ、トイレのドアなど、授業が終わると全教員で分担をして、すべて消毒して回っていました。生徒たちに関しては、マスクの着用はもちろんですが、今以上に検温の徹底を呼びかけていました。検温を忘れて登校した場合は、保健室で検温をして、発熱がないことを確認してから、教室に入室しました。万が一、登校後に体調が悪くなった場合は、原則帰宅という対応をとり、感染拡大のリスクを少しでも軽減できるよう、徹底していました。その他にも給食時の対策としては、黙食に加え、各自の机にパーテーションを設置し、盛り付けは教員が行なっていました。また、標準服についても、洗たくして清潔に保ちたい、という保護者からの要望を踏まえ、ジャージでの登校も可能としました。現在は状況が変わり、保護者会など外からの出入りも増えましたので、使用する椅子の消毒など、必要に応じた対策を都度検討しながら実施しています。今後も引き続き、感染状況などに合わせた対応を行なっていきたいと思います。

感染対策の基本となる手洗いや手指消毒、うがいについてはどのように指導されていますか?

流行の初期より継続して、こまめな手洗いをするよう指導してきました。保健だよりでの発信も行なっていますが、保健給食委員の生徒たちが中心となり、手洗いポスターを制作したり、クラスで呼びかけをしてくれています。先日、サラヤさんには手洗い教室を実施してもらい、生徒たちも楽しみながら、正しい手洗いができているか知ることができました。手指消毒剤についても、各教室および校舎の出入口に設置し、外からウイルスを持ち込まないよう、努めています。



もちろん、アルコール過敏などのケースもあるので強制ではありませんが、生徒たちの様子を見ていると手指消毒についても、習慣化されているように感じます。冬場になり、冷たい水での手洗いを躊躇しているのか、石けんや消毒の使用量が少し減っている印象もありますので、経過を注視していきたいと思います。うがいについてですが、飛沫の観点から禁止しているところもあるかもしれませんが、本校では歯磨きも含めて制限は設けていません。但し、水道や冷水器の使用方法については、直飲みはせず、必ず水筒やコップに入れてから飲むよう、指導しています。


コロナ禍において、生徒の皆さんの変化など感じることはありますか?

生徒たちの生活からは、教員が言わなくともマスクの着用や黙食の徹底など、互いに声を掛け合い実践しており、感染対策への意識の高さが伺えます。それは、学校生活において感染者が出れば行事や部活動などが中止になるなど、自分だけでなく周りも辛い思いを強いられる、という現実を認識してきたからかもしれません。



健康面など二次的な影響はありましたか?


自粛明けは、持久走などの結果に低下が見られましたので、一時的な体力の低下を感じました。また、マスク生活に慣れてしまったことで、素顔をみせることに抵抗があり、マスクを外しがたらない生徒がいることが少し気がかりです。今後も様子を見守っていきたいと思います。反対に、本校のインフルエンザ感染者は昨年に続き、今年もまだ一人も出ていません。



冬場に多い感染性の胃腸炎の流行も見られないので、一人ひとりの意識の高さが、このような良い結果をもたらしているのだと感じています。


最後にメッセージをお願いします。

コロナ禍において、不自由な生活を余儀なくされてきましたが、コロナが教えてくれたこともあります。感染対策は、自分の健康状態を把握することでもあるので、自己管理能力の向上にも繋がったのではないでしょうか。また、生徒たちには感染対策を行なうのは、「自分を守ると同時に、他者を思いやるため」と伝えています。これまでの生活を通して、思いやりの心も学んでもらえたらうれしいです。



そして、何より生徒たちが強く認識したことは、「当たり前の日常は、決して当たり前ではなかった」ということです。体育祭や修学旅行に帰省、当たり前だったことがなくなってはじめて気づかされたのではないでしょうか。同時に、「すべてがなくなった」ではなく、「自分たちの努力次第で叶うものもある」ということを学ぶことができました。限られた条件でできることは何か、自らが考え、それが達成できたときの喜びは、生徒たちにとってかけがえのない経験になったと思います。私たち教員も、感謝の気持ちを忘れずに、当たり前や過去にとらわれることなく、すべては生徒たちの笑顔のために知恵を働かせて、共にこれからを作っていきたいと思います。


インタビューご回答者


左)校長 岩崎紀美子様
右)養護教諭 河原詩樹様

学校プロフィール

世田谷区立梅丘中学校
創立:昭和22年4月
生徒数:368名(令和4年12月6日現在)
所在地:東京都世田谷区松原6-5-11


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コロナ禍で学ぶ「世田谷区立梅丘中学校」の感染対策と新たな日常

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