企業レポート

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vol.6 トヨタ車体株式会社

「もっといいクルマづくり」は社員の健康から。いきいきと働く「トヨタ車体」の健康経営


会社概要についてお聞かせください。

当社は1945年に設立し、トヨタ自動車株式会社のミニバン(アルファード・ヴェルファイア)・商用車(ハイエース)・SUV(ランドクルーザー)などを中心とした車と、特装・福祉車両の企画・開発から生産までを一貫して行なっている、完成車両メーカーです。国内拠点は5拠点あり、2022年3月末現在で従業員は1万8507名(連結)です。また、社内の取り組みとして2019年に「トヨタ車体健康宣言」を策定しました。ケガや病気もなく働き続けることは、社員やそのご家族が安心して生活していくために最も重要なことであり、それがお客様に満足いただける「もっといいクルマづくり」をしていくための基盤であると考えています。心も身体も健康で、いきいきと働き続けられる会社づくりに努めていくことをトップ自らが発信しています。


社員の健康管理の一つに感染対策も上げられると思いますが、御社での取り組みについて教えてください。

感染対策に取り組み始めたのは、2009年の新型インフルエンザの流行がきっかけです。感染が拡大し欠勤者が増えれば、生産に影響が出る事態にもなりかねません。そのような状況を防ぐためにも、社内でもきちんと感染対策が行なえるよう、体制を整えることになりました。今でこそ当たり前のように、正門に手指消毒剤、廊下にはうがい器、机には洗浄除菌剤のサニベストも設置していますが、当時はそのようなものはありませんでした。まずは、手洗い・うがいが習慣づけしやすい職場環境にしていくことから始めました。その結果現在では、建物の出入口をはじめ、食堂や更衣室のロッカー、トイレなどの出退勤の時に必ず通る場所を中心に、手指消毒剤やうがい器を設置しています。

たくさんのうがい器を設置頂いておりますが、社員の方の感想はいかがでしょうか?

うがい器は全部で154台ありますが、2009年の導入から10年以上が経過し、うがい器があることが当たり前になっており、好んで使用している社員も多く見受けられます。爽やかですっきりとした使用感は日常的に使いやすく、習慣として続けやすいと思います。



ありがとうございます。コロナ禍における対策として新たに取り組まれたことはありますか?


基本的な感染対策については、マニュアルを作成し社員に周知していますが、より徹底しやすいように、例えば接触が多い場所(手すりやドアノブなど)について洗い出し、その近くには優先的に手指消毒剤を設置するなど、現場のニーズも吸い上げながら対応しています。また、使用する薬液なども指定しています。会議室など共有部の使用後には、机などを清拭していますが、そこで使う薬剤一つにしても、多種多様な製品が売られています。きちんと効果が期待でき、消防法上など扱いやすい製品を選定することでより確実に対策を行なえるよう、努めています。ルールが変わった際や共有事項については、メールやイントラネット、毎月開かれる安全衛生委員会等で適時周知しています。他にも新型コロナ流行初期には、マスクが手に入らなかったため、内製化も行ないました。現在も福利厚生として全社員に配布するとともに、社内では、マナーとしてマスク着用の徹底を推進しています。コロナ禍により、社員一人ひとりの感染対策への意識は非常に高くなったと感じています。製造メーカーとして、社会的責任を果たすことももちろん重要ですが、そこで働く社員とそのご家族が健康であるために、感染対策は必要不可欠です。一日の生活の中で大半を過ごす職場が安全・安心な環境であるように、今後も取り組んでいきたいと思います。

冒頭でも健康宣言についてお話いただきましたが、社員の健康づくりについて教えてください。

当社では「健康教育」に力を入れていて、入社時と30歳・35歳・40歳・50歳の方を対象に実施しています。入社時には、社会人となり新生活をスタートする上で心がけてほしい「食生活」や「健康管理」について、35歳では5年後に控える「特定保健指導」に備えてなど、それぞれのステージに合わせて、気づきの場を与えられるようテーマ設定を行なっています。さらに45歳・55歳を加えた計7回、「体力測定」も実施しています。



「運動実践」のための教育も行なっており、運動習慣の有無や体力測定の基準に満たない場合は、個別の運動メニューを設定し、カウンセリングをしながら指導しています。会社設備として無料のジムや当社所属のトレーナーもいるので、有効に活用してもらい、労働人口の減少が進む中でも、健康で長く働ける身体づくりをサポート出来ればと思います。運動実践は当社における課題の一つなので、今後もフォロー教育と合わせて、運動への関心のあるなしに関わず参加できる、すそ野を広げられるような取り組みを考えていきたいと思います。誕生月に実施している定期健康診断もそうですが、一度立ち止まって自分自身の健康について考えることは、最終的にはご家族の幸せにも繋がるということ、そのきっかけを提供していくことが重要であり、我々の役割だと感じています。


また、コロナ禍をきっかけに、リモートワークも浸透していますが、同時にコミュニケーションに関わる二次的な弊害にも注意を払わなければなりません。当社は、メンタルヘルスを推進する専門の組織があります。6人の心理士が在籍し、メンタル面に関しても手厚くケアできる体制を整えています。職場復帰が困難になる事態を防ぐためにも、早期発見することが大切だと考えています。



コロナにより、人と人とのふれあいを減らさざるを得ない状況が続いています。工場独自の取り組みに「笑顔フォトコンテスト」や手紙(mail)で褒めあう「ホメール活動」などがありますが、日々の些細なことでも、皆の笑顔が増え、こころの健康に繋がればと思います。このような積み重ねにより、「健康経営優良法人(ホワイト500) 」を2019年から4年連続で認定取得することができました。さらに今年はいなべ工場が「三重とこわか健康経営カンパニー(ホワイトみえ)」において「三重とこわか健康経営大賞2022」を受賞し、これまでの取り組みが実になってきたことを実感しています。


国民皆歯科検診の導入が進められていますが、口腔に関する取り組みがあれば教えてください。

口の健康は全身の健康に繋がることから、以前より、歯科検診をはじめ、入社時には歯科衛生士による教育も取り入れています。本社・富士松工場内では、歯科診療を受けることも可能です。今後も8020運動や歯周病と糖尿病の関連性など、口腔衛生の重要性を周知し、健康増進に努めていきたいと思います。



最後にメッセージをお願いします。


労働人口が減少し、働き方も変化する中で、「健康」はすべての基本となります。早期発見ではなく、未然予防へと舵をきり、対応することが求められています。現在トヨタグループを上げて、健康習慣の改善を行なう取り組み(トヨタ車体では健康習慣8)を実施しています。社員の健康は、そのご家族の幸せにも繋がります。社員の健康を一番に考え、頼られる部署になれるよう、今後も医療職のメンバーと連携しながら、「健康宣言」の実現に向け、取り組んでいきたいと思います。



インタビューご回答者


左)安全健康推進部 健康企画推進室
  室長 小島 良二様
右)安全健康推進部 健康企画推進室 健康推進グループ
  グループ長 薬剤師 小嶋 悠様

企業プロフィール

社名:トヨタ車体株式会社
設立:1945年8月31日
事業内容:トヨタ車の企画・開発・生産
従業員数:18,507人(2022年3月31日現在/連結)
売上高:単独:15,662億円(2022年3月期)
国内拠点:本社/富士松工場・いなべ工場・吉原工場・刈谷工場・岐阜車体工業(子会社)


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