企業レポート

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vol.3 横浜市役所

新たに生まれ変わった "横浜市新市庁舎"コロナ禍における感染対策。

横浜市内


8代目となる横浜市庁舎への移転の背景についてお聞かせください

関内駅前にあった旧市庁舎は、1959年に開港100周年の記念で建てられたもので、基本構想想定当時で50年以上が経過し、設備などの老朽化が非常に進んでいたことが移転することになった大きな要因です。さらに、人口370万人を超える大きな自治体に成長したことで、役所内の部署も多くなり、市庁舎に入りきらない数になったため、近隣の20もの民間ビルを借り、点在する形をとっていました。

しかし、手続きの際に複数の場所に足を運ばなければならないなど、市民の皆様をはじめ、利用者の皆様にご不便をおかけしていたこと、10年前の東日本大震災の時には、各ビルの耐震対策はもちろん、非常時に一か所に集まることの難しさを実感したこと、このような状況を踏まえて、すべての部署を集約して効率的に業務を行う必要があるという結論に至ったため、移転を決断しました。

横浜の新たなランドマークともいえる生まれ変わった新市庁舎の特徴について教えてください

新市庁舎は「誰もが利用しやすい」ようにユニバーサルデザインに配慮した、高層(市役所機能)・中層(議会機能)・低層(市民利用・商業施設)の3層構成となっています。移転したこの地は、関内やみなとみらい、桜木町などの結節点に位置していることもあり、1階~3階の低層部には単なる行政機能ではなく、新たな賑わいスポットとして、商業施設「ラクシスフロント」をはじめ、市民の皆様が利用する機能を設けています。

これは、旧市庁舎とは大きく変わった点です。吹き抜けのアトリウムでは演奏会をはじめ様々なイベントを開催し、誰もが気軽に集い、憩える空間となっています。危機管理については、ハイブリット免震や非常用発電機など業務が継続して行えるような機能を備えた建物であることを主眼として建てられました。さらに太陽光・風・地中熱・再生可能エネルギーなど自然エネルギーを最大限取り入れており、建物の省エネ制度は最高ランクを取得するなど、環境負荷の低減にも配慮しています。

この建物の電力は横浜市内のごみ焼却工場のバイオマス発電で作られた環境価値などを利用することで、CO2排出量実質ゼロを達成しています。少し話はそれますが、文房具をはじめ品物の選定する際にも環境に配慮したものかどうかということは常に意識しています。

また、旧市庁舎では不足していた市民対応スペースを各フロアに新たに設けました。プライバシーを配慮し、ゆっくりとお話をうかがえるよう、間仕切りも設けています。何かありましたら、安心してご相談いただければと思います。

『利用される皆様の利便性と、業務の効率性の双方を兼ね備えた素晴らしい施設ですね。』

これまでも感染対策は行われていたと思いますが、コロナ禍における対応についてお聞かせください

市庁舎管理は縁の下の力持ちであり、利用者の皆様や職員を下支えするべく、日々活動していますが、感染対策においては、目に見えないものを相手に、どれだけしっかり対応できるか、ということになります。今回の移転のタイミングは、まさに緊急事態宣言下で不安もありました。

ですが、例えば新市庁舎は、高層建物でありながら、外気を取り入れることができる換気パネルを備えており、元々十分な能力を持っている機械換気に加えて、更なる換気を行うことが可能ですので、感染対策の面からも優れており、予定通り移転を行うことができました。

建物・施設における日々の対策としては、この市庁舎は31階までありますが、利用する場合は、エスカレーターおよびエレベーターを利用した縦の移動がメインになるので、手すりやボタンをはじめ、共有部は1日3回の消毒を徹底して行い、ウイルス等の拡がりを最小限に抑えるよう努めています。


換気パネル

入館証においても、使用後は都度回収し、消毒しています。低層部においては、市民の皆様が利用できるよう、テーブルやイスを設置しているのですが、現在は数を減らすとともに飲食は控えていただいています。アトリウムでイベントを行う際も同様に、参加人数を制限したり、受付で参加者を把握し、もしもの時に備え、後追いができる体制を整えています。また、商業施設にある飲食店については、県の取り組みに沿い、「マスク飲食実施店」の認証を取得するなどの対策も行っています。

来庁者の皆様へは、入り口の自動扉の風除室近く、またインフォメーションや受付に設置した手指消毒剤での手指消毒をお願いしています。3階は市役所ロビーがあるため、特に多くの方がいらしゃいますので、固定式で大型の自動手指消毒器を設置しました。打合せスペースには飛沫感染対策として、アクリルパネルを設けていているほか、使用後は各自で清掃できるよう、マニュアルとともに各フロアに消毒剤と清拭用のタオルを置いています。


打ち合わせスペース

執務室内にも同様に設置していますので、打合せや休憩をするコミュニケーションエリアを利用した際は、各自で清掃を行っています。職員の対策としては、職員健康課の管轄となりますが、「職員の安全衛生上の取り組み」というガイドラインに従い、毎日の検温や手洗い・手指消毒の徹底、またテレワークの推進などを行っています。

何がベストなのか模索しながらの新型コロナ対策、様々なご苦労があったのではないでしょうか?

移転に伴い職員数は1600人から7000人近くまで増え、入り口の消毒剤の設置一つをとっても、旧市庁舎では3箇所程度でしたが、新市庁舎はそれではまかないきれません。市庁舎の規模拡大によって、対応する内容も多岐にわたりますが、感染拡大防止のために行政機能を止めるわけにはいきません。手続きのためには、ここへ来なければならないケースもあるので、不特定多数の方が安心して利用できるよう、やるべきこと・できる対策を確実に行うことが重要と考えています。

コロナ終息後も感染対策に終わりはなく、継続して行う必要があるかと思いますが、どのようにお考えでしょうか?

今後もこれまでやってきたことを地道に行っていきたいと思います。例えば、今回打合せスペースに設置したアクリルパネルについても、コロナ禍が終息したら撤去するのではなく、インフルエンザ等の飛沫感染対策としても有効だと考えています。固定式にしていますので、継続して使用していく予定です。



最後に市民の皆様、読者の皆様へメッセージをお願いします


開庁式の縮小など、本来であれば多くの方に足を運んでいただき、執務室など普段公開していない場所など実際に見ていただく機会を設けたかったのですが、それが叶わず非常に残念です。今回お話させていただきましたとおり、職員一丸となり、今後も感染対策に努めてまいります。皆様も手洗い・うがいをはじめ、日々の感染対策を継続していただき、感染リスクを少しでも減らしていけるよう、取り組んで頂けましたら幸いです。本来であれば、多くの市民の皆様に利用していただきたいところではございますが、今しばらくは必要最小限に留めていただき、この状況が落ち着きましたら、ぜひ足をお運びいただければと思います。皆様のお越しをお待ちしております。

『一日も早く、日常が戻り、これまで以上に活気溢れる街になることを切に願っております。本日は貴重なお話、ありがとうございました。』

インタビューご回答者


左)横浜市総務局 総務部 管理課長 今井 健太郎様
中)横浜市総務局 総務部管理課 管理係長 櫻井 信彰様
右)横浜市総務局 総務部管理課 伊藤 佑介様

企業プロフィール


社名:横浜市役所
設立:しゅん工:2020年1月
全面供用開始:2020年6月
所在地:神奈川県横浜市中区本町6-50-10


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新たに生まれ変わった "横浜市新市庁舎"コロナ禍における感染対策。

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