手洗いの目的

なぜ、手を洗うの?
家庭での日常手洗いと何がちがうの?

手洗いと食中毒事故

食中毒と診断された人のうち約4割は細菌、約6割はウイルスが原因でした。そのうち、ウイルスによる食中毒のほとんどはノロウイルスが原因ですが、そのノロウイルス食中毒の原因の約80%が調理従事者由来とされています。

そこで調理従事者からの二次汚染が原因で起きたノロウイルス食中毒の発生要因を見ると、手洗いに関する不備が多いことがわかります。

ノロウイルス食中毒を起こした施設のうち

  • 約60%は手洗い場にペーパータオルがない
  • 約43%手洗い場が使えない状態である
  • 約38%手洗い場に消毒液がない
  • 約35%手洗い場に石鹸がない

このような状況ではとても衛生的な手洗いは実施できません。やはり「食品衛生の基本は手洗いから」といわれる通り、衛生的な手洗いを適切に実施することが、食中毒事故を防ぐ手段として大きな役割を果たします。

ノロウイルス食中毒 従業者由来二次汚染要因 【平成27年】

「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会(平成28年3月16日開催)」
資料1「平成27年食中毒発生状況概要版」p22より

実態調査結果

食品取扱施設においてどの程度手洗いが実施されているのでしょうか。実態を調査した結果(下表)があります。適切な手洗いを行った人はわずか27%に過ぎず、最も多かったのは石けんを使わずに流水のみで手を洗い、ペーパータオルまたは布タオルで手を乾燥させた人でした。手洗いを行っているつもりでも、適切な方法で手洗いができる人が少ないというのが現状かもしれません。

手洗い行動 n %
流水で手を洗った(手洗い行動を試みた) 707 32%
石鹸と流水で手を洗った 612 28%
流水で手を洗い、ペパータオルもしくは布タオルで手を乾燥させた 691 31%
流水で手を洗い、着用していた衣服で手を乾燥させた 7 <1%
流水で手を洗ったが、手を乾燥させなかった 37 2%
石けんと流水で手を洗い、ペーパータオルもしくは布タオルで手を乾燥させた(適切な手洗い) 568 27%
※布タオルは大勢で使いまわすと布タオル自体が汚染されてしまうことがあるため推奨していません。

Food Worker Hand Washing Practices: An Observation Study. J Food Protection.6.(10).