衛生管理ガイド
知って対策!バイキン軍団
食中毒の原因菌・ウイルスの代表的なものをご紹介します。どんな食品に生息し、どんな症状を発症させるのか、それぞれの菌の特徴を知りましょう。
腸管出血性大腸菌O157
潜伏場所 | 主に牛の腸内に生息。 |
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原因食品 | 牛の糞便によって汚染された食肉やその加工品・井戸水など。 |
菌の特徴 | わずか数個~100個程度の菌数でも感染する。(感染患者のピーナッツ大の便中には、約1億個の菌が含まれるという) 「ベロ毒素」という強力な毒素が大腸の血管壁を破壊し、鮮血混じりの血便が出る。 |
潜伏期間 | 1~10日 |
症状 | 発熱・激しい腹痛・水様性の下痢・血便・吐き気・嘔吐など。 初期症状が風邪に似ているため、見過ごしやすいので手遅れに要注意。(特に乳幼児や小児、高齢者が感染すると、溶血性尿毒症症候群〈HUS〉などの合併症を起こし、死に至る場合もある。) |
対抗手段 | 食品の加熱処理。特に肉類は中心部まで十分に加熱調理し、生肉は食べない。(加熱時間の目安は75℃で1分間以上。) 加熱せずに食べる野菜は特によく洗浄する。 井戸水の定期的な水質検査。 |
サルモネラ属菌
潜伏場所 | 人や家畜の腸内、河川・下水などで広く生息。ネズミ・ハエ・ゴキブリや、犬・猫・カメなどのペットからの感染に要注意。 |
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原因食品 | 牛・豚・鶏などの食肉。卵。二次汚染された食品。 |
菌の特徴 | 少量の菌でも食中毒を発症する。 乾燥に強い性質がある。 |
潜伏期間 | 6~72時間 |
症状 | 吐き気・腹痛(下腹部)・38℃前後の発熱・下痢など。 (重症の場合、致死率0.2~0.5%) 長期にわたり保菌者となることもある。 |
対抗手段 | 肉類や卵は十分に加熱調理する。(鶏肉のサルモネラ汚染率は20~30%といわれている) 二次汚染の防止。(生肉や生卵を扱った器具、容器、手指はそのつど洗浄・除菌・消毒する) |
カンピロバクター
潜伏場所 | 豚・牛・鶏の腸内に生息。 |
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原因食品 | 食肉やその加工品。(特に鶏肉の汚染率が高い) 井戸水などの飲用水。 |
菌の特徴 | 少量の菌で感染し、犬・猫などのペットの糞便で感染することもある。 微好気性。(わずかな酸素のあるところで増殖する性質) |
潜伏期間 | 1~7日 |
症状 | 発熱・頭痛・倦怠感・下痢・腹痛など。 |
対抗手段 | 肉類は十分に加熱調理し、生肉は食べない。 二次汚染の防止。(生肉と他の食品の直接、間接的接触を徹底して避ける) 調理器具は洗浄・除菌後、よく乾燥させる。 |
黄色ブドウ球菌
潜伏場所 | 人や動物の傷口(特に化膿しているもの)・のど・鼻腔・皮ふなどに広く生息。(健康者の保菌率は20~30%といわれている) |
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原因食品 | おにぎり・弁当・サンドイッチ・ケーキなどの手作り食品。ほとんどの場合、調理する人の手を介して食品が菌に汚染されることが多い。 |
菌の特徴 | 汚染された食品中で増殖するとき、熱・乾燥・胃酸・消化酵素に強い「エンテロトキシン」という毒素をつくる。 |
潜伏期間 | 30分~6時間 |
症状 | 激しい吐き気・嘔吐・下痢・腹痛など。 |
対抗手段 | 手荒れや傷(特に化膿しているもの)のある人は、食品や調理器具に直接触れない。 残った調理済食品の再加熱利用は避ける。 二次汚染の防止。(特に手洗い・手指消毒の励行) |
ウエルシュ菌
潜伏場所 | 土や水の中、健康な人の便の中などに広く自然界に分布。特に牛・鶏・魚の保菌率が高い。 |
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原因食品 | 汚染された肉類や魚介類を使った煮込み料理。 カレーやスープなどの大量調理は要注意。鍋底近くで増殖し、集団食中毒の発生原因になりやすい。 |
菌の特徴 | 嫌気性。(酸素の無いところで増殖する) 100℃、6時間の加熱にも耐える芽胞を形成する。 1事件あたりの患者数が多く、大規模発生がある。 |
潜伏期間 | 6~18時間 |
症状 | 水溶性の下痢・軽い腹痛。 |
対抗手段 | カレーやスープを調理するときはよくかきまぜる。(かきまぜることによって菌が空気に触れ、増殖を防ぐ効果がある) 調理後は早めに食べきり、室温で放置しない。 調理済食品は、小分けにするなど工夫し、すばやく冷却し冷蔵庫に保存する。(10℃以下または55℃以上) |
腸炎ビブリオ
潜伏場所 | 海水や海産の魚介類などに生息。 |
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原因食品 | 海産の生鮮魚介類およびその加工品など。 二次汚染された食品。(主に塩分のあるもの) |
菌の特徴 | 好塩性で塩分3%前後でよく発育するが真水には弱い。 増殖速度がきわめて速く、短時間で急激に増殖する。(夏季に多く発生) |
潜伏期間 | 8~24時間 |
症状 | 下痢・腹痛(へその周り)・吐き気・嘔吐・発熱など。 |
対抗手段 | 短時間でも冷蔵庫で保存し、増殖を抑える。(4℃以下ではほとんど増殖しない) 魚介類は新鮮なものでも真水でよく洗う。 二次汚染の防止。(特に魚介類と他の食品の直接・間接的接触を徹底して避ける) |
セレウス菌
潜伏場所 | 河川や土の中など自然界に広く分布。 |
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原因食品 | 米・小麦・豆・野菜などの農作物を原料とする食品。主なものに焼飯・ピラフ・スパゲティー・焼きそばなど。 |
菌の特徴 | 90℃、60分の加熱にも耐える芽胞を形成する。 嘔吐型と下痢型の2種類あり、嘔吐型は食品中(主に米飯類・麺類)で増殖するときに毒素をつくる。 30℃前後でもっとも活発となり、冷めた調理済食品中で急激に増殖する。 |
潜伏期間 | 嘔吐型は30分~6時間 下痢型は8~16時間 |
症状 | 嘔吐型は激しい吐き気・嘔吐など。 下痢型は腹痛・下痢など。 |
対抗手段 | 必要最小量の食品を調理し、調理後はすぐに喫食する。 残った調理済食品は、できるだけ早く食きり、保存しない。 食品は低温保存、または温蔵する。(8℃以下または55℃以上) |
エルシニア
潜伏場所 | 家畜(特に豚)・ネズミ・犬・猫などの腸内に生息。 |
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原因食品 | 家畜などの糞尿で汚染された牛乳・乳製品・食肉・井戸水など。 |
菌の特徴 | 2種類のエルシニアが食中毒を引き起こす。 低温細菌で4℃以下でも増殖する。 熱に弱く、加熱調理で完全に予防できる。 |
潜伏期間 | 0.5~6日(エルシニア・エンテロコリチカ) |
症状 | 発熱、腹痛、下痢など。2~3歳の幼児に多い。 |
対抗手段 | 肉類は十分に加熱調理し、調理後は早めに食べきる。 生肉などの長期冷蔵保存をしない。長く保存する場合は冷凍保存する。 |
ボツリヌス菌
潜伏場所 | 土の中に広く分布。海や湖の泥の中にも分布。 |
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原因食品 | ハム・ソーセージ・野菜・果物の瓶詰・缶詰・真空パック食品。 |
菌の特徴 | 嫌気性。(酸素の無いところで増殖する性質) 最も強烈な神経毒素をつくる。適切な治療を受けないと死亡率30%以上。 熱にきわめて強い芽胞を作る。 |
潜伏期間 | 8~36時間 |
症状 | 特徴的な脱力感・めまいと吐き気・嘔吐・便秘など。(治療が遅れると呼吸困難などを引き起こして死に至る) |
対抗手段 | 新鮮な材料をよく洗浄してから食べる。(神経毒素は80℃で30分間、100℃で数分間の加熱で失活する) 容器が膨張している缶詰や真空パック食品は食べない。 1歳未満の乳児に蜂蜜などを与えない。(乳児ボツリヌス症の予防) |
リステリア
潜伏場所 | 家畜、野生動物、魚類、河川、下水、飼料など自然界に広く分布。 |
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原因食品 | 未殺菌乳、ナチュラルチーズ、 野菜、食肉加工品など。 |
菌の特徴 | 4℃以下の低温でも増殖可能。 65℃、数分の加熱で死滅。 ナチュラルチーズ、食肉加工品、野菜サラダなどを汚染している。 |
潜伏期間 | 24時間から数週間と幅が広い。 |
症状 | 倦怠感、発熱を 伴うインフルエンザ様症状。妊婦、乳幼児、高齢者などは感染しやすい。重症化すると髄膜炎や敗血症となる。 |
対抗手段 | 生肉、未殺菌乳を原料とするナチュラルチーズなどをできる だけ避け、冷蔵庫を過信しない。 |
ノロウイルス
潜伏場所 | 人の腸内や二枚貝に生息。 |
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原因食品 | 二枚貝。 調理従事者を介して二次汚染された食品など。 |
菌の特徴 | 人の腸内のみで増殖する。 少量で感染し、発症率が高い。 長期間にわたる免疫が獲得できないため、繰り返し感染する。 食中毒事例では食品取扱者を介した汚染が原因となるケースが多い。 食品からだけではなく、接触や空気などを介して経口感染する。 |
潜伏期間 | 24~48時間 |
症状 | 吐き気・嘔吐・下痢・腹痛。発熱は一般的に軽度。 |
対抗手段 | 感染の疑いのある人は食品の取り扱いに従事しない。 手指をよく洗浄・消毒し、二次汚染を予防する。 二枚貝の生食を避け、中心部まで十分に加熱する。(85~90℃、90秒間以上) 嘔吐物にも多量のウイルスが含まれるため、その処理は適切に行う。 環境が汚染されたら、殺菌剤による清浄化が必要。 |