うがいで防げること
うがいは、繊毛運動のようなのど本来が持つ防御機能を高めるとともに、物理的な洗浄効果や、さらにうがい薬を使えば殺菌効果によって口腔やのどを清潔にします。その結果、のどの粘膜の機能が回復して活性化され、「口腔」を介する感染の予防や口臭の抑制が期待できます。 具体的なうがいの効用としては、以下のようなものがあげられます。
※うがい薬使用時
安静時でも、呼吸によって気道は1日当たり 20,000 L もの空気を肺胞へ送り込んでいます。清浄空気を基準にしても、1日当たり 1~2×105 個までの細菌(約 8,500 細菌/m3空気)と、100 mg までのほこりが呼吸と同時に吸い込まれることになります。このため、空気の入口、通り道である鼻や口、気道粘膜は、種々のサイズと組成をもった空気中の物質に対抗するための防御機能をもっています。
鼻には、空気を浄化するエアコンディショナーとしての働きがあります。異物を吸着した粘液は、粘膜表面にある繊毛細胞によって、ベルトコンベヤーのように少しずつ鼻から咽頭へ送り出され、無意識のうちに食道へ飲み込まれたり、せき払いのときに外に吐き出されたりします。
のどの粘膜にも同じような繊毛があり、1 分間に約 1,000 回振動する繊毛運動で粘液を外へ送り出すことで、のどから入ったウイルスなどの異物を排除しています。
しかし、気温が低く空気が乾燥すると、粘膜の表面が傷つき、繊毛運動が弱くなったり、止まったりして、ウイルスが侵入しやすくなります。
風邪のウイルスは、鼻やのど、気管の繊毛細胞に感染でき、そこで増殖しながら、細胞を破壊して外へ飛び出し、近くの細胞にまた感染します。破壊された繊毛細胞は、繊毛が抜け落ちます。このため、繊毛による防御機能はさらに低下し、空気と一緒に吸い込まれた毒素の強い細菌を外へ追い出す力も弱まってしまい、二次感染が起こりやすくなります。
文献タイトル新型インフルエンザ対策ガイドライン
新型インフルエンザ等に関する関係省庁対策会議, 平成25年6月26日
(平成28年3月25日 一部改定)
個人対策並びに地域対策及び職場対策
① 国及び都道府県は、通常、季節性インフルエンザ対策として実施されている以下のような個人対策並びに地域対策及び職場対策を、より強化して実施する。
国民、事業者に対し、発生した新型インフルエンザ等の病原体分析の結果、リスク評価、症例分析結果など、国民等が必要性を十分理解した上、で適切な行動をとり得るよう、適時適切な情報の提供を行う。
発生時における感染対策
ア)一般的な留意事項
従業員に対し、以下の点について注意喚起を行う。
業務を継続する際の感染対策の例
目的 | 区分 | 対策例 |
---|---|---|
職場内での感染防止 | 飛沫感染、接触感染を物理的に防ぐ | ・マスク着用、咳エチケット、手洗い、うがいの励行、職場の清掃・消毒 |
うがいには⼤きく分けて、上を向いて喉の奥を洗う「ガラガラうがい」と、⼝を閉じてほおをふくらませて⾏う「ブクブクうがい」があります。
上を向いて喉の奥を洗う「ガラガラうがい」
うがい液を口に含み、唇を閉じて頬の筋肉を動かし、「グチュグチュ」と行い、吐き出します。
もう一度うがい液を口に含み、上を向いて、「オ〜」と発声してうがいをします。(声が震えはじめると、口蓋垂の奥へ届いている証拠です)
冷たいうがい液が口中で温かく感じてきたら、吐き出してください。
※手順はあくまで一例です
「ブクブクうがい」を中心に行います
うがいをすると、⾷べ物のカスやたまった粘液などを洗い流されるので、⼝の中がさっぱりします。
近年は口腔内を清潔に保つ事で、肺炎予防への期待も高まっています。
※健康な人には簡単なうがいも、高齢者では誤嚥の危険があるため注意が必要です。
働く人々の安全と健康を確保するために、うがい設備の設置やうがいの励行が、以下の規則等で定められています。
労働災害を未然に防止することは事業者の責務ですが、従業員の皆さんも省令に守られるだけでなく、自ら安全衛生活動に取り組むことが重要です。うがい設備をうまく利用して、うがいを励行しましょう!
その他の省令・通達でもうがい設備の設置やうがいの励行などが定められています。