食品取扱者のためのノロウイルス対策
ノロウイルス対策強化ポイント
新型コロナウイルスが流行したことにより、手指衛生や環境の除菌等、基本的な感染対策が広まりました。これら基本的な感染対策は、新型コロナウイルスのみならず、ノロウイルスやインフルエンザウイルスを含む様々な病原体への感染の機会を減らすことにつながります。
では、「ノロウイルス」の対策として、特に注意しておくべきこと、つまりノロウイルス対策のキーワードは、どんなことでしょうか?
1)効果の期待できる薬剤を選ぶ
ウイルスはその構造からエンベロープ(脂質性の膜)のあるウイルスと無いウイルスに分けられます。エンベロープのあるウイルスはアルコール消毒剤等からダメージを受けやすいのに対し、エンベロープのないウイルス(ノンエンベロープウイルス)は、ダメージを受けにくく、消毒剤が一般的に効きにくい傾向にあります。
そのため、ノロウイルス対策は「効果が期待できる剤」を正しく選択して実施しましょう。
Topics
手指消毒剤において、特定ウイルスに対する有効性の表示が可能になりました。
従来、医薬品及び医薬部外品の消毒剤において特定の菌やウイルスに対する効果を謳うことは法律で禁じられていましたが、厚生労働省通知「医薬品及び医薬部外品の消毒剤における特定の菌種、ウイルス種への有効性に係る情報提供の取扱いについて」(令和4年2月25日)により、特定のウイルス種、菌種の有効性に係る情報提供が可能となりました。
この通知を元に、サラヤでは、手指消毒剤についてウイルスに対する効果をご確認いただけるデータを公開しています。
速乾性手指消毒剤 ウィル・ステラVH、手指消毒用アルコール アルペット手指消毒用αはノロウイルス※1に消毒効果があります。
※1 ノロウイルス代替ウイルス(ネコカリシウイルスおよびマウスノロウイルス)で試験
<出典>
ウィルステラVH:日本防菌防黴学会誌,Vol.41,No8,pp.421-425(2013)
アルペット手指消毒用α:日本防菌防黴学会誌,Vol.51, No.1, pp.13-16(2023)
2)感染拡大の原因となりやすいのはトイレ
ウイルスの生存性は、温度など環境条件によって大きく異なりますが、ノロウイルスは、環境中での生存性が強く、そのため多様な経路で感染が起こります。(詳しくは「知っておくべき特徴」「多様な感染経路」で。)
多様な経路も、元をたどれば感染者の便や嘔吐物に排出されたノロウイルスです。そこから環境や手指、食品等を介して感染がつながっていくのです。そのため、感染拡大の原因となりやすいトイレ利用後は、手洗いを徹底すると共に、トイレの定期的な清掃と消毒がきわめて重要です。
また、ノロウイルスはきれいな環境より汚れた環境で生存性が長くなることが知られています。日頃から環境を清潔に保つことがノロウイルス対策につながります。