導入事例
株式会社トライアルカンパニー
ホテル京阪

株式会社トライアルカンパニー

設立1981年7月
本社所在地福岡市東区多の津1-12-2 トライアルビル
店舗数261店舗(2020年10月)
ホームページhttps://www.trial-net.co.jp/
  • 株式会社トライアル・シェアードサービス
    コンプライアンスグループ
    品質管理部 部長
    福永 邦見 氏

企業概要をお聞かせください。

トライアルグループでは、主にIT事業と小売り事業の2つの事業がありトライアルカンパニーは小売り事業を担っている会社です。「ITで流通を変える」というスローガンを掲げ、1984年に小売業に参入したのがはじまりです。創業当初よりポイントカード会員をスタートし、1998年には会員情報とPOSデータを結びつけ、そのデータを商品開発や店舗運営に活用を始めました。また、2003年には中国にITの開発拠点を設け、現在約500人のエンジニアを有し、店舗のシステム開発やデータ分析を行っています。近年ではAIカメラの企画から製造を行い、店舗内に設置したカメラデータからお客様の動線や商品の欠品分析等を行う「AIカメラ事業」や、お買い物カートで決裁ができる「スマートショッピングカート事業」など、外販も視野に入れた技術開発も行っています。

HACCP取り組みのきっかけはなんでしょうか?

2018年の食品衛生法の法改正が衛生管理を見直すきっかけとなりました。弊社では食品の製造は主にPCセンターと店舗のバックヤードで行っており、PCセンターではISOを取得していましたが、バックヤードでは一般的衛生管理プログラムで運用していましたので、今の状態でHACCPに対応できるのか、検証する必要がありました。ですが、当時は検証を行うにもHACCPへの知識あまりなかったので、サラヤさん主催のHACCP責任者養成研修の参加やサラヤさんに相談しながら、取り組みを進めて行きました。

HACCP取り組み前の衛生管理状況を教えてください

店舗のバックヤードでは一般的衛生管理プログラムに基づいて、手洗い等の個人衛生や施設設備の洗浄殺菌、食品の温度管理など、それぞれ規定を設けて各部門ごとに紙媒体で自主点検を行っていました。それにプラスして本部の衛生管理部門が全国の店舗を訪問して衛生点検を行い、更に外部の衛生業者様にも年2回の衛生点検を行っていただいて、フィードバックから問題点を改善するという仕組みで運用していました。ですが、全国で店舗数が増加していくなかで、約800カ所分(約200店舗×4部門)の自主点検用紙の回収・報告に、どうしてもタイムラグが発生していましたので、我々の思い描いた通りの管理ができていない状況でした。

具体的なHACCPの取り組み内容を教えてください。

サラヤさんにコンサルいただいて、まず当時の状況でHACCPに対応できる状態なのかを確認いただきました。その結果、7〜8割くらいはHACCPに対応できると判断いただきましたが、大きな課題として、HACCPに対応した基準作りと記録管理による衛生管理の見える化が必要でした。基準作りについては、コンサルいただきながら構築していき、見える化については、インターネットを活用して記録の一元管理ができる、サラヤさんのGRASP HACCPをご提供いただき、衛生のプラットフォームにしました。残りの2割〜3割については、施設など環境整備からの対応が必要でしたので、それらの対応も順次行っていき、最終的には衛生管理の全てのデータがGRASP HACCPに集約される仕組みになる予定です。

「見える化」の具体的な運用内容を教えてください。

弊社では、発注や売り上げ、従業員の勤怠確認などの業務は、作業効率の観点から各店舗の部門ごとに設置しているタブレット端末(iPad)で行っていました。この環境を利用し、まず、衛生のチェック表をGRASP-HACCPに展開し、タブレット端末から衛生点検ができるようにしました。この仕組みにより、衛生点検の実施と同時にデータベースに記録されるので、今までは衛生点検を実施しているのか、していないのか、それすら確認にタイムラグあったのが、毎日本社に送られてくる衛生点検のデータをリアルタイムに確認できるようになりました。また、「できている。」「できていない。」のマルを付けるだけのチェックから、清掃後の現場写真を撮影して報告する仕組みに変えた事で、ビジュアルでの確認も可能になりました。運用は衛生点検だけでなく、揚げ物などの食品の中心温度測定の記録管理などHACCPのCCPにあたるものにも活用しています。

「見える化」によって、どういったメリットがありましたか?

まず管理の面で今まで紙で運用していたのが、ペーパーレス化によるコスト削減ができたのと、実施状況が一覧ですぐにわかるので、できていない現場に対して、即日もしくはリアルタイムに連絡することができ、管理がしやすくなりました。更に本社での結果の集計作業もなくなり、部門責任者や衛生管理責任者への回覧報告もなくなりました。また、運用の成功事例では、期限切れ商品の販売をしてしまう対策として、チェック業務をGRASP-HACCPで運用したところ、発生件数を減少させることに成功しました。これら「見える化」に取り組んだ結果、従業員のコンプライアンスや衛生管理に対する意識の変化についても、弊社独自の社内分析から数値的に意識が向上していることが確認できました。

今後の取り組みについてお聞かせください。

お客様に安心・安全な商品とサービスをお届けし続ける、そのための一つ目安がHACCPと考えていますので、まずはしっかりとHACCPに対応することが必要です。更に衛生管理の見える化をした事によって、毎日8,000〜10,000もの送られてくるデータから、従業員のモチベーションにもつながるような、次の教育や評価に繋げ、ES(従業員満足)やCS(顧客満足)に貢献できるようにしていきたいと考えています。また、サラヤさんにも弊社をIoTの実験対象にしていただいて、それを他社様に展開することによって、小売業全体の衛生レベル向上に貢献できればと思っています。