ホテル
vol.14
コールドチェーンを通じて、産地と消費者の橋渡しを応援します。
最高の素材を最高の凍結技術を活用し、最高の料理を提供 会員制リゾートホテル サンクチュアリコート琵琶湖のレストラン厨房に訪問。

サンクチュアリコート琵琶湖
琵琶湖の美しい景観と洗練された料理を楽しめる特別な空間
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日本料理 時宜
料理長 村松 仙之 氏 -
リストランテ オッツィオ
料理長 野口 将義 氏
※2025年2月時点
「その時期に一番美味しいものを最高の状態で楽しんでいただくこと」を大切に、近海の新鮮な魚介類や滋賀・京都の地元農家から届く野菜など国内外の食材を厳選し、心に残る食の体験をお届けします。
お客様の信頼を第一に、安全・安心で高品質の料理を提供
鮮度を守る革新的な急速凍結技術を導入
ホテルサンクチュアリコート琵琶湖は、2024年10月にオープンした会員制リゾートホテルです。館内には、多彩なレストランがあり、私たちはその中でイタリア料理「リストランテ オッツィオ」と和食レストラン「時宜」を担当しています。安全・安心な料理、お客様の信頼に応えられる料理をお届けするため、美味しさはもちろん徹底した衛生管理と効率的なオペレーションが不可欠です。決められた予算と限られたスペースの中で、最適な厨房機材を厳選し、バックヤードを設計することは大きな課題でした。従来のホテルレストランでは、エアブラスト方式の凍結が主流でしたが、当ホテルでは液体凍結技術を活用した「ラピッドフリーザー」を導入しました。液体凍結は、エアブラスト凍結に比べて熱伝導率が約20倍も高く、食材の細胞を壊さずに鮮度や品質を維持できるため、これにより、より一層の美味しさと安心を追求できるようになりました。


多様なサービスを支える効率的な厨房オペレーション
ホテルでは、朝・昼・晩の営業に加え、ルームサービスなど多岐にわたる食の提供を行っています。限られた時間と人員の中で最高の料理を提供するには、食材を最適な状態で保存し、効率的に活用する必要があります。仕込みや営業中、頻繁に食品を急冷する工程が発生しますが、従来のブラストチラーは冷凍に使用していると(ショックフリーズ機能使用は時間を要するため)、急冷に対応できないという課題がありました。この課題解決のためにラピッドフリーザーを導入し、凍結はラピッドフリーザー、冷却はブラストチラーと使い分けて活用することにいたしました。ラピッドフリーザーは約20分で食品を急速凍結できるため、冷蔵・冷凍のスムーズな調理オペレーションを可能にします。さらに、冷却時の異物混入リスクの低減に繋がるなど衛生面の向上にも貢献しています。生産性を最大化し、高品質な料理を提供できるように努めています。
急速凍結技術により、鮮度と品質維持を実現
最高のクオリティの料理をお客様に提供するには、最も新鮮な食材を使うことが非常に重要です。しかし、鮮度維持が難しい食材も多く存在します。和食レストラン「時宜」では、アワビのしゃぶしゃぶに急速凍結技術を活用しています。アワビは生け簀で保管しても弱りやすく、高鮮度を維持することが難しい食材のため、品質劣化に備えて多めに仕入れる必要がありました。しかし、生きたまま急速凍結をすることで、冷凍しても鮮度が劣化せず、さらには解凍しても生の状態と遜色がなく提供が可能になります。アワビは高級食材であり、鮮度劣化による損失はコスト面だけでなく食品ロスの観点からも大きな課題でした。これにより、計画的な仕入れと急な予約や需要の変動にも柔軟に対応できるようになりました。また、イタリア料理「リストランテオッツィオ」では、鮮度が低下しやすいブリの保存に急速凍結を活用しています。表面を炭火で焼き上げた後、急冷・冷凍することで、血合筋の褐変を最小限に抑えています。営業の1時間前に氷水で解凍することで、ベストな状態での提供が可能になりました。この手法により、営業中の火入れ作業を削減し、調理オペレーションの効率化を実現でき、さらに、半解凍状態でカットすることで美しい断面にできるというメリットもあります。従来、鮮度のよい食材の冷凍は品質低下の懸念から敬遠されていましたが、ラピッドフリーザーの導入で、鮮度を損なうリスクを最小限に抑えつつ、安定したクオリティの料理を提供できるようになりました。また、ブッフェなどの比較的リーズナブルなメニューにも応用でき、品質を保ちながら価格に見合ったメニュー開発の幅が広がりました。最先端の技術を活用しながら、これからも最高の一皿を追求し続けます。
お客様に最高の料理と特別なひとときを提供し続ける
オープン間もない当ホテルは、回転率が高く、冷凍活用はまだ限定的ですが、今後の運営においてラピッドフリーザーの活用はさらに重要になると考えています。急速凍結技術を取り入れることで、コストの最適化、品質の安定化、そして生産性の向上を実現し、持続可能な運営を目指します。特に、食材の仕入れ戦略では、年末年始の価格高騰や天候不順による不作の影響を見越し、旬の最もよい状態の食材を安価な時期にまとめて仕入れることで、品質と価格の安定化に期待しています。また、調理品の急速凍結活用には、味の平準化や生産性向上といったメリットがあります。しかし、高価格帯の料理を提供する上で、決して妥協は許されません。あくまでシェフの技術とこだわりを活かした上で、冷凍技術を適切に取り入れることが重要です。冷凍による品質低下を受けない食材に限定し、冷凍で仕入れているものを可能な限り内製化をすることで、さらに料理のクオリティを高めることを目指しています。こうした取り組みを通じて、お客様に最高の料理と特別なひとときを提供し続けることを使命とし、これからも進化を続けてまいります。


施設紹介

本社 | リゾートトラスト株式会社 |
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本社所在地 | 〒220-8755 愛知県名古屋市中区東桜2-18-31 |
URL | https://www.resorttrust.co.jp/ |
取材ホテル | サンクチュアリコート琵琶湖 |
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住所 | 滋賀県高島市安曇川町下小川1113 |
URL | https://sanctuarycourt.jp/biwako/ |

