熱中症の基礎知識
熱中症ってなに?
高温環境下で、体内の水分や塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、体内の調整機能が正常に働かなくなることで、体温がうまく調節できず、体内に熱がこもり、体温が異常に上昇することで発症します。熱中症は重症化すると死に至る可能性のある病態ですが、正しい知識を身に付け、予防法や応急処置を行えば発症を防いだり、救済することができます。

WBGTとは?
熱中症予防のための運動指針
WBGT(湿球黒球温度)とは、人体の熱収支に影響の大きい気温、湿度、輻射熱の3つを取り入れた指標で、乾球温度、湿球温度、黒球温度の値を使って計算します。
- ※WBGT(湿球黒球温度)の算出方法
屋外:WBGT=0.7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度
屋内:WBGT=0.7×湿球温度+0.3×黒球温度 - ※環境条件の評価はWBGTが望ましい。
- ※湿球温度は気温が高いと過小評価される場合もあり、湿球温度を用いる場合には乾球温度も参考にする。
- ※乾球温度を用いる場合には、湿度に注意。湿度が高ければ、1ランクきびしい環境条件への注意が必要。

どんな時におこるの?
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暑い時
最高気温が真夏日と言われる30℃を超えると、体温調節がうまくできなくなります。1年間の真夏日の日数が多くなると、熱中症死亡数も多くなります。
湿度が高い時
気温が低くても、湿度が高いと汗がうまく蒸発できず、熱中症を引き起こす可能性が高くなります。
風が弱い時
風が弱いと、汗が蒸発しにくくなり体温が下がりにくくなります。
日差しが強い時
日差しが強いと、直射日光と地面からの照り返しにより熱中症の危険を高めます。大人より地面に近い子どもは、照り返しにより特に高温にさらされた場所にいるので注意が必要です。
どんな人がなりやすい?
脱水状態にある人
下痢や二日酔いなどで脱水症状の人は、熱中症の危険が高くなります。軽い脱水症状になると、のどの乾きを感じにくくなるので、のどが乾いてなくても水分を補給することが大切です。
高齢者
体温調節機能が低下している高齢者は、体に熱がこもりやすくなります。また、暑さやのどの乾きを感じにくく、暑さ対策が遅れることがあり、熱中症の危険が高くなります。
子ども
子ども・幼児は汗腺をはじめとした体温調節機能がまだ十分に発達しておらず、高齢者と同様に熱中症のリスクは成人より高くなります。急激に温度が上昇する炎天下の車内などは、わずかな時間でも子どもだけを車内に残さないようにしましょう。
肥満の人・過度の衣服を着ている人
体内の熱を逃がす効率が悪くなり体内に熱がこもりやすくなるため、熱中症の危険が高くなります。
普段から運動をしていない人
普段からあまり運動をしていないと、効率的に汗がかけなくなり熱中症になりやすくなります。
病気の人、体調の悪い人
疲労や風邪などで体調不良のときは、体温調節機能が低下していますので、注意が必要です。
暑さに慣れていない人
暑さに慣れていない人や、暑くなりはじめる時期に熱中症になりやすくなります。梅雨明け、気温が上がり蒸し暑い日は要注意です。
予防方法
真夏になる前に、暑さに強い体づくり
日頃から汗をかいて、体温調節を行う習慣は、熱中症対策に有効です。ウォーキングやストレッチなど、気軽に始めてみませんか。
こまめに水分・塩分補給
人間は汗をかいて体温を調節します。汗の原料は血液中の水分や塩分なので、体温調節のために水分や塩分を補給する必要があります。また、のどが渇く前に水分を補給しておくことが大切です。なお、アルコールは尿の量を増やし体内の水分を排泄してしまうので注意しましょう。
涼しい服装
涼しい服装ノー上着、ノーネクタイは一般的になりましたが、木綿や麻などの風通しの良い自然素材や、吸汗・速乾性に優れた素材を使った衣類がオススメです。
涼日傘や帽子を着用
太陽の下に出るときは、できるだけ日傘や帽子を着用し、直射日光から守りましょう。
扇風機やエアコンを上手に活用
エアコンの設定温度は28℃を超えないように適切な温度となるようにしましょう。設定温度が低いと、外気温と室温との差が大きくなり体の負担になります。エアコンの気流はサーキュレーターを組み合わせて対流させ、効率を上げましょう。
屋外では日陰を選んで通行
太陽の下では体力は少しの時間で消耗します。外を歩くときは、できるだけ日陰を選んで通行しましょう。
「熱中症警戒アラート(試行)」が始まります
環境省と気象庁は、熱中症予防対策に資する効果的な情報発信として、新たに、令和2年7月1日~10月28日に「熱中症警戒アラート(試行)」の発表を、関東甲信地方において実施いたします。