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アシネトバクター

土壌や河川などの自然環境中に存在する最近で、健康な人の皮膚から見つかることもあるが、通常は無害である。人工呼吸器装着患者に発生する人工呼吸器関連肺炎(VAP)、尿路や血管留置カテーテルの汚染による感染症、創部感染症の原因となることが知られているが、健康な人に感染を起こすことは稀である(日和見感染)。
主な分布
- 皮膚
- 湿潤環境
感染経路
- 接触感染
- 飛沫感染
症状
敗血症、尿路感染症、人工呼吸器関連肺炎など
対抗策
砂遊びや水遊びのあとは普通の石鹸で十分手洗いをする。目に見える汚れが黒い場合はアルコール手指消毒剤による手指消毒が有効。環境整備には消毒用エタノールなどの中水準消毒が有効。
サルモネラ菌

サルモネラ属菌は人や家畜の腸内、河川、下水など広く生息。食中毒の主要な起因菌であり、感染型食中毒の他、免疫能低下患者には敗血症を起こすこともある。生肉、特に鶏肉と卵を汚染することが多く、少量の菌でも食中毒を発症する。乾燥に強い性質がある。
主な分布
- 腸管
- 環境
感染経路
- 経口感染
症状
腹痛、下痢、発熱、嘔吐、長期にわたり保菌者となることもある
対抗策
アルコール手指消毒剤による手指消毒が有効。肉類や卵は中心部まで十分に加熱処理(75℃、1分以上)し、生肉は食べない。低温保存(10℃以下)は有効だが過信は禁物。調理器具などの二次汚染にも注意。
レジオネラ菌

土壌や水環境に常在している。冷却塔、給湯系、渦流浴など人工環境にアメーバを宿主として増殖する。エアロゾルを発生させるジャグジーや加湿器など、循環水を利用した浴槽の増加により感染機会が増加。
主な分布
- 湿潤環境
感染経路
- 経口感染
- 空気感染
症状
劇症型肺炎、一過性ボンティアック熱
対抗策
アルコール手指消毒剤による手指消毒が有効。環境整備には消毒用エタノールなどの中水準消毒が有効。換水や洗浄により環境を正常に保つ。菌の増殖を抑制するために20℃〜45℃を外して低温あるいは高温で温度管理する(60℃以上で死滅)。エアロゾルが発生する可能性のある温水は、次亜塩素酸などの適切な殺菌剤による処理を行い換水する。
ヒト免疫不全ウイルス

HIVに感染した血液が体内に入ることで感染する。針刺し切創、損傷皮膚や粘膜への血液曝露などによる感染が問題となっている。感染すると高い確率でAIDS(後天性免疫不全症候群:エイズ)を発症する。
主な分布
- 血液
感染経路
- 血液媒介感染
症状
急性感染期:熱、リンパの腫れ、発疹、吐き気、頭痛、下痢、関節痛など、その後数年〜10年の無症候期を経て、発症期になると高熱、下痢、倦怠感、息苦しさなどが現れ、日和見感染症(健常者は普段かからないような病気)が起こる。
対抗策
針刺し事故など血液曝露による感染の防止。アルコール手指消毒が有効。汚染器材は高水準消毒以上の処理が有効(例:80℃10分以上の熱水消毒、過酢酸製剤に5分浸漬など)。目に見える血液汚染がある場合は、0.5〜1%次亜塩素酸ナトリウムに染み込ませたガーゼ等で拭き取る。
クロストリジウム・ディフィシル

土壌や動物の腸内など酸素濃度が低い環境に生息する細菌で、健康な人には無害であるが、抗生剤の大量投与により腸管内の菌交代現象が起こると毒素を産生する。感染症は高齢者に多く、死に至ることもある。
主な分布
- 腸管
- 排泄物
- 環境
感染経路
- 接触感染
症状
下痢、偽膜性大腸炎、敗血症など
対抗策
石けんと流水による手洗いが有効。器材に関しては滅菌処理が必要(例:高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)、過酢酸製剤に10分間浸漬など)。環境整備には念入りな湿式清掃(0.1%次亜塩素酸ナトリウムによる清拭消毒)。
インフルエンザウイルス

インフルエンザウイルスは抗原性の違いによりA型、B型、C型に分類される。感染力が強く冬季に流行し、A型およびB型は大流行することが知られている。飛沫感染および汚染された手指や物品を介して接触感染する。
主な分布
- 気道分泌物
感染経路
- 飛沫感染
- 空気感染
- 接触感染
症状
発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、鼻汁、咽頭傷、咳、全身倦怠感、高齢者や乳幼児は脳炎、脳症に至る場合もある。
対抗策
一般的な予防対策として、十分な休養とバランスの取れた栄養の摂取、流行時の外出の際のマスクの着用、帰宅時の手洗い・うがい、乳幼児や高齢者などハイリスクグループはワクチン接種が望ましい。ウイルスに対しては、アルコール手指消毒剤による手指消毒が有効。環境整備には消毒用エタノールなどの中水準消毒が有効。
ノロウイルス

ノロウイルスはヒトの腸内やカキなどの二枚貝に存在。少量で感染し、人の腸内でのみ増殖する。長期間にわたる免疫が獲得できないため、繰り返し感染する。食中毒事例では食品殻だけでなく、感染した食品取扱者を介した汚染が原因となるケースが多い。エンベロープを持たないため消毒薬抵抗性が比較的強いと考えられている。
主な分布
- 排泄物
感染経路
- 接触感染
- 経口感染
- 飛沫感染
症状
吐き気、嘔吐、下痢、腰痛、発熱
対抗策
石けんと流水による手洗いが有効。二枚貝の生食を避け、中心部まで十分に加熱する(85〜90℃、90秒以上)。感染者の嘔吐物や便には多量のウイルスが含まれるため、その処理は適切に行う。
腸球菌

人や動物の腸などに常在し、全ての人が持っている細菌。大腸菌よりも加熱や冷凍に対する耐性が強いが、病原性が非常に弱いので、健康な人において感染症を起こすことはない。免疫不全など細菌感染に対する抵抗力が低下した患者に対する日和見感染の例が知られ、場合によっては敗血症などを引き起こす恐れがある。
主な分布
- 皮膚
- 腸管
- 外生殖器
- 環境
感染経路
- 接触感染
症状
尿路感染症、敗血症、心内膜炎など
対抗策
アルコール手指消毒剤による手指消毒が有効。環境整備には消毒用エタノールなどの中水準消毒が有効。
緑膿菌

植物の表面から健康なヒトの腸管内に至るまで、自然環境や生活環境に広く分布・生息する常在細菌の一種。健康な人の場合、緑膿菌が皮膚に付着したり腸管内にいても、何も病気を起こすことはないが、感染症に対する抵抗力が落ちている場合には、もともと腸内などに持っていた緑膿菌から感染症を引き起こす場合がある。
主な分布
- 腸管
- 湿潤環境
感染経路
- 接触感染
- 飛沫感染
症状
呼吸器感染症、消化器感染症、敗血症、尿路感染症、褥瘡(床ずれ)や手術創部への感染など
対抗策
アルコール手指消毒剤による手指消毒が有効。環境整備には消毒用エタノールなどの中水準消毒が有効。
多剤耐性緑膿菌(MDRP)

治療薬として使用が認められている多くの抗生物質に対して耐性を示す緑膿菌。多剤耐性緑膿菌による肺炎や敗血症などの病気を発症した場合、抗生物質などの効果が期待できず治療が困難になる。健康な人の場合は、病気を発症することはない。
主な分布
- 腸管
- 湿潤環境
感染経路
- 接触感染
- 飛沫感染
症状
呼吸器感染症、消化器感染症、敗血症、尿路感染症、褥瘡(床ずれ)や手術創部への感染など
対抗策
治療薬として使用が認められている多くの抗生物質に対して耐性を示す緑膿菌。多剤耐性緑膿菌による肺炎や敗血症などの病気を発症した場合、抗生物質などの効果が期待できず治療が困難になる。健康な人の場合は、病気を発症することはない。
鳥インフルエンザウイルス

鳥類を宿主とするA型のインフルエンザウイルスで、この中で特に鳥に対する病原性の高いものを高病原性鳥インフルエンザウイルスという。鳥インフルエンザウイルスは、通常、ヒトに感染することはないが、感染した鳥に触れる等濃厚接触をした場合など、きわめて稀にヒトに感染することがある。
主な分布
- 鳥の体内
- 気道分泌物
感染経路
- 飛沫感染
- 空気感染
- 接触感染
症状
発熱、呼吸器症状、全身倦怠感、急速な呼吸不全、全身症状の悪化、多臓器不全など
対抗策
アルコール手指消毒による手指消毒が有効。環境整備には消毒用エタノールなどの中水準消毒が有効。
ウェルシュ菌

人や動物の腸管や土壌、水に広く生息する。酸素のないところで増殖する菌で芽胞を形成する。芽胞は100℃、6時間の加熱に耐える。食物と共に腸管に達したウェルシュ菌は毒素を作り、この毒素が食中毒を起こす。1事件あたりの患者数が多く、大規模発生がある。
主な分布
- 腸管
- 環境
感染経路
- 経口感染
症状
水溶性の下痢、軽い腹痛
対抗策
カレーやスープを調理するときはよくかきまぜる(かきまぜることによって菌が空気に触れ、増殖を防ぐ効果がある)。調理後は早めに食べきり、室温で放置しない。調理済食品は、小分けにするなど工夫し、すばやく冷却し冷蔵庫に保存する(10℃以下または55℃以上)。
ヒゼンダニ

ダニの一種であるヒゼンダニが皮膚の角質層に寄生して起こる皮膚疾患(疥癬)。激しいかゆみと赤い発疹が特徴。ヒト-ヒト感染するが、潜伏期が1ヶ月程度あることから、感染に気付かず二次感染が拡大することが多い。
主な分布
- 皮膚
感染経路
- 接触感染
症状
激しいかゆみ、赤い発疹
対抗策
石けんと流水による手洗いが有効。汚染器材は熱水消毒(80℃、10分以上)が有効。床の清掃はフィルタ付きの掃除機で行う。ノルウェー疥癬のみ個室隔離。
大腸菌

人や動物の消化管に生息する細菌で、腸内に通常見られる大腸菌は無害だが、病原性大腸菌と呼ばれる一群のものは下痢や腸炎を引き起こす。ふん便などで汚染された手指や医療機材などを介して、易感染患者に対して感染症を引き起こすことがある。
主な分布
- 消化管
感染経路
- 接触感染
症状
尿路感染症、創感染症、敗血症など
対抗策
アルコール手指消毒剤による手指消毒が有効。環境整備には消毒用エタノールなどの中水準消毒が有効。
A型肝炎ウイルス

糞便中に排泄されたウイルスの経口感染によって広がり、汚染された食品・飲料水を介する集団発生がみられる。日本を含む先進諸国では衛生環境の改善、特に上下水道の整備に伴い大規模な集団発生は見られなくなった。
主な分布
- 排泄物
感染経路
- 経口感染
症状
38℃以上の発熱、感冒様症状(著しい倦怠感、頭痛、食欲不振、筋肉痛、腹痛など)、肝炎症状(黄疸、肝腫脹、黒色尿、白色便など)
対抗策
用便後、調理の前、食事の前に十分な手洗いと消毒を行う。A型肝炎の常在地域となっている国や地域では、生水を飲まない。また、生水でつくった氷やアイスキャンデー等にも注意する。よく加熱した食品を食べる。高水準消毒薬(過酢酸、グルタラール、フタラール)および中水準消毒薬(次亜塩素酸ナトリウム、アルコール、ポビドンヨード)、80℃・10分間などの熱(熱水や蒸気)も有効である。
B型肝炎ウイルス

B型肝炎の原因となる。感染血液が体内に入ることで、感染するため、医療施設では針刺し事故や粘膜などへの血液曝露などによる感染が問題となっている。ワクチンが開発されており、医療従事者などのハイリスクグループのワクチン接種は感染防止に有効であると知られている。
主な分布
- 血液
感染経路
- 血液媒介感染
症状
全身倦怠感、食欲不振、悪心など
対抗策
針刺し事故など、血液曝露などによる感染の防止。アルコール手指消毒剤による手指消毒が有効(十分な擦り込み時間が必要)。汚染器材は高水準消毒以上の処理が有効(例:80℃10分以上の熱水消毒、過酢酸製剤に5分浸漬など)。目に見える血液汚染がある場合は、0.5〜1%次亜塩素酸ナトリウムに染み込ませたガーゼ等で拭き取る。
C型肝炎ウイルス

C型肝炎の原因となる。感染者の血液を介して感染するため、医療施設では針刺し事故や粘膜などへの血液曝露による感染が問題となっている。症状が軽いものの、自覚症状がないまま病気が進むことがあり、感染者の7割前後は慢性化し、肝硬変から肝がんに進む可能性が高い。
主な分布
- 血液
感染経路
- 血液媒介感染
症状
全身倦怠感、食欲不振、悪心など
対抗策
針刺し事故など、血液曝露などによる感染の防止。アルコール手指消毒剤による手指消毒が有効(十分な擦り込み時間が必要)。汚染器材は高水準消毒以上の処理が有効(例:80℃10分以上の熱水消毒、過酢酸製剤に5分浸漬など)。目に見える血液汚染がある場合は、0.5%〜1%次亜塩素酸ナトリウムに染み込ませたガーゼ等で拭き取る。
クラブシエラ菌

日本では肺炎桿菌とも呼ばれる。人の腸管内に常在しているが、土壌や水など自然界に広く分布している。やや大型の腸内細菌でグラム染色では赤く染まる。アルコール多飲者や高齢者などで空洞形成を伴いやすい。重症肺炎の原因菌とされている。
主な分布
- 腸管
- 湿潤環境
感染経路
- 接触感染
症状
肺炎などの呼吸器感染症、尿路感染症、肝・胆道系の感染、敗血症、髄膜炎、腹膜炎など
対抗策
アルコール手指消毒剤による手指消毒が有効。環境整備には消毒用エタノールなどの中水準消毒が有効。
腸管出血性大腸菌

下痢原性大腸菌の1種で、通常の大腸菌とは異なる。代表的なものはO157やO111。1982年にアメリカで発生した加熱不十分なハンバーガーによる集団食中毒の原因菌として発見された。少量の菌数でも感染し、ベロ毒素を産生して、出血性大腸炎や溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こす。
主な分布
- 主に牛の腸内
感染経路
- 加熱不十分な食肉
- 食肉などから二次感染した食品
- 経口感染
- 接触感染
症状
出血性大腸炎、溶血性尿毒症症候群(HUS)
対抗策
アルコール手指消毒剤による手指消毒が有効。肉類は中心部まで十分に加熱調理(75℃、1分以上)し、生肉は食べない。生野菜は良く洗浄する。井戸水の定期的な水質検査を行う。
アデノウイルス

アデノウイルスは感染力が強く、小児感染症における重要な病原体のひとつであり、夏季によく問題となる咽頭結膜熱(プール熱とも呼ばれる)の主な病原体。エンベロープを持たないため消毒薬抵抗性が比較的強いと考えられている。
主な分布
- 眼分泌物
- 気道分泌物
感染経路
- 飛沫感染
- 接触感染
症状
咽頭結膜熱(プール熱とも呼ばれる)、流行性角結膜炎
対抗策
アルコール手指消毒剤による手指消毒が有効(十分な擦り込み時間が必要、殺ウイルス活性の実証された手指消毒剤による手指消毒の検討)。汚染器材は高水準消毒以上の処理が有効(例:80℃以上の熱水消毒、0.3%過酢酸に5分浸漬など)。中水準0.1%次亜塩素酸ナトリウムに30分以上浸漬。消毒用エタノールの二度武器や10分間の浸漬消毒も有効。
セレウス菌

セレウス菌は土壌細菌で米、麦など農作物をはじめ自然界に広く分布し、食品衛生法における食中毒菌として取り扱われる。90℃60分の加熱にも耐える芽胞を形成する。嘔吐型と下痢型の2種類あり、30℃前後の調理済食品中で急激に増殖する。
主な分布
- 環境
感染経路
- 経口感染
症状
嘔吐型は激しい吐き気・嘔吐、下痢型は腹痛・下痢
対抗策
食品から完全に除去することはできないため、必要最低限の食品を調理師、調理後はすぐに喫食する。菌の増殖を抑制するために、食品は低温保存、または温蔵する(8℃以下または55℃以上)。石けんと流水による手洗いが有効。機材に関しては、滅菌処理が必要(例:高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)、過酢酸製剤に10分間浸漬など)。
バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)

バンコマイシンに対して耐性を獲得した腸球菌。通常は病原性の低い細菌であり、定着していても感染症を起こすことは少ない。医療施設では、汚染された手指や医療器具を介して易感染患者に接触感染し、重症化する場合がある。
主な分布
- 腸管
感染経路
- 接触感染
- 飛沫感染
症状
呼吸器感染症、消化器感染症、敗血症、尿路感染症、褥瘡(床ずれ)や手術創部への感染など
対抗策
腸球菌と同様の対抗策で、アルコール手指消毒剤による手指消毒が有効。環境整備には消毒用エタノールなどの中水準消毒が有効。また、排泄物処理には特に注意が必要。
重症急性呼吸器症候群(SARS)

コロナウイルス科ベータコロナウイルス属のSARS(Severe Acute Respiratory Syndrome)コロナウイルスの感染による急性呼吸器症候群である。致死率は10%前後で、高齢者及び基礎疾患のある者での致死率はより高い。
主な分布
- 気道分泌物
感染経路
- 飛沫感染
- 接触感染
症状
急激な発熱、咳、全身倦怠感、筋肉痛など
対抗策
アルコール手指消毒剤による手指消毒が有効。環境整備には消毒用エタノールなどの中水準消毒が有効。
カンピロバクター

カンピロバクターは豚・牛・鶏の腸内に生息し、食品衛生法における食中毒菌として取り扱われる。特に鶏肉の汚染率が高く、少量の菌で感染し、犬・猫などのペットのふん便で感染することもある。
主な分布
- 豚・牛・鶏の腸内
感染経路
- 経口感染
症状
下痢、腹痛、発熱、頭痛、倦怠感など
対抗策
アルコール手指消毒剤による手指消毒が有効。肉類は中心部まで十分に加熱調理(75℃1分以上)し、生肉は食べない。調理器具類は洗浄・除菌後良く乾燥させ二次汚染を防止する。
多剤耐性アシネトバクター

通常のアシネトバクター感染症の治療に使用する抗菌薬がほとんど効かなくなっているもの。日本での定義は、カルバペネム系、フルオロキノロン系、アミノグリコシド系の抗菌薬全てに耐性を示す株とされている。
主な分布
- 皮膚
- 湿潤環境
感染経路
- 接触感染
- 飛沫感染
症状
肺炎、敗血症、尿路感染症、髄膜炎、創傷・火傷の感染など
対抗策
アシネトバクターと同様の対抗策で、アルコール手指消毒剤による手指消毒が有効。環境整備には消毒用エタノールなどの中水準消毒が有効。
黄色ブドウ球菌

黄色ブドウ球菌はヒトや動物に常在し、健常人の保菌率は約20〜30%と認識されています。手指等の傷口から感染し、化膿巣を形成。食中毒事例では食品取扱者の手指を介して食品が菌に汚染されることが多い。増殖時に100℃30分の加熱でも無毒化されない毒素(エンテロトキシン)を生成する。
主な分布
- 皮膚
- 鼻腔
- 腸管
感染経路
- 経口感染
症状
嘔吐、下痢、腹痛、尿路感染症、皮膚軟部組織感染症、肺炎、腹膜炎、敗血症、髄膜炎、トキソショック症候群
対抗策
アルコール手指消毒剤による手指消毒が有効。環境整備には消毒用エタノールなどの中水準消毒が有効。手荒れや傷(特に化膿している)がある場合は食品や調理器具に直接触れない。食品の低温保存(10℃以下)は有効。
結核菌

結核菌は細菌の中でも消毒薬抵抗性が強いことと、空気感染することが特徴で、適切な処理のほか、換気などの設備対策も重要となる。感染が成立しても発病率が10%程度(BCG未接種者)と低いが、発育速度が遅く、潜伏期間が長くなることから、二次感染防止のため、早期発見が重要となる。
主な分布
- 患者体内
感染経路
- 空気感染
症状
呼吸器症状(痰の咳、ときに血痰・喀血)と全身症状(発熱、寝汗、倦怠感、体重減少)がみられる。咳が2週間以上継続する場合、要注意高齢者では全身の衰弱、食欲不振などの症状が主となり、咳、痰、発熱などを示さない場合もある。
対抗策
アルコール手指消毒剤による手指消毒が有効。環境整備には消毒用エタノールなどの中水準消毒が有効。呼吸器関連器材は、0.05%〜0.1%次亜塩素酸ナトリウムへ30分間浸漬、熱水消毒(80℃10分)。感染者と接触する際は、N95マスクを装着する。
セラチア菌

水中や土壌などの自然界に広く分布し、糞便や口腔などから分離される常在菌の一種、洗面所や流し台などの湿気の多い場所に存在し、赤色からピンク色の色素を産生することが多く、洗面台などにバイオフィルムを形成しているのが見えることがある。健常者には通常病原性を示さないが、易感染者では菌血症や敗血症を引き起こす。
主な分布
- 腸管
感染経路
- 飛沫感染
- 接触感染
症状
菌血症、敗血症
対抗策
アルコール手指消毒剤による手指消毒が有効。環境整備には消毒用エタノールなどの中水準消毒が有効。
エルシニア菌

エルシニアは家畜(特に豚)、ネズミなどの野生小動物が保菌し、糞尿を介して食肉や飲料水を汚染する。2種類のエルシニア食中毒を引き起こす。低温域(4℃以下)でも増殖することができる。熱に弱く、加熱調理で完全に予防できる。
主な分布
- 排泄物
- 家畜・ペット・野生動物の腸管
感染経路
- 経口感染
症状
発熱、腹痛、下痢、2〜3歳の幼児に多い
対抗策
アルコール手指消毒剤による手指消毒が有効。環境整備には消毒用エタノールなどの中水準消毒が有効。肉類は十分に加熱調理(75℃1分以上)し、調理後は早めに食べきる。生肉などの長期冷蔵保存をしない。長く保存する場合は冷凍保存する。
中東呼吸器症候群(MERS)

サウジアラビアやアラブ首長国連邦など中東地域で広く発生している重症呼吸器感染症。ヒトコブラクダが、保有宿主(感染源動物)であると言われており、ヒトコブラクダとの濃厚接触が感染リスクであると考えられている。また、咳などによる飛沫感染や接触感染によるものであると考えられている。
主な分布
- 気道分泌物
- ヒトコブラクダの体内
感染経路
- 飛沫感染
- 接触感染
症状
発熱、咳嗽、肺炎、下痢などの消化器症状、多臓器不全(特に腎不全)、敗血性ショックなど
対抗策
アルコール手指消毒剤による手指消毒が有効。環境整備には消毒用エタノールなどの中水準消毒が有効。
腸炎ビブリオ

腸炎ビブリオは海水や魚介類に生息。好塩性で塩分3%前後でよく発育するが真水には弱い。発育速度が極めて速く、短時間で急速に増殖する。
主な分布
- 海水
- 魚介類
感染経路
- 経口感染
症状
下痢、腹痛、吐き気、嘔吐、発熱など
対抗策
アルコール手指消毒剤による手指消毒が有効。環境整備には消毒用エタノールなどの中水準消毒が有効。短時間でも冷蔵庫で保存し、増殖を抑える(4℃以下ではほとんど増殖しない)。魚介類は新鮮なものでも真水でよく洗う。二次汚染の防止(特に魚介類と他の食品の直接・間接的接触を徹底して避ける)。
ヘルペスウイルス

単純ヘルペスウイルス(HSV)は、HSV-1とHSV-2の2型に分類される。HSV-1は接触感染により口唇ヘルペスや角膜ヘルペスを起こす。HSV-2は性器ヘルペスの原因となり、主に性行為によって感染する。初感染(初めて感染した場合)、再感染(同じウイルスに再び感染した場合)、再発(初感染後、体に潜んでいたウイルスが、再活性化して現れる場合をいう)により、皮膚や粘膜に小水疱やびらん(ただれ)を主体とする病変が生じる、
主な分布
- 唾液
- 水疱内容物
- びらん
感染経路
- 接触感染
症状
皮膚・粘膜に小水疱やびらんが発生
対抗策
感染者が使用した食器やタオルの共用、ペットボトルなどの回し飲みなど、接触感染の回避。万が一患部に触れてしまった場合はアルコール手指消毒剤による手指消毒が有効。栄養バランスの取れた食事・十分な睡眠・ストレス解消による再発の防止。
ロタウイルス

ロタウイルスは、乳幼児の冬季下痢症の主要な病院ウイルスとして知られており、保育園などの乳幼児が集団生活する場でロタウイルスによる感染症が多く発生する。少量で感染し、突然の嘔吐、悪心、腹痛などが見られ、白色下痢便が特徴です。エンベロープを持たないため消毒抵抗性が比較的強いと考えられている。
主な分布
- 排泄物
感染経路
- 接触感染
- 経口感染
症状
下痢、嘔吐、発熱、腰痛
対抗策
石けんと流水による手洗いが有効。感染者の嘔吐物や便には多量のウイルスが含まれるため、その処理は適切に行う。
肺炎マイコプラズマ

マイコプラズマ肺炎の原因。小児や若い人の肺炎の原因として比較的多いものの1つで、例年報告される患者の80%は14歳以下。1年を通じてみられ、冬にやや増加する傾向にある。学校などでの短時間での曝露による感染拡大の可能性は高くなく、友人感での濃厚接触によるものが重要とされている。生物学的には細菌に分類されるが、細胞壁を持たないため多形性を示す。
主な分布
- 気道分泌物
感染経路
- 接触感染
- 経口感染
- 飛沫感染
症状
発熱や全身倦怠感、頭痛、長期(3〜4週間)にわたる咳、重症化すると肺炎を引き起こす。
対抗策
アルコール手指消毒剤による手指消毒が有効。環境整備には消毒用エタノールなどの中水準消毒が有効。
ボツリヌス菌

ボツリヌス菌は土壌中や河川、動物の腸管など自然界に広く生息する。酸素のないところで増殖し、熱にきわめて強い芽胞を作る。毒性の強い神経毒を作り、毒素の無害化には80℃で20分間の加熱を要する。原因食品の多くは、保存食品・発酵食品であり、飯寿司などの食品があげられる。
主な分布
- 腸管
- 環境
感染経路
- 経口感染
症状
特徴的な脱力感・めまいと吐き気・嘔吐・便秘など。(治療が遅れると呼吸困難などを引き起こして死に至る)
対抗策
新鮮な材料をよく洗浄してから食べる(神経毒素は80℃で30分間、100℃で数分間の加熱で失活する)。容器が膨張している缶詰や真空パック食品は食べない。1歳未満の乳児に蜂蜜などを与えない(乳児ボツリヌス症の予防)。
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)

黄色ブドウ球菌が薬剤耐性化した代表的な日和見感染起因菌。ヒトの皮膚や消化管内の常在菌である黄色ブドウ球菌と同等で、通常は無害。しかし、術後患者や免疫抑制状態の患者では、術後感染症や敗血症、髄膜炎、腸炎、肺炎など重篤な症状を引き起こすことがある。
主な分布
- 皮膚
- 鼻腔
- 腸管
- 環境
感染経路
- 接触感染
症状
敗血症、髄膜炎、腸炎、肺炎
対抗策
黄色ブドウ球菌と同様の対抗策でアルコール手指消毒剤による手指消毒が有効。ノンクリティカル器材を共有しない(患者専用/使い捨てにする)。不可能な場合には適切に消毒滅菌する。環境整備には消毒用エタノールなどの中水準消毒が有効。発症者には原則的に個室管理。
梅毒トレポネーマ

梅毒トレポネーマは梅毒の原因であり、低酸素状態でしか生存できない。このため、梅毒の感染経路は限定されており、感染している部位が皮膚や粘膜と直接接触することで感染する。特に、皮膚や粘膜に小さい傷があると、そこから入り込んで感染し、数時間後には血液にのって全身に広がる。
主な分布
- 血液
- 体液
感染経路
- 接触感染
- 血液感染
症状
感染ご、潜伏期を経て経時的に症状が出る。皮疹、粘膜疹、扁平コンジローマ、梅毒性脱毛など
対抗策
感染者との性行為や疑似性行為の回避。性行為におけるコンドームの正しい使用。注射器等の正しい取り扱い(使い回ししない)。