感染症の種類と特徴
インフルエンザの病原体はインフルエンザウイルスです。(ちなみに、よく似た名前の「インフルエンザ菌」という細菌がありますが、これは以前インフルエンザの原因と間違われたためにこのような名称になったもので、インフルエンザの原因ではありません。)
? インフルエンザとかぜの比較ポイント ?
インフルエンザ | 比較ポイント | かぜ |
---|---|---|
高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、せき、のどの痛み、鼻水など | 症状 | のどの痛み、鼻水、鼻ずまり、くしゃみ、せき、発熱(高齢者では高熱でないこともある) |
急激 | 発症 | 比較的ゆっくり |
強い倦怠感など全身症状 | 症状の部位 | 鼻、のどなど局所的 |
インフルエンザは、インフルエンザに感染している人の咳やくしゃみ、会話の時に空気中に拡散されたウイルスを、鼻腔や気管など気道に吸入することで感染します(飛沫感染)。感染の多くは、この飛沫感染によると考えられていますが、飛沫核感染(ごく細かい粒子が長い間空気中に浮遊するため、感染者と同じ空間にいる人がウイルスを吸入することによっておこる感染。感染の拡大に大いに寄与する。)接触感染(環境表面に付着したウイルスへの接触などによる感染)による感染も成立すると考えられています。
特に高齢者や慢性疾患を持っている人は、罹患した際に重症化する可能性が高くなるといわれます。特に高齢者の方は、高熱のため脱水に陥りやすく、また肺炎を起こしやすいのが特徴です。
また、冬期のように空気が乾燥してくると、飛沫とともにウイルスが空中に漂う時間が長くなると言われており、それだけに人へ感染していく危険性が高まります。
インフルエンザウイルスは、膜の表面が2種類の突起で覆われており、この突起は【H】と【N】と略される抗原です。インフルエンザが毎年流行るのは、この抗原がよく変わるためです。
生体は抗原を見分けて抗体をつくります。予防接種などで一度抗体を作れば同じウイルスにはかからなくなるのですが、この【H】、【N】にはそれぞれいくつかの種類があり、さらに【H】、【N】自身も少しずつ変化しており、したがって同じ種類の【H】、【N】の組み合わせでも、抗原としては毎年少しずつ異なっています。このため、一度インフルエンザの抗体を作っても、新しい組み合わせによる抗原には無効で、再度感染してしまうことになります。