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専門家コラム

子どもの感染症

夏場に子供のかかる感染症

横浜市立大学医学部附属病院臨床検査部 満田 年宏

夏場は細菌やウイルスが活発に増殖し、冬場のウイルスとともに感染症を引き起こしやすい時期である。衛生面に配慮して、感染予防と早期発見・早期治療を心がけ快適な夏を過ごして欲しい。以下、主要疾患を列記し解説する。

細菌・真菌性疾患

a.伝染性膿痂疹

黄色ブドウ球菌による化膿性皮膚疾患である。虫さされ・あせも・すり傷など微少な皮膚の創面を発端に感染発症する(右図)。アトピー性皮膚炎で黄色ブドウ球菌(うち15~30%がMRSA)を常在菌として持つ患児が発症しやすい。通年的に見られるが、とくに夏場に罹患しやすい。掻痒感のある水疱で初発し、穿破後は糜爛状になり、治癒過程では痂皮を形成する。掻痒感のため引っ掻くと掻き傷に沿って菌が伝播する。また自己接種による伝染先で、再び菌が増殖し水疱形成する。皮疹の拡散する様子が飛び火様なので「とびひ」という俗名で呼ばれている。治療は糜爛局面の皮膚科的処置はもちろんであるが、外用薬単独で治癒せしめることは困難であり、抗生剤の内服が必須である。医療機関受診をすすめる。

予防:スキンケアーと爪の手入れが重要である。どろんこいじりをした際には、流水手洗いを心がける。皮膚の衛生状態を保つため、夏場は発汗した際にこまめにシャワーを浴びて皮膚の雑菌の菌量をコントロールすると良い。

b.皮膚カンジダ症

いわゆる「おむつかぶれ」は、i.素材にかぶれる状態(接触性皮膚炎)と、ii.おしめの中で蒸れたことによる状態(汗疹[あせも])と、iiiカンジダなどによる皮膚真菌感染症に分けることが出きる。これらが複合的に症状を引き起こしている場合も稀でない。その区別は素人判断が難しいので、小児科医あるいは皮膚科医に相談して対処することが望まれる。皮膚カンジダ症の特徴として、ステロイド軟膏を塗布すると一時的良くなるが、暫くすると拡大する傾向がある。辺縁は比較的明瞭である。抗真菌薬の軟膏やクリームを塗布し治療するが、1ヶ月程度持続的に治療を続けないと再発する。

予防:夏場のスキンケアーと下着やおしめを時間単位で交換し、蒸れ対策を講ずることが有効である。

c.細菌性食中毒

サルモネラ、キャンピロバクター、ベロ毒素産生性大腸菌O157などが病原体として問題となる。下痢嘔吐や、下血などの消化器症状のある場合は、市販薬で済ませずに医師の判断を仰ぎ治療を受ける必要がある。

予防:夏場は高温のため、細菌の繁殖しやすい状況が生まれ食品が腐敗しやすい。再加熱は菌の産生した耐熱性毒素には有効でない。作り置きをする際には、急速冷凍を利用する。

ウイルス性疾患による夏風邪症候群には以下のような疾患が上げられる。

a.ヘルパンギーナ

6月末頃から初夏にかけて流行する。原因ウイルスは、コクサッキーA群ウイルスによるものが多い。症状は1~4日程度発熱と口の中にできる水疱性口内炎を呈する。皮疹を認めない。口内炎が痛くて食事や水分がうまくとれない場合がある。まれに大人も発症する。治療は、口内炎に対して鎮痛解熱薬で痛みを和らげる。口腔内潰瘍(口内炎)に対しては粘膜保護剤の軟膏を塗布する。浸透圧(糖分・塩分)の高いものを避けてゼリー状の食品を利用すると良い。5日程度で改善する。

予防:皮疹や風邪症状のある児童との接触を避ける。

b.手足口病

6月末頃から初夏にかけて流行する(近年季節性がなくなりつつある)。原因ウイルスはコクサッキーウイルス16型やエンテロウイルス71型による感染症である。手(右図)、足(四肢末端)と口の中の粘膜に水疱性発疹をきたす。1~3日間の発熱を伴う場合もある。粘膜面は自潰し潰瘍化するため(右図)疼痛を伴い、皮疹は通常掻痒感を伴うが自潰しない。発疹は手の平、足の裏に典型的には米粒のように少し細長い扁平状の水泡として出現する。最近の発疹は臀部や膝周囲にも出現することがあり診断に注意を要する。1~2才の乳幼児が最も多いが年長児にも見られ、まれに成人にも発症する。治療は、口内炎に対して鎮痛解熱薬で痛みを和らげたり、粘膜保護剤の軟膏を塗布したりする。5日程度で改善する。まれに髄膜炎の合併が見られる。

予防:皮疹や風邪症状のある児童との接触を避ける。

c.プール熱(咽頭結膜熱)

6月末頃から夏にかけて流行し割合プールを介しての感染事例が多いので、「プール熱」とよばれる。原因ウイルスはアデノウイルス3型が主体で、主な症状は発熱、咽頭痛、結膜炎である。高熱が5日前後持続する。眼症状として痛み、羞明、涙、眼脂などを認め、眼球充血が著明になる。5日前後で治癒する。対症療法で対処する。感染力が強いので、手指の衛生を保ち、接触感染予防を行う。

予防:粘膜疹や風邪症状のある児童との接触を避ける。

d.ノーウォークウイルスによる急性胃腸炎

小球形ウイルス(SRSV)による食品汚染が原因であるが、散発的に発症することから「おなかの風邪」として捉えられる場合が多い、臍上部痛を訴え、下痢・嘔吐を伴う場合が多い。通年発症例が見られる牡蠣の生食が最もリスクの高い食材である(牡蠣の鰓に集積している)。特効薬はないので対症療法主体となる。消化管運動機能を快復する薬剤を服用し整腸した上で、腸管浸透圧に調整した経口輸液(乳幼児用のイオン飲料など)による糖分・水分・電解質の補充を開始し、消化管の糜爛を取り除く。通常の食物の経口摂取を続けた場合、回復期点が遅れる場合が多い。検査診断法は確立されていないため確定診断が付けにくいが、通常経口補液を行うと数日で改善し、経過良好な疾患である。

予防:十分加熱調理した食品を摂取する。

先生のプロフィール

満田 年宏(みつだ としひろ)

専門分野
感染制御学、臨床検査医学、臨床微生物学
各種活動
日本感染症学会関係各種役職(評議員, 学会誌編集委員, 専門医試験出題 委員, 専門医試験ワーキング委員, 名簿委員, ホームページ担当委員)、日本臨床微 生物学会関係各種役職(評議員,ホームページ委員) 日本環境感染学会評議員、日本 臨床検査医会関係各種役職(会報編集主幹、遺伝子検査ワーキング委員)、厚生省院 内感染対策他
資格
医学博士、日本小児科学会認定医、日本リウマチ学会認定医、日本医師会認定 産業医、日本感染症学会認定医、ICD制度協議会認定ICD、日本アレルギー学会認定医