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Dr.ヨコヤマコラム

第178回:RSウイルス感染症、介護施設で集団感染、死者が発生。感染予防対策(感染者の早期発見、手洗いやマスク着用、消毒など)の徹底を!

 インフルエンザとノロウイルスなどによる感染性胃腸炎が、本格的に流行しています。小中学校や幼稚園、介護・医療施設などで集団感染が発生し、多数の発症者が出ています。

インフルエンザ インフルエンザは、1月中旬頃に流行のピークを迎える可能性があります。今のところ、検出されるウイルスは、A型(2019年に新型インフルエンザとして流行したH1N1亜型と、A香港型と称されるH3N2亜型)が、全体の9割以上を占めています。感染しないよう、十分に注意して下さい。

 ところで、2019年12月に介護施設で、RSウイルス感染症の集団感染による死者の発生事例が、新聞等で報道されています。同年11月から12月にかけて、滋賀県の介護施設で、入所者13人と職員1人の計14人が集団感染し、うち入所者2人(80代と90代の女性)が、急性肺炎で死亡しています。

 2014年にRSウイルス感染症が流行した時は、茨城県の介護老人保健施設で、入所者34人と職員2人の計36人が集団感染し、うち入所者2人(50代の女性、80代の男性)が肺炎などを併発して死亡しています。また、2017年12月から2018年1月にかけて富山県の介護老人保健施設でも、RSウイルス感染症の集団感染が発生し、入所者と職員の計49人が発症し、うち入所者13人が肺炎などで入院しています。

 上記3事例は、初動対応(感染者の早期発見と隔離、外部との面会禁止、消毒などの対策)に、何らかの問題(不備)があって、集団感染が発生した可能性があります。

 RSウイルス感染症は、すでに流行のピークが過ぎ、インフルエンザや感染性胃腸炎に比べ、患者報告数は少ないですが、1月以降も、国内各地で発症者が発生しています。

 2019年のRSウイルス感染症の推計発症者数は、12月15日の時点で136,599人に達しています。

 上記推計発症者数を都道府県別でみると、大阪府が12,190人と最も多く、次いで東京都(8,549人)、福岡県(7,918人)、北海道(6,683人)、兵庫県(6,401人)、愛知県(5,932人)、埼玉県(5,784人)、神奈川県(5,590人)の順で多く報告されています。

 また、12月9日から12月15日までの1週間当たりの推計発症者数は1,617人で、都道府県別では、北海道が290人と最も多く、次いで大阪府(123人)、長野県(82人)、愛知県(75人)、岩手県(74人)、兵庫県(63人)、埼玉県(61人)、神奈川県(55人)静岡県(52人)の順で、多数の発症者が報告されています(国立感染症研究所のIDWR;第50週、速報から)。

 RSウイルス感染症の発症者は、そのほとんどが乳幼児ですが、大人や高齢者も感染(発症)しています。

 ここ数年、RSウイルス感染症の感染(集団感染を含む)で、毎年、20人前後の死者が出ています(厚生労働省の人口動態調査から)。RSウイルス感染症の致死率は、インフルエンザより高く、約10倍以上と言われています。

インフルエンザ RSウイルス感染症は、RSウイルスの感染による呼吸器の病気で、飛沫感染や接触感染などによって感染し、感染が(知らぬ間に)拡大します。その症状(高熱や咳など)は、風邪やインフルエンザとよく似ています。発症者のほとんどは、軽い症状で止まり、治癒しますが、乳幼児や高齢者、肺や心臓などに基礎疾患がある子供などは、肺炎などの症状を引き起こす可能性があります。特に生後1ヶ月未満の新生児が感染すると、無呼吸を繰り返す呼吸困難など重症化して、死亡することがあります。

 RSウイルス感染症は、その存在が(世間に)あまり知られていないため、その怖さを十分に分かっていない人が多くいます。

 RSウイルス感染症の集団感染の発生を防ぐため、厚生労働省や国立感染症研究所は、発症者が多く報告されている地方自治体とともに、手洗いやうがい、マスク着用、咳エチッケット、消毒[環境(手洗い場やトイレ、ドアノブ、手すりなど)を含む]など感染予防対策の徹底を呼び掛け、感染が疑われる時は、早めに受診するよう、ホームページなどで注意喚起しています。

 家庭や福祉介護施設、保育施設などで、RSウイルス感染症の発生(拡大)が起きないよう、上記感染予防対策を推進、徹底して下さい。

 RSウイルス感染症の症状や対策などについて、厚生労働省の「RSウイルス感染症Q&A(平成26年12月26日)」や、国立感染症研究所の「IDWR 2018年第32号〈注目すべき感染症〉RSウイルス感染症」などで記されており、感染予防に役立てて下さい。

(2020.1.9)

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先生のプロフィール

横山 浩

1970年 大阪大学大学院薬学研究科博士課程修了 薬学博士、薬剤師

職歴
大阪府立公衆衛生研究所(薬事指導部、現食品医療品部)
(社)大阪府薬剤師会試験検査センター
サラヤ株式会社(現在)
学会・研究会活動
日本薬学会
日本環境感染学会
日本防菌防黴学会(環境殺菌工学研究部会)
環境管理技術研究会