サラヤ 福祉ナビ

福祉介護現場で知りたい!
感染対策・栄養改善・口腔ケアのサポート情報

Dr.ヨコヤマコラム

第179回:新型肺炎、中国で集団発生、他の国・地域に感染が拡大。日本でもヒト→ヒト感染を確認、手洗いや消毒など感染予防対策の推進、徹底を!

 昨年12月に、中国湖北省武漢市で、新しいタイプのコロナウイルス(2019-nCoV)による新型肺炎が集団発生しました。発生当初、武漢市の発症者の多くが、市内の海鮮市場に出入りし、市場で取引されていた食用の家畜や野生動物に接触していました。前記の野生動物から新型ウイルスが検出され、新型肺炎の感染源とされています。野生動物の体液や糞などに含まれるウイルス(2019-nCoV)を吸い込むなどして感染したものと推測されます。

新型肺炎は、今年1月以降、中国全土に感染が拡大し、中国以外の国・地域でも発症者が確認されています。2月4日9:00の時点で、中国では、発症者が20,438人、うち425人が死亡しています。日本国内でも、発症者が(少なくとも)16人見つかっています。これまで、中国を含む計25の国・地域で発症者が20,500人を超え、死者も400人を超えています。

 2002~2003年に中国を中心に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)では、世界で8,000人以上の発症者と770人以上の死者が出ましたが、今回の新型肺炎の発症者数は既にSARSの発症者数を超えています。

 新型肺炎は、発生当初、感染が限定的で、感染力が比較的弱いと言われてきました。しかし、今年1月以降、ヒト→ヒト感染例が相次いで確認され、ウイルスが変異するなどして、感染力が強まっている可能性があります。

 さらに新型ウイルスの潜伏期間は、約10日間で、1〜14日間の幅があります。長い潜伏期間中に、感染に気づかず、医師の診察を受けるまで、家庭や職場、医療機関、公共交通機関、商業施設など不特定多数の人が利用する場所(施設)で、他の人に感染を拡げる恐れがあります。

 SARSMERSコロナウイルス(CoV)は、人や動物に感染するウイルスです。ウイルス表面の突起が太陽のコロナによく似ていることから、コロナウイルスと名付けられています。これまで人に感染するコロナウイルスは、普通の風邪など比較的軽症の呼吸疾患を引き起こすものが4種類と、重い肺炎など深刻な呼吸疾患を引き起こすことがある重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)と中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)の計6種類が知られています。

 新型肺炎は、上記コロナウイルス感染症と同様、主に飛沫感染や接触感染などで感染します。ウイルスに感染すると発熱や咳、息切れなどの呼吸困難、全身倦怠感、下痢などの症状が出ますが、発症者の多くは、それ以上に重い症状にならず、1〜2週間で治癒しています。

 また、ウイルスに感染しても、前記のような目立った症状が出ない人(不顕性感染者)も多くいるようです。それだけに、他の呼吸疾患や慢性疾患など持病を持っている人や、体力(免疫力)が低下している高齢者などは要注意です。ウイルスに感染し、発症すると、重症化しやすく、重い肺炎などを併発して死亡することがあります。

 2020年に東京五輪を控え、新型肺炎の国内感染が拡大しないよう、国(厚生労働省)は、いろいろと対策を講じています。1月28日に、新型肺炎を感染症法上の「指定感染症」と、検疫法上の「検疫感染症」に指定することを決定しています。これによって、感染が疑われる人の強制入院や、入国者への強制検査などを行って、国内感染の拡大を防ごうとしています。

 新型肺炎は、これから先、中国を中心に、国内外でヒト→ヒト感染が発生し、まだまだ発症者が多発する恐れがあります。

 新型肺炎の感染拡大や、発症者の増加を防ぐため、感染者の早期発見と隔離、入院・治療、施設内感染の防止など必要な感染予防対策を、きちんと取り組むことが求められます。

 国(厚労省)や地方自体が提供する感染情報などを注視し、最新の正しい情報を共有しながら、新型肺炎が発生(流行)している地域や、人が多く集まる場所などを訪れる時は、感染が沈静化するまで、不要不急の外出を控えたり、人混みを避けるなどして、感染しないよう、十分に注意する必要があります。

 手洗い今のところ、国内のヒト→ヒト感染による発症者は少なく、新型肺炎の感染に、過度に恐れることなく、正しい知識(情報)を入手して、冷静に対応し、下記の感染予防対策を取り組んで、感染予防に努めることが望まれます。

新型肺炎の感染予防対策として、

     
  1. 1)手洗いやうがいを励行する。手指は、必要に応じてアルコール消毒する。
  2.  
  3. 2)適切なマスクの着用と、咳エチケットを順守する。
  4.  
  5. 3)予防策(マスクや手袋等の着用など)なしに、感染(発症)者との濃厚な接触(手を触れる、対面で会話すなど)は避ける。
  6.  
  7. 4)発症者が触れるドアノブや手すり、トイレの便座などは、こまめにアルコール消毒する。
  8.  
  9. 5)発症者の汚物(嘔吐物、排泄物など)は、適切に処理する(消毒など)。
  10.  
  11. 6)十分な休養と睡眠をとり、栄養バランスの取れた食事をして、健康の保持(維持)を心がける

 などの対策が挙げられます。感染の疑いがある人が見つかった時は、早く専門医の受診と治療を受けて、感染の拡大を防ぐことは言うまでもありません。新型肺炎の感染の疑いがあり、体調の変化など不安を感じた時は、地元の保健所や厚生労働省の専用コールセンター(☎03-3595-2285)でも相談することが出来ます。

家庭や職場、介護福祉施設、医療施設などで、新型肺炎の発生(拡大)が生じないよう、外来者の健康チェックをしながら、手洗いやアルコール消毒など必要な感染予防対策を推進、徹底して下さい。インフルエンザの感染予防にもつながります。

 新型肺炎の発生状況やの対策などについて、厚生労働省の「新型コロナウイルス関連肺炎の発生について」と、国立感染症研究所の「ヒトに感染するコロナウイルス」で記しており、参考にして感染予防に役立てて下さい。

(2020.2.5)

バックナンバー

先生のプロフィール

横山 浩

1970年 大阪大学大学院薬学研究科博士課程修了 薬学博士、薬剤師

職歴
大阪府立公衆衛生研究所(薬事指導部、現食品医療品部)
(社)大阪府薬剤師会試験検査センター
サラヤ株式会社(現在)
学会・研究会活動
日本薬学会
日本環境感染学会
日本防菌防黴学会(環境殺菌工学研究部会)
環境管理技術研究会