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Dr.ヨコヤマコラム

第175回:インフルエンザが流行の兆し、学校や幼稚園等で集団感染が相次ぐ。食中毒にも注意、手洗いや消毒などの感染予防対策の推進、徹底を!

 10月に入り、国内でインフルエンザや、RSウイルス感染症、ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎、腸管出血性大腸菌感染症、伝染性紅斑、手足口病などの発症者が多発しています。

咳き込む とくに今季は、インフルエンザが、8月頃から沖縄県など一部の地域で流行し、9月以降、各地で集団感染(A型が多い)が相次いで発生し、多数の発症者が出ています、9月15日までの1週間に全国の定点医療機関を受診した患者数は5,738人で、定点当たり1.17人となり、流行の目安とされる「1人」を超えています(国立感染症研究所のIDWR;第37週から)。

 インフルエンザの感染拡大に伴い、夏休み明けから、インフルエンザの集団感染が発生した小中学校や幼稚園、保育施設などで、学級・学年閉鎖や休園の措置が取られています。

 インフルエンザの流行は、例年、11月から12月に始まり、1月下旬から2月上旬にピークを迎えます。今季は、一部の地域を除き、昨季より約3ヶ月早く流行の兆しが見られ、極めて異例で、2010年以降では最も早い流行入りになります。

 インフルエンザの流行入りが早まった原因は、はっきりと分かっていませんが、主な要因として1)東南アジア(タイ、フィリピンなど)やオーストラリアなどでインフルエンザが流行しており、これらの流行地を渡航(旅行など)した人が感染して、ウイルスを国内に持ち帰った。2)1)に記した海外の流行地からの渡航(旅行など)者が、ウイルスを国内に持ち込んだ。3)8月から9月にかけて残暑が厳しく、部屋を密閉してエアコンをつけた室内が集団感染の場になって、一緒に過ごす時間が多くなり、感染するリスクが高くなっていることなどが挙げられます。これらの要因がいくつか重なり合って、家庭や職場、学校、幼稚園、保育施設等で、インフルエンザの感染が拡大している可能性があります。

咳き込む これから先、本格的に流行する季節に入り、発症者がさらに増える恐れがあります。インフルエンザの集団発生を防ぐため、予防接種を早めに受け、「手洗い、うがいの励行」や「適切なマスクの着用」、「咳エチケットの遵守」、「室内の定期的な換気」、「十分な睡眠と休養」、「栄養バランスのとれた食事」、「早期受診」など、必要な感染予防対策を推進、徹底して下さい。

 そして、食中毒(集団食中毒を含む)も相変わらず国内各地で発生しています。

 ここ2年(2018~2019年)の同時期(1~9月)を見ても、下表に示すようにウイルス(ノロウイルスが多い)による食中毒や、細菌(カンピロバクターなど)による食中毒、寄生虫(アニサキスなど)による食中毒などが多発しています。

表.食中毒の発生状況(令和元年度)
(速報;9月17日まで厚生労働省に報告があった発生事例)
病因物質 発生件数
ウイルス 136 (139)
細菌 カンピロバクター 113 (124)
ウェルシュ菌 9 (1)
サルモネラ属菌 8 (14)
黄色ブドウ球菌 9 (5)
腸管出血性大腸菌 7 (4)
セレウス菌 1 (2)
その他 4 (3)
寄生虫 アニサキス 132 (178)
クドア・セプテンクタータ 10 (3)
その他 1 (4)
自然毒 植物性 14 (8)
動物性 8 (8)
化学物質 2 (12)
その他 2 (4)
不明 8 (11)
合計 464 (520)
*(  )は平成30年度、9月5日までに報告があった件数

 上表を見る限り、今季は今のところ、昨季と比べて食中毒の発生件数が若干減少しています。しかし、これから先、食中毒が発生するシーズンを迎え、昨季と同じペースで食中毒が多発し、発症者が多く出る恐れがあります。

 高齢者や幼児は、体の抵抗力(免疫力)が弱く、食中毒や感染症にかかりやすく、適切な治療が遅れると、重症化(死亡を含む)することがあります。

 福祉介護施設や学校、保育施設などで、上記感染症や食中毒の集団発生が起きないよう、施設の職員や利用者等の健康管理(健康チェック)に加え、上記した感染予防対策(手洗いやうがいの励行、適切な消毒、タオルの共有を避けるなど)と、食中毒予防対策(食品の十分な加熱調理、適切な消毒・洗浄・除菌、食品の冷蔵・冷凍による保存など)を徹底する必要があります。食中毒や感染症の発症者(その疑いがある人)が出た時は、出来るだけ早く専門医による受診、治療を受けて、施設内における感染の拡大を防いで下さい。

(2019.10.7)

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先生のプロフィール

横山 浩

1970年 大阪大学大学院薬学研究科博士課程修了 薬学博士、薬剤師

職歴
大阪府立公衆衛生研究所(薬事指導部、現食品医療品部)
(社)大阪府薬剤師会試験検査センター
サラヤ株式会社(現在)
学会・研究会活動
日本薬学会
日本環境感染学会
日本防菌防黴学会(環境殺菌工学研究部会)
環境管理技術研究会