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専門家コラム

小林先生情報館

第4回:野菜、果物による食中毒について(その1)

わが国の年間を通じた食中毒で最も発生が多いのは細菌性食中毒ですが、原因食品に「野菜、果物」(キノコ、有毒植物は除く)が関係している事件は、近年増加の傾向がみられています。その理由には健康志向によるサラダなど生野菜や減塩した手軽な漬物の摂食機会の増加が考えられます。これらの食品は加熱工程や十分な発酵工程がないので、食材の汚染、調理や製造中の二次汚染、調理後の包装や保存時などの汚染による食中毒菌の増殖が原因となっています。ウイルス性のものはA型肝炎ウイルス以外はまだ報告がみられませんが、ノロウイルスによるものの発生が懸念されます。

汚染源は?

多くの野菜、果物などの食材は、栽培中は土壌や肥料中の微生物汚染、野鳥や野生動物による汚染などは避けられないものであり、調理前の洗浄と殺菌は必須の作業となります。この段階で汚染微生物をいかに除去するか、あるいは少なくするかが最も重要です。また近年は水耕栽培が盛んに行われ、使用する水の衛生状態の重要性は言うまでもありませんが、栽培する種子に微生物汚染があると栽培中に細菌が増殖し露地栽培よりも汚染菌量が多く、リスクとしては高いものになります。ついで収穫後の微生物汚染では、土を落とすための洗浄水、容器や包装材からの汚染、カットなどの前処理での汚染、調理中の使用器具、器材、調理場や処理・加工場内の塵、鼠属昆虫などからの汚染が考えられます。さらに野菜,果物の保管中に食肉や魚介類等の水滴や保冷庫などの棚などからの二次汚染も考えられます。

予防方法は?

一般に野菜、果物の汚染は表面だけで内部にはみられませんが、カット野菜(キャベツ、レタス、ほれんそうなど)では野菜から出る液(汁)によって細菌が増殖し、汚染菌量も増加するので出来るだけ早く食べるか、低温に保存することが必要となります(病原微生物検出情報,Vol.23)。また和え物やおひたし用として一度煮た野菜では細菌の増殖は旺盛になりますのであまり保存しないですぐに調理するのが安全です。例えばポテトサラダなどは一度加熱したものを調理するので安全と思われますが、和えたり、混ぜたりする調理時に汚染があると、それ以降には加熱工程がなく、提供までに要した時間が細菌増殖の時間となりますのでフタをして迅速に冷やし、冷蔵することが不可欠です。

食肉や魚類と野菜を同時に扱うときには、調理区域や使う調理器具等は完全に区別し、両作業を担当する場合の作業移動時は、爪ブラシによる手指の洗浄と消毒並びにエプロンなどの交換は必ず行うことが必要です。可能ならばそれらの作業工程を時間的に別にすることが望まれます。

予防方法
  • 野菜・果物からの二次汚染を防止する
  • 食肉や魚類と調理器具や調理区域を区別する
  • 一度、加熱処理した野菜はすぐに調理し、迅速に冷やす
  • 低温に保存する
  • 作業移動時には、手洗いを行う
  • 調理後、出来るだけ早く喫食する

以上は製造時までのリスクを書きましたが、次回は販売店舗での管理についてお話します。

獣医師、医学博士 小林 一寛