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ロタウイルスの名前の由来は、ラテン語の車輪という言葉です。電子顕微鏡で見ると、車輪状の構造が観察できます。
A~G群に分類され、このうちヒトに感染が認められるのはA・B・C群です。A群ロタウイルスは小児下痢症の主要原因で、乳幼児期までに大部分が感染し、生後1歳までに50%、3歳までに90%が抗体を獲得します。
発展途上国などでは栄養状態や治療が十分でなく、毎年40万人以上の子どもが命を落としており、これは世界のどこかで約1分に1人の子どもがロタウイルスによる胃腸炎で亡くなっていることを意味します。幸い日本では、脱水症状改善など適切な治療も行われ、これが原因で亡くなる子どもはほとんどいません。しかし、高齢者の介護施設等では集団胃腸炎の原因にもなるので、注意が必要です。
ロタウイルスによる胃腸炎は、わが国では2~3月に最も多く発症します。潜伏期間は48時間以内で、主として乳幼児に症状が見られます。ところが、生まれてから約6か月以内にはほとんど罹患しません。母親から免疫がプレゼントされているためです。ただし、それが切れると、感染します。他の胃腸炎ウイルスに比べると、症状が重い傾向がありますが、一般的に胃腸炎症状のみで軽快することがほとんどです。下痢や嘔吐で失った水分などの補給をすることがポイントです。
ロタウイルスは、下痢便中に1億~100億個(1グラムあたり)と実に大量に排泄されています。したがって、おむつの適切な処理、おむつ替えの後の手洗い、汚染された衣類等の消毒など、患者の糞便とそれによる汚染物品の処理が感染拡大防止のポイントとなります。除菌作用があるウェットティッシュで手を拭くだけでは、手に付着したウイルスを除去するには不十分で、消毒用石けん等を使用し、流水でしっかりと洗い流すことが大事です。本人と同居者の手洗いが何よりも重要です。
日本では、亡くなる子どもがいないので、ワクチンは不要と思われるかもしれませんが、発展途上国では毎年多くの子どもが犠牲になっています。公衆衛生の徹底した先進国でも、感染が毎年繰り返されています。このため、接種費用と医療費+家族看護費とを比較した費用対便益分析によって、ロタウイルスワクチンの必要性が進められています。ただし、日本では認可されていません。