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典型例では、その病名の通り、長期に咳が続きます。原因は、百日咳菌という細菌です。潜伏期間は1週間前後で、鼻水、くしゃみ、軽い咳などで始まり、初期は通常の風邪と区別できません。次第に、咳の回数が増え程度も激しくなります。この時期に認められる発作性の連続する咳(スタッカート)と、息を吸う時の笛のようなヒューという音(レプリーゼ)が、百日咳の特徴的な症状です。発熱はないか、あっても微熱程度です。
DPT(ジフテリア・百日咳・破傷風)混合ワクチンによる予防接種が制度化され、患者数は大いに減りましたが、患者は散発しています。
生まれたての赤ちゃんや低月齢の乳児では、特に重症化する場合が多く、呼吸が止まってしまうことさえあります。一方、学齢期の年長児や大人では、症状が軽く、咳がちょっと長く続くという程度で済んでしまいます。
そのため、最も困ることは、このような軽症で診断がつかずに放置されている年長児や大人の患者から、赤ちゃんや乳児に病気がうつって、重症化してしまうことです。百日咳菌の感染力は強く、免疫のない家族への感染率は80%に達するとさえいわれています。
米国では2006年から、年長児や成人の百日咳患者が増加し、彼らが子どもたちへの感染源となっていることを問題視し、社会全体の免疫力を高めるために、11歳以上に対する新しいワクチンDPT(日本で12歳に接種されているDTワクチンに百日咳抗原も加えたもの)が定期接種として導入されました。欧米では、このような日本よりも年長児への接種が一般化しており、日本でも保菌者を減らすために、同様の対策を展開することが必要です。
実際に日本でも、成人から小児への百日咳感染例が報告されています。咳がやけに長く続くと感じる人は、適切な治療を受け、決して子どもたちに被害を及ぼすことがないよう注意しましょう。
呼吸器感染症の多くは、飛沫感染により感染します。しかし、飛沫感染以外にも感染経路はあります。例えば、咳をする際に、手を口に持っていき、ウイルスや細菌が大量に付着した手で、無意識のうちにいろいろなところに触れ、感染させることもしばしばです。百日咳も、唾液や鼻水などの呼吸器分泌物を介して伝播します。したがって、最も適切な感染経路遮断策は、「こまめに手を洗う」ことです。そうした基本的習慣を身につけることが重要です。