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感染症専門家コラム
Dr.大越コラム

海外派遣企業向けインフォメーション~西新橋発→→Dr.大越のメッセージ~

海外派遣企業向けに世界地域別の感染症発生内容や危機管理情報を配信します。

氏名:
大越 裕文 氏
現職:
医療法人社団航仁会 渡航医学センター 西新橋クリニック 理事長

1981年東京慈恵会医科大学卒業、同大学第一内科助手。米国留学後、1994年から14年間、日本航空健康管理室に勤務、お客様健康問題対策、航空機内AED導入、客室乗務員教育を担当。2008年8月渡航医学センター西新橋クリニック院長。日本渡航医学会副理事長、日本宇宙航空環境学会理事。現在に至る。

海外感染症通信(臨時号)

梅雨が明けると、熱中症の季節となります。昨年までは、熱中症対策は高温多湿環境下で作業をする方々を中心に注意喚起が発せられてきました。しかし、今年は、節電の影響で、オフィス内の冷房温度が高めに設定されています。したがって、全職場で、熱中症の対策を行う必要があります。梅雨が明けない前から熱中症に備えましょう。

節電の夏 職場での熱中症対策

1.熱中症とは

熱中症とは、高温多湿な環境下において、体内の水分及び塩分(ナトリウム等)のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻するなどして、発症する障害の総称で、めまい・失神、筋肉痛・筋肉の硬直、大量の発汗、頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐(おうと)・倦怠(けんたい)感・虚脱感、意識障害・痙攣(けいれん)・手足の運動障害、高体温などの症状が現れます。

2.熱中症予防の基本

  • 真夏になる前に暑さに強い体を作りましょう。
  • こまめに水分補給、塩分(ナトリウム)も忘れずにとりましょう。

注意)
水だけでは、水分補給になりません。むしろ脱水を助長します。水分と塩分の補給が大切です!!また、喉が渇く前に補給するのがポイントです。

  • 衣服の工夫で暑さを防ごう! ノー上着・ノーネクタイの軽装を実行しましょう。
  • 冷却グッズを上手に使い、より快適に!
  • 住まいの工夫で暑さに対応しよう!
  • 屋外では日陰を選んで通行し、涼しい木陰建物の陰に。
  • 暑さに耐えられない場合は,冷房の効いた場所に避難しましょう。

日本気象協会 熱中症予防情報サイト

3.熱中症のリスクを知りましょう

1)熱中症指数の確認

日本気象協会ホームページでは、毎日情報が発信されています。

2)リスクの高い日や時間帯

気温が高い、湿度が高い、風が弱い、日差しが強い日が危険です。
その他、夏の初め頃、急に気温が高くなるとき、梅雨の合間に突然気温が上がった日が危険です。
職場でも、7月と8月をピークに20人前後の死亡災害が毎年発生しています。時間帯別では、午後2時台から午後4時台の間に多発しています。この時間帯は気温が最も上昇し、また、疲労も蓄積するときです。

3)WBGTの活用

熱中症のリスクの高い職場では、気温ばかりではなく、湿度、風速、輻射(放射)熱を考慮して総合的に評価してください。WBGT(湿球黒球温度)は、こうした要素を総合した指標です。

参考

WBGT(湿球黒球温度指標)の算出方法
【屋外】WBGT=0.7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度
【屋内】WBGT=0.7×湿球温度+0.3×黒球温度

WBGTと熱中症のリスク

表1 WBGT指数と作業の指針
代謝率区分WBGT基準値(℃)
熱に順化している人熱に順化していない人 *
0、安静 33 32
1、軽作業 30 29
2、中等度の作業 28 26
  気流あり 気流なし 気流あり 気流なし
3、激しい作業 25 26 22 23
4、きわめて厳しい作業 23 25 18 20

* 作業する前の週に毎日熱にさらされていなかった人

4.救急処置

熱中症の疑いの患者が発生した場合に、近くにいる人が対応しなければなりません。熱中症の基本的な対応のフローを確認しましょう。
熱中症の救急処置
sorce:厚生労働省 熱中症を防ごう(PDF)

5.職場の対策のチェックポイント

みなさんの職場の熱中症対策をチェックしておきましょう。

  1. WBGT値を知っていますか?
  2. WBGT値の低減を図っていますか?
  3. 休憩場所は整備していますか?
  4. 高温多湿作業場所などで、連続作業時間の短縮を図っていますか?
  5. 高温多湿作業場所に労働者を就かせる際に、順化期間を設けていますか?
  6. 自覚症状の有無に関わらず、労働者に水分・塩分を摂取させていますか?
  7. 労働者に、透湿性・通気性の良い服装や帽子を、着用させていますか?
  8. 作業中の巡視を行っていますか?
  9. 健康診断結果に基づき、就業場所の変更・作業転換などの措置を講じていますか?
  10. 日常の健康管理について、労働者に指導していますか?
  11. 作業開始前・作業中に、労働者の健康状態を確認していますか?
  12. 体温計などを常備し、必要に応じて身体の状況を確認できるようにしていますか?
  13. 熱中症を予防するための労働衛生教育を行っていますか?
  14. 熱中症の発症に備えて、緊急連絡網を作成し、関係者に周知していますか?
  15. 熱中症を疑わせる症状が現れた場合の救急処置を知っていますか?

▼対応が不十分な場合はこちら
厚生労働省 熱中症を防ごう(PDF)
厚生労働省 熱中症予防対策マニュアル