Dr.大越コラム
海外派遣企業向けインフォメーション~西新橋発→→
Dr.大越のメッセージ~
海外派遣企業向けに世界地域別の感染症発生内容や危機管理情報を配信します。
- 氏名:
- 大越 裕文 氏
- 現職:
- 医療法人社団航仁会 渡航医学センター 西新橋クリニック 理事長
1981年東京慈恵会医科大学卒業、同大学第一内科助手。米国留学後、1994年から14年間、日本航空健康管理室に勤務、お客様健康問題対策、航空機内AED導入、客室乗務員教育を担当。2008年8月渡航医学センター西新橋クリニック院長。日本渡航医学会副理事長、日本宇宙航空環境学会理事。現在に至る。
海外感染症通信(特別号1)
3月11日午後 2 時 46 分ごろ、マグニチュード 9.0 を記録する未曾有の大地震が東北地方太平洋沖で発生し、多くの方が津波や火災など犠牲になり、家を失ったため数十万人の方が不自由な避難所での生活を強いられています。
被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。
今後は、避難をされている方(避難者)の健康状態が大変心配です。設備が不十分な場所での避難生活は、感染症のリスクが高くなります。特に、傷口からの感染症、呼吸器感染症、下痢などの消化器感染症の発生が問題となるでしょう。そこで今回は、いつもの海外感染症情報を中止し、アメリカ疾病予防センターの"避難所における感染症コントロールガイダンス"の一部を紹介します。
避難されている方々の感染症対策の参考にしてください。
避難所における感染症一般的対策
避難所のスタッフ全員と避難者が適切な感染症予防策を行うことにより、感染症の拡大を軽減することは可能です。
- 1.基本的予防策
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- 全員が石鹸を使用して手洗いをする。あるいは頻回に水洗いをする。子供の手洗いは大人が介助すべきである。
- 石鹸やきれいな水が使用できない時は、手指用消毒アルコールを使う。
- 手指用消毒アルコールは避難所の適切な場所に設置すべきである。特に、食事の配給を受ける前やトイレの外に設置すると感染症予防に有効である。
- ティッシュを用いた咳エチケット、使い終わったティッシュはごみ箱へ捨て、手を洗うか手指用消毒アルコールを用いる。可能ならティッシュを配布する。
注意)避難所には手洗いに必要な水を確保するのが難しくなります。そのような場合は、手指用消毒アルコールを配布するのが有用です。
- 食器や飲み物の容器は共用しない。
- くし、カミソリ、歯ブラシ、タオルも共用しない。
- 清掃・消毒を定期的に行う。
- 2.手洗いが推奨される時(アルコールジェル使用も含む)
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- 食事をする前。
- 調理していない食品(生の肉、鶏肉、魚)を扱った後。
- トイレの使用後。
- おむつを取り替えた後、排便後の子供をきれいにする時。
- 具合が悪い人の世話をする前後。
- 傷の処置をする前後。
- 鼻をかんだ後、咳、くしゃみをした後。
- 動物や動物の排泄物を処理した後。
- ごみを取り扱った後。
注意)食品を扱う人は、手指用消毒アルコールで代用しないで、石鹸で手を洗ってください。
- 3.避難所入所時の感染症チェック
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避難されてくる方は、すでに感染症にかかっている可能性が十分あります。避難所は、人が密集しており、衛生管理が不十分なことから感染症が急速に広がる可能性があります。特に、呼吸器系の疾患や下痢性の疾患、皮膚の感染症が蔓延する可能性があります。すべての避難民は、熱、咳、皮膚の発赤、痛み、傷、嘔吐、下痢などの有無をチェックすべきです。このような人々はまず、医師等が診察を行い、適切な処置を行う必要があります。
- 4.避難者が感染症にかかったら
- 避難生活を送っている方から、感染症を疑わせる症状をもった人が出た場合、他の方から隔離し、特別なケアができる施設に移送すべきです。移送までは、他の人から隔離された部屋待機させてください。同じような症状が出ている人が確認されたら、症状別に全員同じエリアに隔離すべきです。 咳などの症状がある人には、マスクを着用させるべきです。症状があるスタッフは働いてはいけません。治療を受けるべきです。
- 今季のインフルエンザシーズンはまた終わっていません。避難生活では、手洗い、うがいなどが容易にできなくなりますので、手指用消毒アルコールなど上手く活用して、感染症予防を行うことが大切です。
アメリカ疾病予防センターより一部抜粋
関連情報
厚生労働省:被災地での健康を守るために
国立感染症研究所感染症情報センター:被災地・避難所における感染症リスクアセスメント(2011年7月11日現在)