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家族で知る感染症~Dr.中野の予防塾~
いざという時に役立つ、家庭向けの感染症予防が満載です!
1983年信州大学医学部卒業、1983年三重大学医学部付属病院小児科研修医、1984年尾鷲総合市民病院小児科、1985年国立療養所三重病院小児科、1987年ガーナ共和国野口記念医学研究所派遣(2年間)、1989年三重大学医学部小児科、1995年国立療養所三重病院小児科(この間、中国ポリオ対策プロジェクトへ1年間派遣)、2004年4月 独立行政法人化により“国立病院機構 三重病院”と改称、2010年7月 川崎医科大学小児科教授、現在に至る。
本年も暑い季節がやってきました。この時期に注意しなければならない病気として熱中症や食中毒はよく知られていますが、夏にかかりやすい病気は他にもあります。今回は、それらの中で感染症を中心に解説しましょう。子どもがかかる病気が多いですが、大人にとっても要注意です。
アデノウイルスの感染により、この病気は起こります。学校でプールの授業が行われる頃にしばしば流行が認められるため、"プール熱"と呼ばれることもありますが、プールが主たる感染の場であるような誤解を招き、正しい呼び方ではありません。飛沫感染や接触感染により伝播します。高熱が数日以上続く場合も多く、咽頭や扁桃腺の炎症が目立ち(写真1)、結膜炎を合併することもあります。学校保健安全法では、症状が軽快して2日間経つまでは出席停止が規定されています。
写真1.アデノウイルスによる咽頭炎
咽頭(いんとう;"ノド")の粘膜は赤くなり、扁桃腺は腫れて白い点状のものが表面に付着しています。咽頭と扁桃腺に強い炎症が認められることを示す所見です。
コクサッキーウイルスやエンテロウイルスなどエンテロウイルス属に分類されるウイルスで起こる病気です。手足口病ではその名の通り「手」「足」「口」に発疹が現れます。実際の手と足の発疹を(写真2)に示しますが、口の中や唇とその周囲にも発疹が出ます。ヘルパンギーナでは、咽頭の粘膜に発疹が出ます(写真3)。
年少の子どもでは、口の中の発疹が沁みて痛みのために食事がとれずに困ることがしばしばありますが、通常は数日で軽快傾向に向かいます。熱が無くて元気になれば、登校は可能です。
エンテロウイルス属のウイルスは、時に脳など中枢神経にも病気を起こします。"無菌性髄膜炎"は、細菌ではなくウイルスによる髄膜炎ということでこのように名づけられていますが、夏季にしばしば流行が見られます。手足口病やヘルパンギーナの症状に引き続いて無菌性髄膜炎が起こることもありますが、最初から髄膜炎の症状で発症する場合もあります。発熱、頭痛、吐気、嘔吐などの症状が強い時は、その可能性があり、年長児や成人もしばしばかかります。
写真2.手足口病
手足口病の手足の発疹は、手掌(しゅしょう;"てのひら" )や足底(そくてい;"あしのうら" )に現れることが多いですが、時に手首や前腕・上腕、足首や下腿・大腿にも認められます。水疱(すいほう;"みずぶくれ" )様の発疹ですが、みずぼうそうの水疱よりも硬い感じです。
写真3.ヘルパンギーナ
咽頭(いんとう;"ノド" )の粘膜に、周囲に赤みを伴う水疱(すいほう;"みずぶくれ" )様の発疹が認められます。
国立感染症研究所感染症情報センターHP:手足口病
国立感染症研究所感染症情報センターHP:ヘルパンギーナ
国立感染症研究所感染症情報センターHP:無菌性髄膜炎
これまでの病気はいずれもウイルスが原因ですが、伝染性膿痂疹は細菌の1種である黄色ブドウ球菌で起こります。皮膚の感染症ですが、火事が飛び火するように離れた部位の皮膚や他人にも感染するので"とびひ"とも呼ばれます。皮膚症状は、黄色ブドウ球菌が産生する毒素により起こります(写真4)。
直接の接触以外に、衣類など媒介物を介して感染が起こることもあるので、タオルの共用や洗濯物などには注意が必要です。
写真4.伝染性膿痂疹(とびひ)
皮膚が赤くなって、びらん(表皮が破壊されて下の組織が露出した状態)や膿疱(のうほう;膿がたまった発疹)ができて、膿疱は破れることも多いです。その後は痂皮(かひ;"カサブタ")になります。
《写真提供:すずかこどもクリニック院長 渡辺正博先生》