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感染と予防

子供の感染対策コラム

No.3 感染症による出席停止期間 -新しい年度をむかえて-

児童が集まる場の感染症対策の情報をお届けします

集団生活における感染症のリスク

多くの感染症は、病原体が人から人に伝播して発症します。学校や幼稚園・保育園といった集団生活の場では、子ども同士の距離が近く、接触の機会も多く、病原微生物が伝播しやすい環境です。加えて、年少児は未だかかったことのない病気が多く、それらの感染症に対して免疫がありません。さらに、体の抵抗力も一人前に成長してはおらず、病原体をはね返す力が弱い状態です。すなわち、子どもたちの集団生活の場は、感染症の流行しやすい条件が揃っているのです。

学校保健安全法

学校や幼稚園は、子どもたちが集団生活の中で様々なことを学び、成長してゆく教育の場です。望ましい教育環境を維持するためには、そこで病気が流行らないようにすることが大切であり、そのために「学校保健安全法」が制定されています。そして、学校保健安全法施行規則では、予防すべき感染症の種別や、各疾患の出席停止期間の基準が定められています。

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どんなときに学校を休む?

感染症にかかったときに学校を休む理由は2つあります。まずは「療養して健康を回復すること」で、病気の子どもに対してもっとも気を配ってあげたいことです。もうひとつは「他人を病気にしないこと」です。 病原体を多量に排泄し他人へ病気をうつしやすい期間は集団の場への参加を控えることが社会的なマナーで、これが「出席停止期間」に相当します。

1.第一種感染症

第一種感染症には、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)の一類感染症と結核を除く二類感染症の病気が含まれます。第一種感染症に分類される病気は重篤なものが多く、完全に治る(治癒)までは出席を停止します。<表1>

<表1> 第一種感染症に分類される疾患と出席停止期間(学校保健安全法施行規則)

疾患名 出席停止期間
エボラ出血熱 治癒するまで
クリミア・コンゴ出血熱
痘そう
南米出血熱
ペスト
マールブルグ病
ラッサ熱
ポリオ (急性灰白髄炎)
ジフテリア
重症急性呼吸器症候群 (病原体がSARSコロナウイルスであるもの)
中東呼吸器症候群 (病原体がMERSコロナウイルスであるもの)
特定鳥インフルエンザ (感染症法で規定される特定鳥インフルエンザ)

2.第二種感染症

第二種感染症には、インフルエンザ(特定鳥インフルエンザを除く)、百日咳、麻しん、流行性耳下腺炎、風しん、水痘、咽頭結膜熱、結核、髄膜炎菌性髄膜炎が含まれます。これらの疾患は、おもに飛沫感染し、児童生徒などの罹患が多く、幼稚園や学校において流行を広げる可能性が高い感染症です。
第二種感染症は、それぞれの病気ごとに出席停止期間の基準が定められています<表2>。たとえば、インフルエンザにかかった小学生は、発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまでは通学せずに療養します。水痘にかかった場合は、すべての発しんが痂皮(カサブタ)になるまで幼稚園や学校へは行けません。

<表2> 第二種感染症に分類される疾患と出席停止期間(学校保健安全法施行規則)

疾患名 出席停止期間
インフルエンザ(特定鳥インフルエンザを除く) 発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児では3日)を経過するまで
百日咳 特有の咳が消失するまで、または、5日間の適正な抗菌薬による治療が終了するまで
麻しん 解熱した後3日を経過するまで
流行性耳下腺炎 耳下腺、顎下腺又は舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ、全身状態が 良好になるまで
風しん 発しんが消失するまで
水痘 すべての発しんが痂皮化するまで
咽頭結膜熱 主要症状が消退した後2日を経過するまで
結核 病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで
髄膜炎菌性髄膜炎 病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで

*ただし、出席停止期間については、病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めたときは、この限りでない。

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「出席停止期間」の日数の数え方

「○○した後△日を経過するまで」という場合、「○○」という現象が見られた日の翌日を第1日として算定します。例えば、「解熱した後2日を経過するまで」の日数の数え方は、以下のようになります。火曜日に解熱が確認された(たとえば火曜日正午に平熱となり、その後は発熱無し)のであれば、水曜日が解熱後1日目、木曜日が解熱後2日目に相当し、この間発熱がない場合は金曜日から登校可能です。図1では①の数え方が正しく、②や③ではありません。

図1.出席停止期間の日数の数え方 (例:解熱した後2日を経過するまで)

2.第三種感染症

学校教育活動を通じ、学校において流行を広げる可能性がある感染症が規定されています。 出席停止期間の基準は、病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認められるまでです。<表3>

<表3> 第三種感染症に分類される疾患と出席停止期間(学校保健安全法施行規則)

疾患名 出席停止期間
コレラ 感染のおそれがないと認められるまで
細菌性赤痢
腸管出血性大腸菌感染症
腸チフス
パラチフス
流行性角結膜炎
急性出血性結膜炎
その他の感染症(必要時のみ)

日常から予防行動の実践を!

感染症対策においては、その予防が何よりも大切です。手洗いの励行や身の回りを清潔に保つなど、日常の生活から予防行動の実践を習慣づけることが効果的です。ワクチンで予防することのできる疾患も多く、必要な予防接種は済ませておきましょう。そして、周囲の大人や教職員の皆様も、予防を心がけるという心構えを忘れないでいただきたいと思います。

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「正しい手洗い」の手順を覚えましょう

手洗いするときを思い浮かべてみましょう。手の平は一生懸命洗う人が多いかもしませんが、指先、親指、指の間、手首などは不十分になりやすく、また、きき手は洗い残しが多くなるので、気をつけましょう。

手洗い手順は無料でダウンロードできます!※ダウンロードには無料の会員登録が必要です
http://pro.saraya.com/support/catalog-poster/

(参考資料)

  1. 1) 学校保健安全法施行規則:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S33/S33F03501000018.html
  2. 2) 公益財団法人日本学校保健会(文部科学省著作物複製許可25文科初第399号):学校において予防すべき感染症の解説.丸善, 2013.
  3. 3) 中野貴司:第一種・第二種の感染症.小児科 2015;56:1551-1556.
  4. 4) 中野貴司:「学校における感染症の予防(学校保健安全法)」.監修(小児科) 渡辺博.今日の臨床サポート.永井良三ほか編.エルゼビア・ジャパン,2016(ウェブサイト:http://clinicalsup.jp/jpoc/).
  5. 5) 中野貴司:感染症と登園・登校許可基準.責任編集 五十嵐隆.小児科研修ノート第2版.pp.222-226.診断と治療社,2014.

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PROFILE

川崎医科大学 小児科

教授中野 貴司

中野先生1983年信州大学医学部卒業、1983年三重大学医学部付属病院小児科研修医、1984年尾鷲総合市民病院小児科、1985年国立療養所三重病院小児科、1987年ガーナ共和国野口記念医学研究所派遣(2年間)、1989年三重大学医学部小児科、1995年国立療養所三重病院小児科(この間、中国ポリオ対策プロジェクトへ1年間派遣)、2004年4月 独立行政法人化により"国立病院機構 三重病院"と改称、2010年7月 川崎医科大学小児科教授、現在に至る。

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