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●Dr.ヨコヤマの専門家コラム

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第83回:『コンタクトレンズ(CL)の不適切な使用で、アカントアメーバによる角膜感染症が起きないよう、目のケアと定期検査の受診を!』

 インフルエンザと感染性胃腸炎が国内で流行、多発しています。インフルエンザは、1月に入って、小中学校や保育施設、医療施設等で集団感染が多発しています。その殆どがA香港型で、B型も(一部地域で)報告されています。

 また、感染性胃腸炎も、飲食提供施設や宿泊施設、保育施設、福祉介護施設等で、その集団感染が発生しています。その殆どは、ノロウイルスによるものですが、カンピロバクターによる集団感染も多発しています。

インフルエンザや感染性胃腸炎の集団感染で死者が発生!

マスク インフルエンザや感染性胃腸炎は、今のところ、感染(発症)の早い段階で、医師の診断を受け、適切な治療が行われているためか、殆どの感染者が軽症で治癒しています。しかし、体の抵抗力(免疫力)が低下した高齢者は、感染(発症)後、稀に重症化(死亡を含む)することがあります。筆者が知るだけでも、埼玉県や茨城県の医療施設で、80~90代の患者(計3名)がインフルエンザによる院内感染で死亡しています。また、北海道の介護施設で、80代の入所者がノロウイルスによる集団感染で死亡しています。自施設で、上記集団感染(感染死者を含む)が発生しないよう、十分に注意して下さい。

 ところで、今季は、1月下旬になっても、雨が殆ど降らず、低温・低湿の日が続き、気象庁が連日、乾燥注意報を出しています。日中の気温が10℃以下、外気の湿度が50%以下の寒い時期は、空気も乾燥しています。上記インフルエンザや風邪、のどの痛み、肌荒れだけでなく、眼の障害も生じやすく、角膜乾燥症(ドライアイ)や感染症に罹患しやすくなっています。

1~2月、空気が乾燥している時は、目の病気(ドライアイや感染症など)に注意!

 コンタクトレンズ(CL)を使用している人や、ドライアイで涙の分泌が低下している人は、CLや手に汚染した病原性の微生物(細菌や真菌、ヘルペスウィルス、アカントアメーバなど)に感染して、結膜炎や角膜炎を発症することがあります。早期の診断と適切な治療が遅れると、視力が低下したり、失明するおそれがあります。

 近年、使い捨てタイプや頻回交換型のソフトコンタクトレンズの普及が進み、CLの使用が(若い世代を中心に)増え、その数は約1800万人とも言われています。その一方で、CLの使用が原因となった目のトラブル(眼障害)も増大しています。眼障害として、アカントアメーバ角膜炎(Acanthamoeba Keratitis)や角膜潰瘍、角膜血管新生、角膜上皮びらん、角膜内皮障害などが報告されています。

 上記眼障害は、CLの不適切な使用や、目を乾燥させないケア不足などが主な原因となって発生しています。また、CLの使用で眼障害を起こした人の多くが眼科医による定期検査を受診していないことも判明しています(日本眼科医会の調査から)。

 1~2月の寒い時期、空気が乾燥し、屋内外の湿度が40%以下となっている時は、室内に居ても目のケアが必要です。暖房による乾燥もあって、携帯電話やパソコンの画面などを凝視し続けると、まばたきの回数(頻度)が減少し、目の乾燥、"ドライアイ"を引き起こすおそれがあります。CL使用者は、ドライアイになりやすく、さらにCLの不適切な使用で、アカントアメーバ角膜炎などの感染症にも罹患しやすくなっています。

CLの不適切な使用で発生するアカントアメーバ角膜炎について

 ここ数年、CL使用者でアカントアメーバ角膜炎に罹患する人が増え、大きな問題になっています。アカントアメーバ(Acanthamoeba)は、肉眼で見ることが出来ないアメーバの一種です。湖沼などの淡水に広く分布し、土壌や粉塵、水道水、井戸水などからよく検出されます。レンズの洗浄液や保存液、消毒液は、アカントアメーバの感染源となるおそれが十分にあります。

 アカントアメーバ角膜炎は、アメーバに汚染されたCLを装用することにより感染します。発症後、目の痛みや、角膜に毛様充血、濁りなどの症状が出ます。抗真菌剤による治療を行いますが、治療が困難で視力低下や失明に至ることもあります。

 アカントアメーバ角膜炎を発症した原因として、CLやケア用品の誤った使い方(CLの不適切な使用や保存管理など)が指摘されています。CLの長時間装用や、期限切れ品の使用、CLや保存ケースの洗浄と消毒が不十分、保存液の継ぎ足し使用、装着前のすすぎをしていないなど、不衛生(不十分)な取り扱いやケアが原因となってアメーバ汚染が発生しています。使用法が簡便で優れた消毒・洗浄効果を持ったCLケア用品が数多く市販され、正しく使用せずいい加減に使用する人(とくに若い世代のユーザー)が増え、ケアを疎かにして、眼のトラブルに直結する結果となる事例が多く認められます。

アカントアメーバ角膜炎やドライアイを防ぐため、適切なケアと定期検査の受診を!

手洗い ドライアイや感染症などの眼障害を起こさないために、

  1. 室内は、暖房機器や加湿器などを使用して、適切な温・湿度管理(温度;20℃~24℃、湿度;約50~60%)を行う。
  2. 感染予防のため、手洗いを励行し、清潔な手で眼に触れCLを装用する。CLや洗浄液、保存液は、使用書に記載された用法通りに使用(装用、洗浄、消毒、保存)する。使い捨てタイプのCLは再使用しない。
  3. 空気が乾燥している時は、携帯電話やパソコンの画面を(長時間)凝視することを避け、目のケア(目薬を点したり、時々まばたきをするなど)を行って、目の乾燥を防ぐ。
  4. CL使用者は、眼科医による定期的な受診(検査)を受ける。目に異常を感じた時は、出来るだけ早く眼科医による受診(検査)と治療を受けるなどの対策が必要となります。

上記4つの対策を講じて、目のケアやCLの適正使用を行って、上記眼障害の発生を防いで下さい。

(2012.2.10)