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第86回:『ロタウイルスによる感染性胃腸炎、大人も感染! その感染予防対策について』
4月末に入っても、ノロウイルスやロタウイルス、カンピロバクターなどによる感染性胃腸炎の集団感染が、飲食提供施設や保育施設などで(まだ)多発しています。このうち、ロタウイルスによる感染性胃腸炎(嘔吐下痢症)は、乳幼児など子どもがかかりやすい急性胃腸炎ですが、大人も感染します。
今季も、ロタウイルスによる嘔吐下痢症の集団発生が飲食店や料理店などで起きており、介護福祉施設でも十分に注意する必要があります。
ロタウイルス(rotavirus)による感染性胃腸炎は、5歳までの小児期にほぼ100%罹患する感染症で、感染によって獲得した免疫は成人になっても有効に働きます。したがって、健康な大人はロタウイルスに感染しても、通常軽い症状(倦怠感や軽いむかつきなど)で止まり、治癒します。しかし、免疫が低下した大人(とくに高齢者)は感染(発症)しやすく、高齢者が利用する介護施設などでロタウイルスによる嘔吐下痢症の集団発生が起きています。
ロタウイルスによる感染性胃腸炎ですが、ウイルスの感染力は強く、ノロウイルスと同様10個程度のウイルスで感染、発症します。感染後、1~3日の潜伏期を経て激しい下痢(白色の下痢便)や嘔吐、発熱などの症状が出ます。38℃以上の高熱が出ますが、熱は出る場合と出ない場合があります。これらの症状が3~7日続き、糞便や嘔吐物からウイルスが排泄され、周囲の人達に二次感染を起こすことがあります。ノロウイルス感染と同様、ウイルスを含む排泄物(糞便や嘔吐物、鼻水など)に触れた手や、ウイルスが付着した物品等の表面(ドアノブ、手すり、トイレの便座など)に触った手を介して、経口感染します。また、上記排泄物の乾燥物から出る塵埃を介して、ウイルスが口に入って感染することがあります。糞便や嘔吐物などの汚物は早く適切な処理をし、乾燥するまで放置することは不可です。前記汚物処理の際は、マスクや手袋を着用して下さい。
ロタウイルスによる感染性胃腸炎は、2歳までの乳幼児が感染すると、ノロウイルスに比べて激しい嘔吐や下痢などの重い症状になりやすく、小児にとっては危険な病気です。早期の診断と治療が遅れると脱水症状が進行し、けいれんや脳炎・脳症が起きて、死に至ることがあります。しかし、大人では上記したような症状が出ても、その殆どが軽い症状で治るため、小児や大人も罹るノロウイルスのように警戒(注目)もされていません。とは言え、高齢者や持病のある人は、重症化して入院するケースが多く見受けられるため、注意する必要があります。
ロタウイルスによる感染(発症)も、ノロウイルスと同様通年化の傾向が見られ、これから先、まだ気温が低い5月頃まで、ロタウイルスへの警戒が必要と思われます。
ロタウイルス対策として、生後24週までの乳児は、ワクチンの接種で死亡や重症化の予防を行います。ウイルスに感染、発症した時は、有効な治療薬(抗ウイルス剤)が無いため、治療も点滴療法が中心となり、水分と栄養の補給を十分に行って重症化を防ぐ必要があります。
介護施設でも、嘔吐下痢症の発症者が出た時はノロウイルスや病原性大腸菌に準じた対応(対策)をとって、嘔吐下痢症の集団発生を防いで下さい。施設の入所(通所)者や職員等の健康管理(健康チェック)と手洗い・うがいの励行、食品の衛生管理、栄養管理、施設環境の衛生管理(消毒、除菌等)等、必要な感染予防対策を推進、徹底して、感染予防に努める必要があります。
自施設から、感染性胃腸炎の集団感染が起きないよう、くれぐれも注意して下さい。
(2012.5.14)