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Dr.ヨコヤマコラム

第158回:結核、医療介護施設で集団感染が発生、死亡例も、感染予防対策(早期発見と隔離など)の推進、徹底を!

5月に入り、インフルエンザは沈静化し、ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎(食中毒を含む)の発症者も減少しています。しかし、3月下旬から沖縄県で麻疹(はしか)が流行しています。台湾からの旅行者が感染源とされ、この旅行者と接触のあった人や、その家族、同僚、受診した医療機関の職員、沖縄に旅行した人などを含め、感染者は100人を超えています。このような海外から訪れた人などが感染源となって、国内で感染が拡大するリスクが高まっています。麻疹ウイルスは感染力が強く、飛沫や空気を介して感染が拡大します。麻疹に感染すると、乳児は肺炎や脳炎などの合併症を引き起こすことがあり、妊婦は早産や流産する恐れがあります。ワクチンの接種を2回受けていない人や、ワクチンの接種歴が不明な人は、人が多く集まる場所や施設などに出かける時は、感染リスクが高く、十分に注意して下さい。

マスク

そして、結核の発症者も(相変わらず)国内各地で多発しています。結核の集団感染による死者の発生事例が、新聞等で報じられています。3月に入って北海道札幌市の病院で、入院患者ら計28人が集団感染し、うち入院患者2人が死亡しています(3月7日;北海道新聞)。また、徳島県美馬保健所管内の社会福祉施設で、入所者ら計6人が集団感染し、うち入所者1人が死亡しています(3月23日;産経新聞)。死亡した人は、いずれも70代以上の高齢者です。

結核は、今季も、4月15日の時点で発症者が5,761人となっています(国立感染症研究所のIDWR;第15週、速報から)。

結核は、ここ数年、日本で発症者が減少していますが、現在でも他の先進国に比べ、発症者が多く確認されています。国内で、毎年、約18,000人が発症し、うち約2,000人が死亡しています。平成28年の結核発症者は17,625人で、結核罹患率(人口10万人当たり)は13.9人となっています。

日本は、1年間に新たに結核と診断される患者を、2020年までに「低まん延国」とされる人口10万人当たり10人以下にするとの目標を掲げています。 平成28年の結核罹患率は13.9人で、まだ目標値を達成していません。

ここ数年、発症者の数は年間4~6%減で推移しており、このペースだと2020年までの目標達成は困難で、国の目標達成が、数年遅れになると関係者の間で懸念されています。

結核は、菌に感染しても必ず発症するとは限らず、発症しなければ他の人に菌を移すこともありません。結核に感染して、発症する人は、感染者(保菌者)10人に1~2人と言われています。それ以外の保菌者は、感染しているが発症しない「潜在性結核感染症(LTBI)」の患者とされています。LTBIの患者は、加齢や過労、糖尿病、がん治療中などで、体の抵抗力(免疫力)が低下すると、結核の発症リスクが高くなります。

近年、国内で都市部を中心に、LTBIの中高齢者が増え、その増加を抑えることが緊急の課題になっています。結核の再発を防ぎ、薬剤耐性菌の出現を防止することが当面の急務となっています。

さらに自国で結核に感染した来日外国人が増加し、日本国内で発症し、感染を拡大するケースが多くなっています。日本に滞在する外国人の間で結核の発症者が、3年連続で増え、2016年度は1,338人に達しています(厚生労働省の「平成28年結核登録者情報調査年報集計結果について」から)。

この状況を受け、国内の発症者を減らすため、厚生労働省は、発症リスクがあるLTBIの患者まで対象を拡げて完全に治療する「直接服薬療法(DOTS)」の取り組みを推進しています。日本結核病学会も、LTBIに対する新しい治療指針を作成、提示し、結核の絶滅につながる治療法を勧めています。さらに厚生労働省は、今年2月に、特に患者が多い中国や東南アジアなどの国からの長期滞在の入国者に対し、事前に結核の検査を受けることを求める方針を決めています。国外から来日する外国人への結核対策を強化する目的で、90日以上と長期に日本に滞在する訪日外国人に対し、ビザの申請時に「結核非罹患証明」か「結核感染性消失・治癒証明」の提出を求めることにしています。

国(厚生労働省)は、上記取り組みを含め、発症者の減少につながる対策を、逐次推進し、成果を挙げていくことで、「低まん延国」とされる「人口10万人当たり10人以下」の目標を達成しようとしています。

老人を介護する

高齢者が利用する医療(介護)施設や社会福祉施設では、結核の集団感染(感染者が20人以上)が2010年以降、毎年、15件前後が確認されています(厚生労働省の資料「結核集団感染の件数について(過去10カ年)」から)。

自施設で結核の集団感染が起きないよう、筆者のコラム(第108回第121回第134回)などを参考にしながら、必要な感染予防対策を推進、徹底して下さい。感染(発症者)の早期発見と隔離、入院・治療を行うなどして、集団感染の発生(死者を含む)を防いで下さい。

(2018.5.7)

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先生のプロフィール

横山 浩

1970年 大阪大学大学院薬学研究科博士課程修了 薬学博士、薬剤師

職歴
大阪府立公衆衛生研究所(薬事指導部、現食品医療品部)
(社)大阪府薬剤師会試験検査センター
サラヤ株式会社(現在)
学会・研究会活動
日本薬学会
日本環境感染学会
日本防菌防黴学会(環境殺菌工学研究部会)環境管理技術研究会