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Dr.ヨコヤマコラム

第173回:腸管出血性大腸菌感染症、保育施設などで集団発生が相次ぐ。死者が発生、感染予防対策(手洗い、消毒など)の徹底を!

 腸管出血性大腸菌(EHEC)感染症の発症者が、国内各地で多発しています。

バイキン軍団の腸管出血性大腸菌EHEC 今季も、4月頃からEHEC感染症(O157、O111、O26など)の発症者が増え始め、7月21日の時点で計1,460人が報告されています。発症者数を都道府県別にみると、東京都が144人と最も多く、次いで静岡県(107人)、福岡県と神奈川県(各77人)、北海道(74人)、大阪府(73人)、愛知県(66人)、岐阜県(60人)、埼玉県(59人)、兵庫県(56人)、京都府(52人)の順で多く報告されています(国立感染症研究所のIDWR;第29週、速報から)。

 そして、昨季に続き、今季も保育施設などでEHEC感染症の集団発生が相次ぎ、新聞やテレビ等で報道されています。

 筆者が知る範囲で、4月末に京都府の保育所に通う園児5人が、EHEC感染症(O157)を発症し、うち1人が死亡しています。また、6月に入り、京都府の児童福祉施設に通う1歳の男児5人が、EHEC感染症(O103)を発症しています。さらに7月に入って佐賀県と長崎県の認定こども園、岐阜県の幼稚園、群馬県の保育施設で、EHEC感染症(O157、O111など)の集団発生で、園児と保護者ら計 53人が感染(発症)しています。前記児童福祉施設や認定こども園、幼稚園、保育施設の集団発生で、死者は出ていないようです。

 上記6施設とも、食品(給食など)による食中毒と断定されておらず、感染源や感染経路は、特定されていないようです。管轄の保健所は、当該施設に対し、手洗いの励行(食事前やトイレ後など)、トイレの清掃、汚物(糞便など)の適正処理、接触感染を引き起こす恐れがある場所(部位)・物品類の消毒など二次感染防止対策の徹底を指導しています。

 今季(1~6月)は、EHEC感染症の集団発生例として、6月16日までに上記6件の他、岐阜県の保育施設(O157)と飲食チェーン店(O157)、奈良県の保育施設(O157)、埼玉県の飲食店(O157)、静岡県の飲食店(O157)等が、自治体から報告されています(国立感染症研究所の「注目すべき感染症;腸管出血性大腸菌感染症」、6月28日掲載から)。

 昨季(2018年)も、保育施設などでEHEC感染症の集団発生が相次いで報告されています。菌が検出された者が10名以上出た集団発生事例(計11件)を、国立感染症研究所が公表しています(IASR;Vol.40、p71~72、2019年5月号から、下表参照)。

表.腸管出血性大腸菌感染症の集団発生事例(2018年)
発生地 発生期間 推定伝播経路 発生施設 血清型 発症者数 二次感染
大阪市 5/18~6/4 人→人 保育所 O26 52人 有(13人)
神奈川県 6/20~9/11 人→人 保育所 O26 11人 有(12人)
兵庫県
姫路市
7/23~8/16 食品(加熱不十分なハンバーグ) 飲食店 O157 7人 不明
7/25~8/15 2人
宮崎県 7/23~8/24 人→人 保育所 O26 12人 有(7人)
長崎県 8/3~8/9 人→人 保育所 O26 35人 有(10人)
長野県 8/4~9/18 人→人 保育所 O26 18人 有(9人)
茨城県 8/8~9/6 人→人 保育所 O26 35人 有(4人)
越谷市 8/16~9/14 人→人 保育所 O26 15人 有(11人)
群馬県 8/29~9/13 不明 保育所 O26 13人 有(6人)
福井県 9/27~10/13 食品 飲食店 O157 12人 不明
姫路市 10/15~11/1 不明 保育所 O157 25人 有(1人)

(「腸管出血性大腸菌感染症;2019年3月現在」から抜粋、*( )内は二次感染者数)

 近年、EHEC感染症は、上表の食品を介しない二次感染(いわゆる"ヒト→ヒト感染")による集団発生が増えています。

 EHEC感染症は、少ない菌量でも感染し、発症します。EHECに感染しても、発症しない人も多くいます。EHEC(とくにO157)は感染力や病原性が強く、乳幼児や子どもが発症した場合、溶血性尿毒症症候群(HUS)等の重い症状を併発し、死亡することがあります。

 保育施設では、感染症や食中毒に対する抵抗力が弱い児童、乳幼児が、集団で生活しています。感染(発症)者(いわゆる"保菌者")がいると、保菌者を介して感染が拡大し、多数の二次感染者が発生する恐れがあります。これを防ぐため、二次感染予防対策の推進、徹底が、より重要になります。

消毒している EHECの感染予防対策として、1)手洗いを励行する、2)食品(食材)の十分な洗浄、加熱調理を行う、3)調理器具・食器類の洗浄と消毒、適切な使い分け、4)オムツ類や汚物(糞便など)は、使い捨ての手袋を着用して、適正に処理(消毒、廃棄)する、5)糞便に汚染された衣服やタオル等は、煮沸や薬剤で消毒する、6)共用物品(玩具、遊具類)や手すり、ドアノブ、トイレの便座など手が触れる場所(部位)は、こまめに消毒する、7)日頃から園児や職員等の健康状況をチェックして、感染(発症)者の早期発見と隔離、受診、治療に努めるなどの対策が必要です。

 自施設で取り組む感染症対策(食中毒を含む)について、二次感染を防ぐため、今一度再点検して、問題点があれば、速やかに是正(改善)して下さい。

 腸管出血性大腸菌による感染症(食中毒)は、例年、7月から9月にかけて感染(発症者)が多発しています。

 保育所や幼稚園などで、腸管出血性大腸菌による感染の発生(拡大)を防ぐため、上記手洗いや消毒など必要な二次感染予防対策を推進、徹底して下さい。

 腸管出血性大腸菌の感染予防対策などについて、厚生労働省の「腸管出血性大腸菌Q&A」や「保育所における感染症対策ガイドライン(改訂版:2018年3月)」、筆者のコラム(第150回)などで記されており、参考にして下さい。

(2019.8.7)

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先生のプロフィール

横山 浩

1970年 大阪大学大学院薬学研究科博士課程修了 薬学博士、薬剤師

職歴
大阪府立公衆衛生研究所(薬事指導部、現食品医療品部)
(社)大阪府薬剤師会試験検査センター
サラヤ株式会社(現在)
学会・研究会活動
日本薬学会
日本環境感染学会
日本防菌防黴学会(環境殺菌工学研究部会)環境管理技術研究会