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Dr.ヨコヤマコラム

第169回:レジオネラ症、年間発症者が2,000人を突破。医療・介護施設で死者が発生、感染予防対策(清掃や消毒など)の推進、徹底を!

 今年3月に入ってレジオネラ症の死亡例(2件)が、新聞等で報道されています。 北海道の介護保険施設で、入所者の男女3人(90代の男性2人と80代の女性1人)が集団感染し、うち男性1人が死亡しています(3月1日;北海道新聞)。また兵庫県の医療施設で、入院中の70代の女性が、院内感染で死亡しています(3月8日;神戸新聞)。前者は、部屋の中にあった加湿器から菌が検出され、後者は、利用した個室の蛇口の湯水から菌が検出されています。加湿器と蛇口が感染源と推定されています。蛇口から水

 ここ数年、レジオネラ症の発症者は、年を追って増え、昨年(2018年)の発症者は2,130人で、初めて2,000人を突破し、過去最多の発症者が出ています(国立感染症研究所のIDWR;第52週、速報から。下表参照)。

 今季(2019年)も、3月17日の時点で発症者が288人で、すでに前年の同時期(218人)より3割増加しています(国立感染症研究所のIDWR;第11週、速報から)。発症者は、東京都(27人)や愛知県(23人)、神奈川県と福岡県(各20人)、兵庫県と埼玉県(各12人)、千葉県(11人)から多く報告されています。発症者は、60代以上の高齢者が多く、全体の9割を男性が占めています。

 ここ10年、レジオネラ症の発症者と死者は、下表に示すように年間発症者が800人前後から2,000人前後に増え、うち死者は60人前後となっています。

表.レジオネラ症の国内発生(発症者数、死者数)
発症者数 (死者数) 発症者数 (死者数)
2008 893 (46) 2014 1,248 (65)
2009 717 (58) 2015 1,592 (59)
2010 751 (43) 2016 1,602 (67)
2011 818 (56) 2017 1,722 (53)
2012 899 (58) 2018 2,130 (未発表)
2013 1,124 (64) 2019 288*

(国立感染症研究所のIDWR、厚生労働省の人口動態統計、*IDWR;第11週、速報から)


 上記発症者の増加原因として、感染リスクの高い高齢者が増えていることや、検査法の進歩で菌を検出しやすくなった、医療機関で菌の検査が保険適用になり、診断がしやすくなったことなどが指摘されています。

 厚生労働省は、福祉介護施設や医療施設などを対象に、2003年7月に「レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針」(厚生労働省告示第264号)を、また2015年3月に「循環式浴槽におけるレジオネラ症予防対策」の改訂版を提示するなどして、レジオネラ症の発生防止や、発症者の低減を目指しています。レジオネラ菌

 それにも関わらず、2015年3月以降も、入浴施設や医療・介護施設などでレジオネラ症の発症者と死者は減少せず(上表参照)、施設で(加湿器に汚染したレジオネラ属菌が原因で)集団感染が発生しています。

 そこで、厚生労働省は、2018年8月3日に上記「レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針」の一部改正(厚生労働省告示第297号)を行って、衛生管理の対象に加湿器を加え、入浴設備や空気調和設備の冷却塔、給湯設備、加湿器などの衛生管理の維持、徹底を求めています。

 近年、レジオネラ症は、季節に関係なく、発症者が発生しています。

 60代以上の高齢者は、加齢で体の抵抗力(免疫力)が低下して、レジオネラ属菌に感染(罹患)しやすく、症状が進行して重症化(死亡)することがあり、注意する必要があります。

 高齢者が利用する医療・介護施設などで、上記一部改正された「技術上の指針」に基づいて衛生管理の徹底が(今以上に)推進されることによって、レジオネラ症の感染や発症者が低減し、死者が出なくなることが期待されます。

 レジオネラ感染は、そのほとんどが入浴設備や給湯設備、配管、加湿器、利用水等の衛生管理(清掃や洗浄、換水、消毒、水質検査など)の不徹底(手抜きなど)によって発生しています。浴槽洗浄

 施設の運営(管理)者は、レジオネラ属菌が入浴設備や給湯設備、加湿器等の中で汚染(繁殖)しないよう、衛生管理(清掃や消毒、水質検査などを、日常(定期)的に取り組み、徹底して、利用者が安心して入浴したり、湯水を使用できるようにすることが望まれます。

 今一度、自施設の衛生管理(清掃、洗浄、換水、消毒、水質検査など)の実施状況(衛生対策や検査の内容、作業方法・手順、評価基準など)を点検し、問題点が見つかったら、速やかに是正(改善)して下さい。

 厚生労働省告示297号「レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針」や、筆者のコラム(第105回第156回)などを参考にしながら、自施設でレジオネラ感染が発生しないよう、上記感染予防対策を推進、徹底して下さい。

(2019.4.3)

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先生のプロフィール

横山 浩

1970年 大阪大学大学院薬学研究科博士課程修了 薬学博士、薬剤師

職歴
大阪府立公衆衛生研究所(薬事指導部、現食品医療品部)
(社)大阪府薬剤師会試験検査センター
サラヤ株式会社(現在)
学会・研究会活動
日本薬学会
日本環境感染学会
日本防菌防黴学会(環境殺菌工学研究部会)環境管理技術研究会