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Dr.ヨコヤマコラム

第167回:インフルエンザ、医療・介護施設などで集団感染が相次ぎ、死者が発生。ワクチン接種や手洗い、消毒などの感染予防対策の徹底を!

 今冬は、インフルエンザが1月に入って大流行し、猛威を奮っています。1月20日までの1週間で、推計発症者が213万人で、今冬の累計患者数も542万人となっています(国立感染症研究所のIDWRから)。44都道府県で警報レベル超え、大流行した昨冬に並ぶ勢いで発症者が増加しています。インフルエンザ

 インフルエンザの発症者が急増し、集団感染で学年・学級閉鎖や休校、休園する施設(小中学校や幼稚園、保育園など)が激増しています。

 そして、高齢者が利用する医療施設や福祉介護施設でも、インフルエンザの集団感染が相次ぎ、死者が出ています。ここ1ヶ月を見ても、筆者が新聞やテレビ等で把握した範囲で、下表に示す医療施設や社会福祉施設で集団感染が発生し、多数の発症者と死者が出ています。A型ウイルスによる集団感染が多く、死者は全て60代以上の高齢者です。

表.今冬(12~1月)に発生したインフルエンザの集団感染(事例)
報道月日 発生内容
12月
  • 秋田県羽後町の病院で、入院患者と職員の計40人が発症し、うち入院患者2人(80代の男性と女性)が死亡する。(12/25;日本テレビ、さきがけ)
1月
  • 秋田県大仙市の特別養護老人ホームで、デイサービス利用者ら計26人が発症し、うち入所者1人(97歳の女性)が死亡する。(1/6;共同通信)
  • 秋田県羽後町の特別養護老人ホームで、入所者と職員の計53人が発症し、うち入所者4人(80~90代の男性と女性)が死亡する。(1/20;共同通信)
  • 滋賀県守山市の介護付き有料老人ホームで、入居者と職員の計12人が発症し、うち入居者1人(90歳の男性)が死亡する。(1/18;NHK)
  • 群馬県伊勢崎市の病院で、入院患者と職員の計19人が発症し、うち入院患者1人(90代の男性)が死亡する。(1/19;共同通信)
  • 新潟県魚沼市の病院で、入院患者と職員の計18人が発症し、うち入院患者1人(90代の男性)が死亡する。(1/22;NHK)
  • 兵庫県淡路市の養護老人ホームで、入所者と職員の計74人が発症し、うち71~99歳の入所者7人が死亡する。(1/21;毎日新聞、共同通信)
  • 京都府南丹市の介護老人保健施設で、入所者と職員の計26人が発症し、うち入所者1人(83歳の男性)が死亡する。(1/21;産経新聞)
  • 群馬県伊勢崎市の有料老人ホームで、入居者18人が発症し、うち入居者1人(80代の男性)が死亡する。(1/22;テレビ朝日)
  • 愛媛県宇和島市の介護老人福祉施設で、入所者と職員の計12人が発症し、うち入所者1人(80代の男性)が死亡する。(1/22;共同通信、NHK)
  • 静岡県函南町の障害者支援施設で、入所者と職員の計13人が発症し、うち入所者1人(75歳の男性)が死亡する。(1/22;テレビ静岡)
  • 兵庫県南あわじ市の特別養護老人ホームで、入所者と職員の計37人が発症し、うち入所者1人(90代の女性)が死亡する。(1/23;共同通信)
  • 群馬県前橋市の特別養護老人ホームで、入所者35人が発症し、うち入所者5人(83~98歳の男性と女性)が死亡する。(1/23;時事通信)
  • 京都府南丹市の障害者支援施設で、入所者22人と職員1人の計23人が発症し、うち入所者1人(66歳の男性)が死亡する。(1/24;読売テレビ)
  • 秋田県鹿角市の病院で、入院患者と職員の計30人が発症し、うち入院患者1人(86歳の女性)が死亡する。(1/24;共同通信)
  • 秋田県小坂町の特別養護老人ホームで、入所者と職員の計13人が発症し、うち入所者1人(97歳の女性)が死亡する。(1/24;共同通信)
  • 兵庫県豊岡市のケアハウスで、入所者15人が発症し、うち90代の男女2人が死亡する。(1/26;神戸新聞)
  • 群馬県前橋市の病院で、入院患者と職員の計12人が発症し、うち入院患者1人(80代の女性)が死亡する。(1/26;NHK)
  • 長野県松本市の病院で、入院患者と職員の計54人が発症し、うち入院患者2人(80代の男女)が死亡する。(1/28;読売新聞)

 全国で集団感染が発生していることから、施設での感染対策の早急な見直しが必要であると感じます。初動対応(患者の早期発見と隔離、面会制限など)や施設の感染症対策(衛生対策、消毒など)、医療(介護)の組織体制、コスト(経費負担)、職員の教育訓練など注意すべき点があります。今後、施設での感染拡大や死者の発生を未然に防ぐために、管理者(責任者)や医療(介護)従事者(関係者を含む)の危機管理意識、衛生意識、コンプライアンス(法令順守)意識を高め、行政への届出を迅速に行い外部専門家による指導(助言)を仰ぎ、安全対策や感染症対策を徹底しなければなりません。医療・介護の現場での問題の一つである、施設の職員が少数で、人繰りが厳しく、多忙で本来の業務(医療、介護など)に追われてしまう点も、安全対策(感染症対策)が二の次になって集団感染が発生し、死者が出てしまう原因と考えられます。

 インフルエンザの感染発生や、感染拡大(重症化、死者発生)を防ぐためには、ウイルスの感染経路について、あらゆる可能性を考えてウイルスの感染を防ぐ、厳格な感染予防対策(衛生対策)が求められます。その取り組みをマニュアル化して、高い衛生意識を持って、マニュアルの通りに手抜きすることなく、日常(定期)的に継続して、感染予防対策を推進、徹底する必要があることを、上表の発生事例から貴重な教訓として学び取ることが出来ます。

 近年、インフルエンザの年間発症者は約1,000万人で、うち1,000人以上が亡くなっています。インフルエンザを発症して、肺炎や心不全などを併発して死亡する人を含めると、年間約10,000人が死亡していると推計されています。

 今のところ、検出されるウイルスは、2009年に新型として流行したA(H1N1)亜型が多く、次いでA(H3N2)亜型(香港型)、B型の順となっています。1月中旬からA香港型のウイルスの検出が増加しています。これから先、2月下旬まで流行が続き、B型に感染する人も増え、発症者が多発する恐れがあります。高齢者や子ども(乳幼児を含む)は、感染しないよう、注意する必要があります。咳き込む老人

 持病(呼吸器の慢性疾患、糖尿病など)を持った高齢者(60代以上)や、体調不良などで体の抵抗力(免疫力)が低下している人は、インフルエンザに感染すると、症状が進行しやすく、重症化し、上記肺炎などの合併症を引き起こして死に至ることがあります。

 厚生労働省は、今冬、インフルエンザに集団感染し、死亡するケースが相次いだことを受け、1月22日に、全国の介護など高齢者施設に対し、感染対策を徹底するよう、地方自治体を通じて緊急の注意喚起を行っています。

 

手摺除菌手指消毒 インフルエンザの感染予防対策として、1)ワクチンを接種する、2)手洗いやうがいを励行する、3)手すりやドアノブなど手が触れる物品類は、アルコール系消毒剤を使用してこまめに清拭消毒する、4)発症者との濃厚な接触を避け、発症者と接触する時は、マスクを着用する、5)咳やくしゃみが出る時はマスクを着用するといった咳エチケットを守る、6)人が多く集まる場所への外出は出来るだけ避ける、7)感染を拡げないため、未発症の人を対象にインフルエンザ治療薬を予防投与する、8)栄養バランスが取れた食事と十分な睡眠をとって、体力(免疫力)を保持し、低下させない、9)暖房設備や加湿器を使用して、室内の温度・湿度を適度(約25℃、50~60%)に保つ、10)こまめに健康チェックを行って、面会制限、感染者の早期発見と隔離、受診・治療に努める、11)感染後の肺炎の併発を防ぐため、口腔ケアや誤嚥防止ケアを日常(定期)的に行うなどの対策が必要です。

 上記11点を守って、インフルエンザの感染を予防したり、感染拡大(重症化や死亡を含む)を防ぐ必要があります。

 インフルエンザの症状(発熱や咳、くしゃみ、鼻汁が出る、だるさ、筋肉痛、間接痛など)が出た時は、早めに医師による受診と治療を受けて下さい。

 保育施設や幼稚園、小中学校、医療施設、福祉介護施設などで、インフルエンザの集団感染(重症化や死亡発生を含む)が起きないよう、上記手洗いや消毒など必要な感染予防対策を推進、徹底して下さい。

 インフルエンザの症状や対策について、厚生労働省の「インフルエンザQ&A(最終改定;平成30年11月8日)」や「インフルエンザ施設内感染予防の手引(平成25年11月改訂)」、筆者のコラム(第155回)でも記されており、参考にして下さい。

(2019.2.4)

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先生のプロフィール

横山 浩

1970年 大阪大学大学院薬学研究科博士課程修了 薬学博士、薬剤師

職歴
大阪府立公衆衛生研究所(薬事指導部、現食品医療品部)
(社)大阪府薬剤師会試験検査センター
サラヤ株式会社(現在)
学会・研究会活動
日本薬学会
日本環境感染学会
日本防菌防黴学会(環境殺菌工学研究部会)環境管理技術研究会