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Dr.ヨコヤマコラム

第153回:歯周病と糖尿病の発症(重症化)に、口腔内細菌が深く関与、歯磨きなど"口腔ケア"で予防を!

 インフルエンザが、11月から流行拡大の兆しを見せて、全国各地で発症者が急増しています。今季は、ワクチンの供給が例年より遅れて、ワクチン不足が懸念されています。感染予防と重症化予防のため、早めのワクチン接種を受けて下さい。さらに体内に侵入してくるウイルスを防ぐため、手洗いやうがいの励行、口腔ケアなどの感染予防対策を徹底して下さい。鼻水やくしゃみなど風邪の症状が出た時は、感染拡大を防ぐため、マスクを着用し、出来るだけ早く専門医による受診と治療を受けて下さい。

 ところで、先月15日は、「世界糖尿病デー」ということで、各地で糖尿病に関する様々なイベントが行われています。

 厚生労働省の平成28年度国民健康・栄養調査によると、糖尿病が疑われる成人は、過去最高の1,000万人を超え、糖尿病の可能性が否定出来ない予備軍を加えると計2,000万人に達すると推計されています。

 糖尿病は、食べ物から分解された糖分が、体内にきちんと吸収されず、血液中に糖分が溜まってしまう状態(高血糖)が続く病気です。このような高血糖状態が続くと、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞、腎臓病、脳卒中、失明などの合併症を引き起こすリスクが高くなります。さらに体内の防御反応も低下して、インフルエンザなどの呼吸器系疾患や歯周病、水虫などの感染症にも罹患しやすくなっています。

 これから本格的な流行期を迎えるインフルエンザは、毎年、国内で推計1,000万人が発症し、うち1万人以上が死亡しています。その死者の中に、糖尿病の患者が多く含まれています。

 そして、糖尿病の患者は、健康な人に比べ、体の抵抗力が弱まっているため、歯周病にかかるリクスも高くなっています。糖尿病に罹患して高血糖状態が続くと、歯茎の血管が傷んで、歯垢の中にいる細菌が血管に侵入し、歯周病を引き起こします。歯周病は、痛みなどの自覚症状がなく症状が進行し、重症化すると、歯を失う恐れがあります。

 さらに歯周病により、歯茎の中で生成する炎症性物質は、血液を介して血糖をコントロールするホルモンであるインシュリンの働きを妨げ、糖尿病を悪化させ、上記合併症を引き起こしている可能性も指摘されています。

 国内で成人の約8割が、歯周病の患者と言われています。

 このように、近年、糖尿病や歯周病の発症、重症化や治療に、両者が深く関与していることが明らかになり、医科(内科)と歯科が連携して、患者を紹介し合う取り組みが始まっています。

 内科と歯科で、糖尿病や歯周病の患者(疑い患者を含む)を早期発見して、重症化を予防する。国や地方自治体も、内科と歯科の連携で、糖尿病や歯周病の早期発見や早期治療がより可能となり、増大する医療費(人工透析など)の軽減(削減)につながると、この取り組みを支援しています。

 くしゃみする男性この他、口の中にいる平素無害な細菌「肺炎桿菌」が、腸の中で増えると、腸に慢性の炎症が起きて、腹痛や下痢の症状が出る潰瘍性大腸炎やクーロン病といった難病を引き起こす可能性があることも報告されています(時事通信、11月11日報道)。潰瘍性大腸炎やクーロン病は、原因不明な点が多く、完全に治療する薬はまだ見つかっていません。

 このような疾患(糖尿病や歯周病、潰瘍性大腸炎など)の発生(重症化)を防ぐため、日頃から口腔ケア(歯磨きなど)を行って、口腔内を清潔に保ち、口の中に存在する細菌やウイルスを、出来るだけ少なくしておく必要があります。

 口腔ケアが定着した医療・介護の現場で、歯周病や誤嚥性肺炎の感染予防だけでなく、上記重篤な全身疾患(糖尿病や心筋梗塞、腎臓病、動脈硬化症など)の発生予防にも大きな効果を上げている事例が、関連学会や新聞等で発表(報道)されています。

 医療・介護施設を利用している人(とくに高齢者など)は、体の抵抗力(免疫力)が低下し、上記全身疾患や感染症、食中毒にかかりやすく、重症化(死亡を含む)するリスクも高くなっています。それだけに、上記感染予防対策に加え、十分な睡眠と、バランスのとれた食事、適度の運動などを行って、日頃から上記疾患や感染症、食中毒に負けない体力(免疫力)を作っておく必要があります。

 医療・介護の現場で、糖尿病や歯周病、インフルエンザの発生(重症化)を防ぐため、上記体力作りなど健康保持と、感染予防対策(とくに口腔内の清掃・除菌や嚥下機能の維持などを目的とした"口腔ケア"の取り組み)が推進、徹底され、定着化することが切に望まれます。

(2017.12.6)

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先生のプロフィール

横山 浩

1970年 大阪大学大学院薬学研究科博士課程修了 薬学博士、薬剤師

職歴
大阪府立公衆衛生研究所(薬事指導部、現食品医療品部)
(社)大阪府薬剤師会試験検査センター
サラヤ株式会社(現在)
学会・研究会活動
日本薬学会
日本環境感染学会
日本防菌防黴学会(環境殺菌工学研究部会)環境管理技術研究会