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サラヤ 福祉ナビ

Dr.ヨコヤマコラム

第145回:麻疹(はしか)、集団感染や輸入症例が相次ぐ。感染者の早期発見とワクチン接種など、感染予防対策の推進、徹底を!

 2月に入り、三重県と広島県、山形県で発生した麻疹の集団感染が、新聞やテレビ等で報道されています。山形県の集団感染では、最初に感染した神奈川県在住の20代男性が利用した自動車教習所や宿泊施設などを中心に、同男性と接触があった人を含め、二次感染、三次感染で計27人が発症しています。また、三重県の集団感染も、工場の従業員と家族、従業員が受診した医療機関の医師ら計18人が発症しています(下表参照)。

 咳き込む昨季は、夏に大阪府や兵庫県、千葉県などで麻疹の集団感染が発生し、1年間に159人の発症者(報告数)が出ました。今季も、上記集団感染などがあって、麻疹の発症者数が、昨季の同時期を上回るペースで増えています。3月22日の時点で麻疹の発症者(報告数)は59人となっています。その内訳は、三重県が20人と最も多く、次いで広島県(10人)、東京都(6人)、香川県と福岡県(各4人)、埼玉県や神奈川県、大阪府、大分県(各2人)、山形県や宮城県、山梨県、愛知県、京都府、兵庫県、北海道(各1人)の順となっています(国立感染症研究所のIDWR;第1~10週、速報から)。このままのペースで発症者(報告数)が増え続けると、昨季1年間の報告数を上回る恐れがあります。

 今のところ、麻疹の集団感染は、局地的な流行に止まっていますが、海外(インドネシア、ネパール、ミャンマー、タイなど)で感染したとみられる「輸入症例」が、昨季より増えています。麻疹の発症者が出た自治体は、集団感染の発生を防ぐため、警戒を強め、これ以上の感染者が出ないよう、ホームページなどで注意喚起しています。

表.麻疹(はしか)の国内発生に関する報道事例
報道月日 報道内容
2月21日
  • 三重県の工場で、1月28日以降、2月20日の時点で工場の従業員と家族、従業員が受診した医療機関の勤務者を含め、計18人が感染する。(日経メディカル)
3月3日
  • 香川県の男性が感染、ベトナムから帰国後に発症する。(産経新聞)
3月10日
  • 山形県置賜地域の自動車教習所に通っていた神奈川県の20代男性が発症、インドネシアから帰国後、置賜地域の医療機関で、感染が判明する。(山形新聞)
3月18日
  • 山形県の10代男性が感染、神奈川県の男性と同じ自動車教習所に通っていた。(山形新聞)
3月19日
  • 宮城県の10代女性が感染、神奈川県の男性と同じ自動車教習所に通っていた。(NHK)
3月20日
  • 山形県の20代男性と埼玉県の20代女性の2人が感染、同じ自動車教習所に通っていた。(山形新聞)
3月21日
  • 山形県の10代男性と長井市の40代男性の2人が感染、同じ自動車教習所に通っていた。40代男性は、神奈川県の20代男性が宿泊していた施設の従業員で、教習所に関わった一連の感染で計7人が発症する。(山形新聞)
  • 広島県東広島市の集団発生、2月8日以降、インドネシアから帰国した初発患者を含め、計11人の感染者が確認される。(広島県のHPから)
3月23日
  • 長野県の20代女性が感染、インドネシアから帰国後に発症する。(長野県のHPから)
3月24日
  • 香川県の20代男性が感染、インドネシアから帰国後に発症する。(NHK)
3月29日
  • 山形県の自動車教習所を中心に新たな感染者が確認され、一連の感染者が、3月28日の時点で計27人となる。(山形新聞)

 麻疹ウイルスは、感染力が非常に強く、空気感染や接触感染などで、感染(発症)者の周囲にいる大人や子ども、乳幼児に感染が広がります。発症の初期症状が、風邪などの呼吸器疾患とよく似ているため、単なる"風邪やインフルエンザ"などと思い込んで、すぐに医療機関に駆け込まないケースが多く、受診して麻疹と診断されるまで、数日から1週間の間、自由行動(人との接触や外出など)をして、周囲の人に感染を広げてしまいます。

 上表を見ても、自動車教習所や事業所、医療機関、宿泊施設の他、家庭や保育施設、商業施設、交通機関などで感染が広がっている可能性があります。自分が住んでいる地域で、麻疹の感染(集団発生)例を、新聞等の報道や自治体の広報などで知った時は、感染が沈静化(終息)するまで、感染しないよう、注意を払う必要があります。

 また、発熱や結膜充血などの症状が出て、"麻疹"の感染が疑われる場合は、速やかに専門医の受診と治療を受ける。その際、前もって医療機関に連絡し、予約を取って、医師の指示に従い、マスクを着用して、人混みに行くことは避け、公共交通機関等の利用も出来るだけ避けて、感染の拡大を防いで下さい。

 注射麻疹は、ウイルスに感染して高熱や発疹などの症状が出ても、それ以上に重症化せず、治癒する人も多くいます。しかし、乳幼児や高齢者は重症化しやすく、要注意です。発症者1,000人に1人程度が死亡しています。

 そのために、家庭や職場、保育施設などで発症者が出た時に、自分が感染しても、症状が比較的軽い「修飾麻疹」で収まるよう、麻疹に罹ったことがない人や、2回のワクチン接種を受けていない人は、ぜひワクチンの接種を受けておいたほうが無難です。

 麻疹の感染リスクや感染予防対策などについて、厚生労働省の「麻疹(はしか)に関するQ&A」の他、筆者のコラム(第139回)でも記しています。これらを参考にしながら、感染予防対策を徹底して、麻疹の感染(集団感染)を防いで下さい。

(2017.4.6)

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先生のプロフィール

横山 浩

1970年 大阪大学大学院薬学研究科博士課程修了 薬学博士、薬剤師

職歴
大阪府立公衆衛生研究所(薬事指導部、現食品医療品部)
(社)大阪府薬剤師会試験検査センター
サラヤ株式会社(現在)
学会・研究会活動
日本薬学会
日本環境感染学会
日本防菌防黴学会(環境殺菌工学研究部会)環境管理技術研究会